町中に愛された父の軌跡を想う


家のすぐ近くの共同墓地に、Hさんは眠っています。
大工として一生を過ごし、行年七十四。
県建設業組合の役員として業界に尽くし、町では「この人がいなければ回らない」と言われるほど、長年にわたり地域行事を支えてきました。
晩年は病を抱え、医師からは三千歩までと告げられていたのに、祭りの日にはつい張り切ってしまいます。「もう六千歩も歩いちゃった」と自慢げに歩数計を見せ、周囲を心配させたのも、今では懐かしい笑い話です。
 
妻・Tさんは、無理をしてしまうHさんを少しあきれたように、けれど誰よりも近くで見守ってきました。
「しょうがないなぁ、この人」と笑いながらも、その背中を頼りにし支え続けた年月でした。
三人の子と五人の孫に恵まれ、無類の子煩悩。
亡くなった後には六人目の孫も生まれ、今もどこかでみんなの成長を見守っていることでしょう。
 
白と黒の御影石を組み合わせた墓石デザインは、家族の皆さんで考えました。
「お父さんなら、ちょっと変わったのにしろって言うと思った」。
大工だったHさんらしく木組みを思わせるその墓の前には、祭りの仲間も集い、安全を祈っています。
家族と地域を愛した洋さんの想いは、この場所から子や孫へと、静かにつながれていきます。
 

大工の家らしく、木組みをイメージした墓石デザイン。


 

お墓はすぐ近くだから、みんなでよくお参りに来ます。

祭り実行委員の皆さんもお祭りの前にはお墓参りをします。
「手伝いに帰ってきてくれるといいのに(笑)」。

孫と一緒に本棚を作る生前のHさん。


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