孫の書いた「ありがとう」

「お墓に彫る文字は『ありがとう』に決めてるの」打ち合わせの初期の段階から内藤光代子さんはそう伝えてくれていていました。

72歳というまだまだこれから元気で過ごしてほしかった夫・勝さんは、5人兄弟の長男。兄弟家族ともとても仲が良く、親戚との宴会もよくありました。その宴会の席で、必ず歌われる歌。「今日もこうして会えるのは園長先生(勝さんの弟、幼稚園経営)のおかげです。…今日もこうして飲めるのは、勝兄貴のおかげです。ありがとうありがとう」そんな歌にも象徴されるとおり、内藤家一族は感謝のこころを持ち続け常に「ありがとう」を口に出すことが家風でした。

「お父さんも自分の病気のことは気づいていました。それでも最後はとても穏やかで、いつものとおり『ありがとう、ありがとう』と言ってたんですよ。」光代子さんも穏やかな表情でそう語ります。

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「ありがとう」は同居していた二人のお孫さんが書いてくれることになりました。お孫さんたちもおじいさん・勝さんが大好き。晩年は二人で勝さんの足を一本ずつもんであげたりするなど、懸命に看病の手伝いをしました。5年生の女の子と3年生の男の子による書がこちら。堂々として、まっすぐで、あたたかい。家族の強いつながりがひしひしと感じられます。
 
「『ありがとう』一つだけのつもりだったけど、二つとも入れられてよかった。」と光代子さん。「上の『ありがとう』はお父さん(勝さん)が私たちにかけてくれる言葉、下の『ありがとう』は私たちからお父さんへ。昔からそうやって声をかけあってきたから。お父さんらしい、内藤家らしいお墓です。」できあがったお墓の前に立つと自然に「ありがとう、ありがとう」と語りかけたくなります。

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開眼法要でお骨を納めるとき、内藤家のみなさんが一緒に写経を奉納しました。3年生5年生のお孫さんたち含めた家族全員がそれぞれ想いをこめて丁寧に書きました。

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式の最後はご親戚のみなさんも一緒に笑顔で記念撮影。お墓参りのたびにこの言葉に会い、その都度いろんな想いがこみ上げてくることでしょう。

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