穏やかな人、と近所でも評判だった小澤邦昭さんの1周忌がさわやかな五月晴れの中無事行われた。1周忌に間に合うように建てた小澤家の墓は、美しい白御影の石塔に、入口のアールのかかった柱石が特徴的な段差の少ない外柵。開放的で誰もが明るい気持ちでお参りできる雰囲気に仕上がりました。
「僕が3才の頃から父は医者通いを始めました」とは、葬儀の際に語った長男隆弘さんの言葉。自宅や勤務先でも行える腹膜透析は、日常生活が比較的送りやすいとされているが、それでも長期にわたる病状管理は本人はじめ家族も負担は少なくなかったでしょう。だがそんな様子を全く見せずに、妻利恵さんは仕事や家事、趣味のバレー、孫の世話と活動的に毎日を送りました。対照的にインドア派の邦昭さんのこだわりの趣味はオーディオ。クラッシックレコードを聴くのが楽しみで、機材には本人いわく「土地が買えるほど」投じたそうです。
「私たちにはわからない世界だからね、今じゃ荷物の台になってるよ」と利恵さんは笑いますが、夫の良いものへのこだわりをお墓づくりにも活かそうという想いがあったのでしょう。菩提寺の助言を参考に、「白い石塔」と「段差を少なく」の2点にはこだわって決められました。白というのは菩提寺の助言を参考にしたのだが、同じ白でも氾濫する外国産ではなく、日本の銘石の中でも吸水性が低く固くて目が美しいと定評のある福島県産「紀山石」に。「雨が何日も続いた後は他の家の白い石塔はしばらく水を含んだようなグレー色が抜けないけど、うちのは乾くのが早い」とその良さを実感しています。
アールのかかった柱石では孫の綾乃ちゃんが滑り台のようにして遊んだりしたという。これからも明るい小澤家の憩いの場であり続けることでしょう。