おかみブログ

2007年5月30日

自然素材の洋服屋さん

ゴールデンウィーク前のことになりますが、八ヶ岳にステキなブティックがオープンしました。
KAYA白井沢2
オーガニックコットン地の服や服飾小物を販売するお店です。
ネパールからの上質な生糸を日本で紡ぎ仕立てたものだとのこと。
色はきなりと黒のモノトーンがほとんどで、形もざっくりとしたフリーサイズ。
肌触りがよくて締めつけない、八ヶ岳のさわやかな風に吹かれながらゆったりとした休日を過ごすのにぴったり、そんな風合いの商品群です。
KAYA白井沢
このお店のオーナーとの出会いがまた面白いものでした。
「どこか店舗スペース貸してくれるところ知りませんか?」
そんな電話をたまたま受けて、いつもなら「さあ・・・」で終わってしまうところなのですが、なんだか電話の声がとても懐かしい感じがしたのです。
初対面(初対聞)の人なのに、声の感じが耳にここちよく、このまま電話を切ってしまうのはもったいないような不思議な感覚でした。
電話でやや詳しく聞いているうちに、ふとレインボーライン沿いの喫茶店のお隣で貸しギャラリーを建て、借主を探しているのを思い出したのです。
ずいぶん前に言われていた話でしたが、その人とお話しているとなぜかピンッと思い出しました。
会話の中でぽろっと出たことがこんな風に実現するなんて、ちょっと感動です。
それもこれも、最初に感じた人と人のコミュニケーション、インスピレーションかなぁ。
「KAYA」
レインボーライン沿い、喫茶ペルルのお隣です。
KAYA4
かっちゃった♪

2007年4月20日

汗と涙のガイドブック

ここ2週間ほど、勤め先で日夜格闘してます。
お客様対応も、雑用もほとんどタッチしないで、制作部屋にこもってひたすらパソコン作業です。
なにかというと、「八ヶ岳のお店ガイドブック」。
協力してもらっているお店のぴあマップみたいなやつです。
フルカラーA5版24ページ。
飲食店、雑貨店、食料品店、宿泊所、ギャラリーなどなど115店分の情報がつまっています。
これが作りたくて作りたくて。
なかば強引に社内決裁通して、始めてしまいました。
写真素材は、私ともう一人のスタッフが足掛け3年がかりで、ランチなど自分が食べるものをこつこつと撮りためました。
趣味と実益を兼ねているとはいえ、「よくやるよなぁ」と所長にあきれられるしまつ。
この冊子の趣旨が「地元の活性化」。
まったく、おせっかいな、大それた目標を掲げたもんです。
ということで
1.お店から広告費はとらない
2.個人経営あるいはごく小規模のお店のみを紹介する(公共施設や3セクは除外)
3.印刷も地元業者にする

2に関しては要・補足説明。ウチは純粋な情報出版社ではなく不動産会社の一部門にすぎないので、当社の情報誌設置に協力してくれているお店に限る。
ところがDTP作業を進めていくうちに意外な落とし穴がありました。
普段レイアウトで使っているQuarkXpressというアプリでの入稿が、お願いしようとしている印刷会社ではできないのです。
(以下、DTPの専門話なので、読み飛ばしてもいいです。でも、もっといい解決法を知ってる人は教えてください!!!)
もっと汎用性のあるIllustratorEPSかPDFでの入稿のみとのこと。
変換すればいいんでしょ、と最初は軽く考えていたんだけど、今使っている環境から一発変換で上記のどちらかに変換ができない。
a)QuarkXpress3.3はPDF保存ができない。
b)EPS保存→Illustratorで開くと縦書きフォントをうまく認識しない。
c)EPS保存→Photoshopで開くと、すべてを一つの画像として認識するため文字がつぶれる。
d)これを機にQuarkXpress4.0をインストールしようとしたら、Macがフリーズしてディスククリーンアップを始めて半日も費やしたあげく、よくわからなくなった。
e)Acrobat Distillerとやらを試し、PDFファイルを作ろうとしたが、QuarkXpress3.3からの変換のしかた、PSファイルの作り方がよくわからない。
月刊で出している情報誌は東京の本部の編集長が各地域のDTPデータを取りまとめて指定業者にQuark入稿をしているので、今回のような問題は起こらないわけです。
だけど、世の中は着実に、すごいスピードでいろんなものがversion upしていて、入稿形式も今回の印刷屋さんが言ってることがいまや主流で、(もちろん東京など都市部でネットで受付してるようなオンデマンド印刷会社はいろいろ対応できるところもあるけど)、単に私の知識とパソコン環境が足りないだけなのです。
加えて、印刷会社、当社本部の編集担当者、デザイナー、誰に聞いても途中までしかわからない。
ほんとに暗闇に一人取り残されたような孤独な気持ちになって、なきそうになりながら、文字通り日夜、ネットのお助けサイトなどと格闘していました。
でも印刷会社は絶対変えたくない。
近いのですぐ行ったりきたりできるし、紙も見て選べるし、県内で唯一?大豆インクで印刷できるし、風邪の社長さんは無理をおして知識不足の私にIllustratorの使い方を教えてくれるし、奥さんは「よくじゃん(感心だね、という意味)」と言いながらメモ用紙のおまけを何冊もくれるし、実年齢よりずっと若く見えるお嫁さんはなんとか納期に間に合わせてくれようと現場担当のムスコさんの携帯番号まで教えてくれるし、そのムスコさんはイケメンで親切だし。
こんな理由はビジネスでは本来通用しないんだろうな。
見積もりだって、ネットのオンデマンド印刷のほうが安いのですから。
ということで、一番時間のかかるb)の手順を使い、コツコツ完全データを作ることにしました。
Quarkの縦書きテキストボックスがIllustratorで開くと全部横書き認識されて、つまり「ー」や「。」「、」が90°回転されちゃってるわけです。
こいつをまず文字全部アウトライン化して、そのおかしくなった文字を1字ずつ、-90°回転をかけていったり、移動させたりします。
20ページ、115軒あるので、かなり膨大な作業です。
・・・と思いましたが、やり始めると意外と早く2時間程度で終わってしまいました。しかも細かくチェックしているうちに2箇所まちがいを発見できて、かえってよかったかも。
今日入稿する予定でしたが、受付時間内に作業が間に合わなかったので、月曜日でいいことになりました。
やっと出口の明かりがうっすらと見えてきたので、今日は少し早めに帰り、娘とゆっくり風呂に入り、「トトロ」をみました。
明日は2ページ分の割付作業が待っている・・・。
苦労話、愚痴話で申し訳ありません。
『八ヶ岳・行きたいお店ガイド』1冊300円。
ゴールデンウィーク前の発行予定。
よろしければご購入ください。
某不動産会社、掲載店、石あるくなどで販売しています。

2007年4月3日

田舎暮らしの本

・・・といっても宝島社の月刊誌のことではありませんが。
こんな本が出ました。
リタイア後は田舎で暮らそう

アマゾンで検索
田舎暮らし関係の本はいまや書店でコーナー化されるほどたくさん出ているので、またか、という印象もあるかもしれません。
ふつう、田舎暮らしをこれからしたい、という人が読むのかと思われがちですが、意外とすでに田舎暮らしを始めた人が読んでいるものらしいです。
この本もそう。
この本ではタイトルどおり、リタイア後に田舎暮らしを始めた人たちの実話をもとに、田舎暮らしの実際を事細かに記してあります。
これから田舎に住みたい、という人にはまだ見ぬ世界を知るための教科書のような存在かもしれません。
「どうして田舎暮らしを始めようと思ったのか」
「家族の同意は得られたのか」
「住居はどんなものがいいか?」
「どんな生活をしているのか」
「地域とのかかわりは?」
「一人で田舎で暮らすって?」

著者が大勢の実践者にインタビューを行い、実名を出すことを快諾の上、読みものとしてのタッチも軽快に、充実した内容でつづってあります。
しかし、これを本当におもしろい、(あるいはいい本だ)と評価するのは他ならぬ既移住者の人たちではないでしょうか。
自分自身の軌跡を思い返し、重ね合わせたり反省したり、あるいは今後の糧にしたり。
有名人じゃなくても、人それぞれにかけがえのないストーリーがある。
等身大の他人の話を読むことによって、自分自身の人生や家族を見つめなおす、そんな時間が流れるのです。
ちょっと本をほめすぎかな。
でも、同じ著者が書いた田舎暮らし指南本第1弾『田舎暮らし虎の巻』を読んだときは、ちょうど今の会社に勤めだす直前で、自分自身がこの八ヶ岳で暮らすようになって5年目の大きな変換期に来ていたせいか、自分の数年間を思い返してなんだかとても感動したのを覚えていますから。
実はこの本の著者は私の勤める会社の代表なわけですが、そのひいき目をさしひいてもこの本の評価は高いです。まあ身内の本だからわざわざ読もうという気になるので、そこまではひいき目かもしれませんが。
それはこの本の内容が、あくまで移住者の人の取材に徹しているからでしょう。
私自身も入社以来十数組の移住者の人の取材記事を書いてきて、一番おいしいのは取材者本人だ、とつくづく思うのです。
だから、この本で一番いい思いをしたのは他ならぬ著者に違いありません。
みなさんのすばらしい人生を見せていただいてありがとう、といいたいです。

2007年2月17日

七賢蔵開きでの出会い

毎年恒例、山梨の銘酒「七賢」の蔵元が開放される週間です。
仕事の合間に通りかかりました。
仕事中だし、一人で運転だし、どうせ試飲もできないけど、一応仕事やブログのネタになるかもしれないから・・・となかば義務的に入場。
ですが、想像を超えるすてきな出会いが待っていました♪
ガラスのぐいのみ展。
高根のガラス工房「うず」の藤巻晶子さんの個展です。
おらんうーたんのメンバーでお名前は知っていましたが、これを機会にお近づきに。
14種類の七賢銘柄を藤巻さんなりのイメージでガラスのぐいのみとして表現した作品集。
七賢ガラス展

ガラスの持つ繊細なイメージも持ちながら、どっしりと肉厚のちょっと大きめのぐいのみも多く、お酒を飲む場までよく考えられてると思いました。
私もささやかながらぐいのみコレクター。
いろいろ悩んでこちらを購入しました。
大中屋

『大中屋』という七賢でも最高級の部類に入る純米大吟醸酒。
甘みと酸味とすっきり感がほどよい、品の良いだし味の利いた煮物などに合う上質なお酒。
ボトルが「レトロモダンでかっこいい」と藤巻さん談。
細かい泡と金箔が南アルプスの天然水に溶け込むようなショットグラス風ぐいのみです。
七賢蔵開きは明日18日まで。
藤巻さんのガラス展のほか、木工や骨董品、キャンドルの工芸展も同時開催。
もちろん、300円で(飲み放題の)試飲バーははずせませんヨ。
試飲バー特設 試飲バー元
骨董市 あかり

2007年2月15日

北杜市の新たな観光振興を考える

都会に住む親きょうだいや親しい友人たちを八ヶ岳に招くとき、しばし悩む。
「はて、どこへ連れて行ったものか」
大きなレジャー施設があるわけでなく、大関級の有名温泉があるわけでもない。
親ならせいぜい2〜3日、友人にいたっては丸1日もない滞在期間。
この限られた時間の中であっと驚く魔法の旅を提案せよと課題をあたえられたとき、私は最近では次のような手段をとります。
まずウチへ招く。なかよしの豆屋さんから買ったとびっきりのコーヒーで丁寧にドリップする。それからちょっとドライブしようかと、いつも通る道から少し足をのばしたところで、私自身が常々行って見たいと思っていた場所へ連れて行く。滝とか牧場とか森とか。一人ではなかなか行けないところ。途中で田園風景や山景色を見る。最後は行きつけのレストランやバー、食堂へ。「こんにちはー」「あ、どもー」と言い合えるのが居心地よい。
そしてお客へ一言。「こんな短い時間じゃ八ヶ岳の魅力は語りつくせないよ。またゆっくり来てね。なんならこっちに住む?」
導入部だけ見せられておあずけをくらった彼らはリピーターとして何度も訪れるハメになる。
「北杜市の新たな観光振興を考える」シンポジウムが14日行われました。
北杜市、市商工会、そして民間からのプロジェクト推進委員会(正式名称は北杜市地域産業リマスター・プロデュース事業推進委員会)が主催となり長期滞在先としての北杜市の未来を探るものです。
背景には昨今の旅スタイルにたいするニーズの変化があります。
「盛りだくさん」プランから「ゆったりプランへ」
「豪華な懐石料理より地元の旨い店へ」
観光地として隔離された空間ではなく、より生活に近い旅体験が求められ、同時に滞在期間も長くほしいと希望する人が確実に増えてきているというのです。
基調講演でお話くださったJTBの事業創造本部長という人の言葉によると、「たび」の語源は「他火」つまり他人の(かまどの)火だそうです。
いつもとちょっとだけ違う日常(他人の火)にあたって生活体験を共有することで、その活力をもらって帰ってくる。これが旅なのだそうです。
つまり、与える火の方に活力がなければ成り立ちません。
そういうことで、これからの旅提案をする側としても、自分たちの生活が楽しくゲンキなものでなければいけないというわけです。
このシンポジウム開催に先立って実行された、第一回目の長期滞在プログラムでは、モニターが1週間の滞在期間の中で地域交流型の様々なプログラムを体験。それを個別にコーディネートする「地域コンシェルジュ」の役割も重要でした。
個人的には何か体験しなきゃとかどっか行かなきゃ、とプログラム攻めに合うよりは、何にもしなくていいからとにかくぶらぶらそのへんを歩いたり昼寝したりするのでも十分楽しめる場所だと思うのです。
このシンポジウム、説明や構成、司会も良くて、なかなかいい会でした。
会場はアイスクリームの清泉寮で知られるキープ協会。
いつもとチョット違う、霧雨の清里でした。

2007年2月10日

あらばしりを制す!

諏訪の銘酒・真澄の限定販売品「純米吟醸あらばしり」を、いきつけの酒屋で勧められ、購入してきました。
酒屋の息子評↓
真澄の醸す、純米独特の柔らかくバニラやフルーツの様な甘い香りが特徴。あらばしりらしいやや酸と少しトロっとしたコクのある口当たりが憎めないです。というか、引き込まれます。
まさにそういう酒です。
人に例えれば、「ボン、キュッ、ボン!」のグラマーな美女、といったところでしょうか。
はっきり言って私とはマギャク(正反対)です。
すっきりした、雑味のないわき水のような端麗辛口美青年タイプを好む私には、かなりきついものがありました。
でもやはり旨いのは認めざるを得ません。
つまみを工夫してなんとか好みに近づけたいところ。
初日はスーパーで特売になっていたアジの刺身と一緒にいただきました。
これはちょっと失敗。
アジの生臭さとは協調しないようです。
そういえば酒屋の息子の談にもこうありました。
お料理は、ダシと醤油の香りがいい“鰈の煮付け”や“おでん”。油にも相性がいいので、“餃子”やドミソースの“ハンバーグ”、“ハム”など。また、淡白なお魚の刺身ともいいですね。チジミも◎。
なるほど。白ワインのような楽しみ方ですね。
ということで、2日目はスモークサーモンと三つ葉のサラダ。
あらばしり

これはなかなかいけました。
サーモンの甘辛い味とあらばしりの濃厚な芳香がよく合います。
そして3日目、息子のお勧めどおり餃子とおでんにて。
なーるほど。これですね。「ボンキュッボン」でもしょせんは日本人(酒)。
やはり日本食との相性が一番のようです。
息子、やるな。
ちなみにアルコール自体があまり得意ではない夫は、初日口に含んだだけで「うッ、あまい」とうなり、それっきり口をつけようとしませんでした。
ということはグラマー美女よりズンドー骨太でいいってことかな。よしよし。
真澄 純米吟醸あらばしり
お求めは小淵沢久保酒店にて。
http://webmotto.exblog.jp/m2007-01-01/#5397099

2007年2月5日

そば屋地獄

以前八ヶ岳は「パン天国」だと書いたことがあったので、それをもじって今回は「そば屋」について。
少々辛口なので「地獄」としておこう。
小淵沢スパティオからリゾナーレ近辺はここ数年で開店した飲食店が、文字通りずらりと軒を連ねるところ。
その一画に昨年またそば屋がオープンした。
「また」と、かなり失礼な言い方をせざるを得ない。
なにしろそば専門店は小淵沢IC付近半径1km以内で私が知っているだけでも既に4軒、そのうちの3軒はここ数年以内にオープンしたばかり。
品書きのひとつにそばがある店を含めるといったい何軒になるのかわからない。
さらに、半径10km程度なら「車ですぐ」というこのへんの距離感を考えると、富士見から高根に至るまで、八ヶ岳南麓に近年オープンしたそば屋の数は計り知れない。
公共施設や三セクでは必ずといっていいほど「そば打ち体験」を催している。
まさにこの数年、「そば」ブーム・・・というより「そば屋開店」ブームなのだ。
人口5万人の北杜市において、あきらかに過剰ではなかろうか。
当然競争も激化する。
さて、くだんのそば屋。
紅葉の並木とカラマツ・アカマツ・白樺の林に囲まれた一画に強烈なインパクトでその姿をあらわした。
この高原の林をバックに鮮やかすぎるショッキングピンクの外観。
建築途中、私はここを何度か通り過ぎる際、この色が完成形でないことをひそかに願った。
それが洋食屋などではなく、そば屋であることがわかったとき、憤りに似た感情すら覚えた。
「なんで、そば屋が、ここに、こんな色で・・・」
色んな建物がひしめき合う都会ではさほど気にならないかもしれないが、ここは自然豊かな八ヶ岳。(それでも少しずつ破壊されつつあるのだけど)「景観に合う」というのはとても重要なファクターなのだ。
ということで、オープンして半年、食べ歩きオタクの私にしてはめずらしく、意図的に敬遠していたのである。
先日同僚とこの店の話になった。
「ほら、競技場の前のあのおそば屋さんだけどね、」
「あー、あのすごい色の。」
「またそば屋、ってかんじよね」
「ところが、けっこう車停まってるのよ、いつ通っても。」
客が入っている、という噂を聞くと、興味を引くのが人の心理。
よく知りもしないうちからウダウダ悪口を言うのはよくないというのを口実に、勇気を出して入ってみることにした。
飲食店が流行る条件はいくつかある。一般的なものは
1)わかりやすい立地にあること
2)目にとまりやすい外観をしていること
3)店内が居心地がいいこと
4)接客がいいこと
5)味がいいこと
6)値段がリーズナブルなこと
7)特徴がはっきりしていること
特に4は重要だ。
ターゲットは右も左もわからない観光客か、グルメな別荘客か、少し遠巻きに見つめる地元客。
このどれをないがしろにしても八ヶ岳での商売はなりたたない。
マニュアルトークではなく、それぞれの客にあったもてなし言葉が必要だ。
おそるべきことに、このそば屋は上記の条件をほぼ全てクリアしていた。
そばはコシと風味があって旨い。
そばきりと野菜天ぷら盛り合わせで1500円だが、観光地だからこんなもんだろう。
ジャズが流れ、薪ストーブが燃える。
カウンター席で一人静かにいただくこともできれば、テーブル席で家族の食事や和室での宴会にも対応できる。
そして一人で入ったジョセイ客にさりげなく話し掛けてくれる。
正直、この接客ひとつですべてがリベンジできるほど、重要なポイントだと思う。
その話し方がとても自然なので、こちらもつい素性をあかし始める。
地元だとわかると「じゃあまたいらして」とデザートのサービスをしてくれた。
2才の子供がいるというと「ぜひご家族で」と快く受け入れてくれた。
これはかなりポイントが高い。
八ヶ岳のこだわりそば屋とやらは臆面もなく「お子様お断り」と書いているところも少なくないからだ。
うちの娘はそばが大好きなのに、親も子も満足できる店は限られる。
おかあさんと息子さん夫婦の家族経営。
そば打ち担当は息子さん、戸隠で修行したそうだ。
汁そばは京都で。だしのきいた薄口しょうゆ味は都人も満足させる。
天ぷらは全国修行の旅の折、あちこちの天ぷら専門店で伝授してもらった。
手作り甘味メニューも充実。
店を出るとよい天気の昼さがり。
振り返って改めて見ると、ハデな外装も少し落ち着いて見えるから不思議だ。
祥香2 祥香1 ←そばきり祥香
今回は気分的に「である」調のエッセイ風に書いてみました。
えらそうでごめんなさい。

2007年1月28日

あれもこれも欲張る年

今年は年明けのおみくじで「大吉」がでました。
深大寺のおみくじはまんべんなく凶や大凶が出ることでも有名で、昨年は大凶。そういえば1カ月おきに風邪をひいたり、仕事がマンネリ化してたり、夫婦喧嘩が絶えなかったりしてたなぁ。
今年は大吉の中でも特によい、何をやっても「いづべし」とか「よし」とかいいことばかり書いてあるものでした。
だから、新しい話には極力断らず、乗るようにしています。
きっと発展の年になると信じて。
昨年末から2つ、大きな話(私にとっては)が来ています。
FM八ヶ岳おらんうーたん
FM八ヶ岳は昨年10月に開局したコミュニティFMで、市民ボランティアの手で作られています。
これから質のよい自主制作番組を増やし、出資を集め、地域情報発信源としての存在を強めていきたいところ。
おらんうーたんは八ヶ岳のクラフト作家のネットワーク。工房やアトリエを記した、観光にも使えるクラフトマップは第2弾まで発行され、作家同士のコラボやオープンアトリエなどのイベントもめじろおし。北杜市長が北杜市の観光資源のひとつとしてその地図を持って旅行代理店に営業に行ってるということで、この地域の一大産業と言っても過言ではない地位を築きつつあります。
私の関わることはまだ詳しいことが決まってないのでちゃんと書けませんが、ともかくこの北杜市二大事業に微力ながら関われることになったというわけです。
お呼びがかかって、断わる道理がありません。
当然今までより断然忙しくなるし、ブログを書いてる場合じゃなくなるかもしれません。(マメな人はそれでも書けるのでしょうが)
結婚と同時に石屋に嫁に入ったとき姑に言われた言葉、「十年お礼奉公」。
初めの10年はよくわからないことも多いがとにかくがまんして仕える、次の10年で勝手がわかって、その次の10年はお礼のつもりで頑張る。
嫁ぎ先の家での暮らし方の指南のつもりだったのでしょう。
「ふるー」と内心反発していた時期を少し過ぎ、仕えるのを嫁ぎ先から地域とか人脈に置き換えて、自分なりにアレンジしてみることで比較的すんなり受け入れられるようになった私は今年で9年目。
まだ第二段階の「勝手がわかる」の手前までしか行ってないことになりますが、とにかく今はなんでもやってみるときかな、と。
ちょっとどきどき。でもわくわくの睦月でした。

2007年1月19日

萌木の村の思い出

清里のレストランROCKの割引券を夫が購入していたので、久々に家族で萌木の村にお出かけしました。
ここにはちょっとした思い出があります。
といってもロマンチックなものじゃあありませんのであしからず。
大学3年のときだったと思います。だから1990年くらい。
高校時代の友人グループ5人で萌木の村に遊びにきました。
友人の一人が以前に清里の某ペンションで夏季住み込みバイトをしたことが発端。
当時の私は清里どころか山梨すらよくわからない。
その彼女主導で計画が練られ、関西から行ったと思うのだけど、なぜか新宿から特急に乗り、どっかの駅で単線に乗り換えて数駅目が清里でした。
くだんのペンションに泊まり、徒歩でオルゴール館や清泉寮に行き(今考えるとよく歩いたもんだ)、山田邦子のサラダ館を横目で見ながら駅前のお土産屋さんを物色したような記憶があります。
萌木の村で若々しい名取裕子が何かの撮影をやっていました。
「ホールオブホールズ」ではスタッフのおねえさんがかわいい演出まじりでオルゴールの説明をしてくれ、芝居好きの私はいたく感動して、一瞬萌木の村で働きたいという希望が頭をよぎりました。
でも、当時の私の世界観からはあまりにも非現実的な話。
バブル景気まっただなか、売り手市場で就職活動を控えた花(?)の女子大生にとって、大手企業に就職することが第一の検討課題だったのです。
すぐに「萌木の村のおねえさんになりたい」夢は忘れてしまいました。
それから17年。
気がついたら仕事を通して萌木の村スタッフの人と打ち合わせをするような立場になっているではありませんか。
例のペンションは既になく、そのすぐ近くの中古物件の売却に関わった際耳にしたのはそのペンションのオーナーはご病気でなくなったとの噂。
駅名も覚えてなかった乗換え地点の小淵沢は、自宅の最寄り駅であるばかりでなく、地域活動や仕事の待ち合わせの拠点、つまり「庭」です。
食べ物屋さんはロックしか知らなかったのが信じられないくらい、自慢じゃないけど八ヶ岳のお店情報ならまかせて。
何がどう、転んだんだっけ。
これって、勝ち組?負け組?
ジンセイ、どうなるかわからないなぁ。と、山小屋パブだった様相とはうって変わってファミレス化した現ロックで、昔とこれだけはかわらないビーフカレーを食べながら感慨にふけりました。
ロック1 
ロック2

ロックのパスカードは訪問販売で売りに来ます。パス価格5000円。
ロックで3000円以上注文→1000円引き(5回利用可)
7000円以上注文→3000円引き(5回利用可)
10000円以上注文→5000円引き(1回利用可)
今のロックはファミレス。子ども連れや自分たちだけで食事をしたいときにはビジネスライクで気軽。
店の人とどっぷりお話したい、かつてのロックを求めるなら、スモーキーカフェ(甲斐大泉駅上)か
ランプスロッジ(小淵沢馬術競技場近く)がそんな役割を担っています。

2006年12月30日

ここかな?七里岩の遠望

12/22のブログで、小説『風林火山』の記述で七里岩をどこから見ているかの謎を書きました。
コメントをいただいたpockyさんのご指摘もあり、実際に探しに行くことにしました。
勘助と由布姫が歩んだ道を逆に戻るように、国道20号上り方面へ向かいます。
小淵沢から釜無川沿いに、七里岩を左に見ながら。
韮崎平野に入った円野。「平成かかしカーニバル」で有名な水田地帯ですが、ここからは小説の記述のような雰囲気は見られませんでした。
七里岩の崖がすぐそばに見えて、迫力はあるのですが、「島のよう」には見えない。
加えて甘利山などの低い山が近すぎて、その向こうの鳳凰三山は見えません。
七里岩遠望1 七里岩遠望2

ということで、どんどん遠くへズームアウト。
pockyさんご指摘の塩川大橋まで来ました。
七里岩遠望3

これですね!おそらく。
「その向こうは・・・」と表現されてる鳳凰三山の見える方向については今だクエスチョンは残りますが、なんといっても小説の雰囲気にぴったりのポイントです。
さすが、pockyさん。ありがとうございました。
たかが小説だから、実際の舞台を探しても無意味といえば無意味だけど、これでちょっとすっきりしました。