自分らしさを「無」の字にこめる

「お墓には『無』と彫ることに決めてあるんだ。」お墓づくりの当初からそう話していた青木毅さん。仏教の思想にも通じる「無」。あらゆる煩悩や欲求から解放された静かな心の状態を連想させ、大好きな言葉なのだそうです。書は当店の親戚を通じて、書家・安藤豊頓氏に依頼しました。

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楷書、行書、草書など数種類の「無」の字の中にこの篆書の「無」の字がありました。「いいね。なんか人がふたり万歳してるみたいにも、相合傘してるみたいにも見える。」「あなたらしい、変わった字だわ」ご夫婦でも意見が一致しました。仲が良さそうに見えるほほえましい字です。「別に仲良くもなかったけどな、これからは仲良くするか(照れ笑)。」

 
 このたび建てたお墓は毅さんが初代となる生前墓です。八丈島に島の大きな自然石で作ったお父さんの個人墓もありますが、今後のことも考えて代々墓をここ八ヶ岳に建てることにしました。八ヶ岳には28年前に別荘として通い始めその後定住しました。「好きで移住したところだからね。子供たちも八ヶ岳で育ってそれぞれ独立していったけど、ここが集まりやすい。『無』の字以外家名も何も彫ってないから、姓が変わった娘たちも違和感なく守っていけるだろう」

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石碑は茨城県産白御影の横型。シンプルな一囲いのみのデザインの外柵。でもその明るさと解放感は、「無」の境地を表しているようです。

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