富士見町立落合小学校が140年の歴史に幕を閉じ平成23年度末をもって閉校することになりました。その閉校の記念として校庭の一角に記念碑が建てられました。八ヶ岳の地石の台座に木曽黒光真石の碑石。そこに彫刻されたのは「落合にわれら学ぶなり」の言葉でした。
この碑文にこめられた想いを閉校記念式典実行委員会・記念碑建立委員長の五味紘一さんは「落合の校風、伝統、地域環境が凝縮されたもの」と語ります。碑文の言葉には当初様々な案がありました。初代校長岩本節次先生の教育方針「慎其獨」(独りでいるときも道にそむかぬよう)とする案、地域で慣れ親しんだ落合の町の歌の一節を入れる案などが最終的に残っていましたが、校歌の一節であるこの言葉が一番子どもたちになじみがあり、他の案の想いもこめられたものとして、決まりました。「落合には豊かな自然や、数々の文芸人を輩出した文化芸術性の高さがあります。今の在校生も『落合らしさ』という意味では昔の子どもとあまり変わっていない。家庭環境のよさ、地域社会のあたたかさ、いい先生たちに恵まれて、きちんと反応がかえってくる素直で誠実な子どもたちです。そんな社会と校風が、この言葉に表れていると思います」
落合小学校の最後の児童数は全校で31人。「少人数だからこそ一人一人の責任感が鍛えられている」と教頭矢澤善夫先生は話します。「閉校式典での発表についても、これだけの表現ができる子たちはなかなかいない、と評判でした。新しい学校へ行っても萎縮しないで、新しい友達と刺激し合いつつ、自分を磨いてもらいたい」
学校はなくなっても、子どもたちがこの落合で学んだ、育ったということは変わりません。記念碑はそれを思い出せる場でもあり、今も学んでいることの証であり続けることでしょう。