進藤さん夫妻は定期的に草取りなどの墓地管理をしてこられましたが、このたび古い石塔群と先代が建てた奥津城を新しい外柵の中に据え直し、今後のために霊誌を新設する改修工事を行いました。祀官さんより「遺骨は土に帰すべきもの」と助言を受け、大地に通じる造りの納骨堂を設置し、お骨を木綿の納骨袋に移して納めることとしました。
建碑にあたり、霊誌の題字と改修者の名前、納骨袋の祝詞、建碑祭で奏上する大祓詞(※1)は書道の師範をしている妻・礼子さんが書きました。「家族が直接関わった部分があることで、子どもや孫もお墓を身近に感じてもらえると思いました」。お骨は3才のお孫さんを含めた家族みんなで納骨袋に移しました。「魂はもう神様になってる、ここにあるのはカルシウムという物質だから忌み嫌うものではない、と祀官さんに教えてもらいました。変に違和感を持つのではなく、自然な流れの中で神様やご先祖の魂を感じてほしかったんです。孫とも明るく『おじいちゃんおばあちゃんバイバイ』などと会話しながら(遺骨を)移しました」。
古い石塔は石を傷めない専用の薬品で洗い直します。すると今まで見えなかった文字や模様が現れ、ご先祖の戒名(※2)などがわかるようになりました。「次男だし、家を継ぐという意識もあまりないまま来たのですが、これを機会に家のルーツを知ることができました」。
進藤家では自宅の神徒壇(※3)に毎月1日と15日には榊を上げご先祖をお祀りしているとのこと。生活の中に神や先祖を敬う気持ちが根付いていることは、お子さんお孫さんたちの心の安定にもつながることでしょう。
※1 大祓詞(おおはらえのことば)…神道の祭祀に用いられる祝詞のひとつ。
※2 当時は江戸時代の檀家制度により仏式
※3 神徒壇(しんとだん)…自宅にて神と先祖を祀る御霊舎(みたまや)。仏教でいう仏壇にあたる。