お墓と供養の相談室
よく「娘しかいないから、自分たちの代で終わり、あとどうすればいいのだろう」という相談を受けます。お墓の承継に法的な制限はなく、誰でも継げることになっています。ただ、慣習的には血族が継ぐのがふつうです。嫁いだ娘や孫、兄弟、甥姪でも継ぐことに何も問題はありません。氏を変えたり養子になる必要もありません。少子化の時代ですから、子供が2つのお墓の管理をすることも出てくるでしょうが、負担が大きすぎればお骨だけ引き取って婚家のほうに入れるとか二家のお墓をまとめるとか、方法はいくつも考えられます。
また、遠くの親戚より近くの他人という感覚のほうが強く「友人たちとの共同墓がいい」という人もいます。これはお墓を承継するという概念にとらわれない現代的な考え方と言えます。これについても法的な制限はありません。
人間がお墓を建てる、人を祀るという行為の原点は「命のつながり」に対する畏敬の念です。他人どおしでその想いが続いていかないわけではありませんが、良くも悪くも血族のほうがつながりやすい(断ち切れない)ものだと思います。大切なのはつながりを絶えさせないこと。お墓づくりをお手伝いする身としてはお墓を通してそれを実感してもらえるとうれしいです。
家名(氏)や宗派が違っても、血の繋がった子孫ですから、お墓を受け継ぐことに何も問題はありません。氏を変えたり養子になる必要もまったくありません。同様に兄弟や甥、姪であっても血縁親族であればお墓を継いでもらうのに何の支障もありません。お墓の承継が無理ならお骨だけでも引き取ってもらいましょう。先祖からの絆を絶ち切ることなく、お墓を受け継いでいってもらいましょう。
いずれの場合でも、お寺に永代供養に出してお墓は片付ける、という選択肢がありますが、血縁者がいるのならそちらにお墓やお骨を引き継いでもらうのが本来の筋であり、望ましいことです。子孫が拝んでくれればこその供養なのですから。