自然な岩肌に堂々とした「一期一会」の文字。山桜のそばにたたずむ森山家のお墓です。
静岡で長年警察官として勤務してきた森山さんは、退職後はふるさと富士見に帰ろうと決めていました。
夫婦そろっての第二の人生が充実してきたころ、妻順子さんのがんがみつかります。
「妻は自分の病気を承知していて、後のことも冷静に考え始めていました。
樹木葬や散骨についていろいろ調べていましたよ。
高原病院に通院のついでに丸山公園墓地を見学してみたら妻のほうが気に入ってね。
ちょうど一番上の段が一つ空いているという。
山がパノラマで見渡せるし、何よりすぐ後ろにきれいな山桜が咲いているのがご縁だと思いました。
よく桜のそばで眠りたいと言ってたから。これぞ樹木葬でしょう(笑)」
墓石には自宅の土地でみつかった岩を使おうと決めていました。
「馬頭明王」と彫られていた石碑はどこか神々しさを感じる形でした。
この正面に「一期一会」の文字を彫り直すことに。
書は習字を習っている孫娘のNさんが書きました。
外柵の石にはかつて区で幟旗用の台として使われていた石材を加工。
年号が彫ってありますが、それも歴史を引き継いだという想いを込めて、あえて文字面を天端に据えて見せる設計としました。
そして墓所の敷石には自宅のDIYで余っていた諏訪鉄平石を、長女の夫と共同で据えました。
ふるさとの石を使い、自分たちで作る過程に関わったお墓が完成しました。
「他の2人の息子家族や親戚、友人たちもよくお墓参りにきてくれます。
お墓ツアーと称してウチにきたら真っ先にみんなを連れて行くんですよ。
居心地のいい、集いの場でもある自慢のお墓です」