お知らせ

2015年1月17日

19号 2015年1月発行

今号の主なトピックスは
1.あいさつ〜スタッフの今年の抱負
2.終活カウンセラー上級資格をとりました
3.八ヶ岳に抱かれた自然石のお墓
4.馬のお医者・大木さんの語る「お墓は生きた証」
5.Q&A「石の産地」
6.石の町めぐり「イタリア世界遺産」
 
3と4がメインコンテンツ。
石をお墓にしてきた人類共通のスピリットが伝わってきます。

今までご縁があって住所がわかる方に郵送、または八ヶ岳のあちこちのお店に置かせていただいています。
郵送ご希望の方はメッセージなどでお知らせください。
  

対談・職人気質 -その道のプロにきく仕事へのこだわりと家族のつながりについて思うこと-

第10回 馬が生きた証を残したい 〜馬の臨床獣医師 大木道子さん〜
  
全日本女子学生選手権4年連続優勝(1971年〜1974年)、オリンピック強化ジュニアコーチなど、競技、指導ともに華々しい経歴を持つ一方、獣医師として馬の終末医療に心血をそそぐ。乗馬学校ハフリンガー・エクイン・アカデミー(北杜市高根町)代表。毎夏小淵沢町で開催されるホースショーでは演技者として出場すると同時にショー全体の解説も担当し、馬の魅力を伝える。「ハフリンガー」は山岳地帯に生息する馬の一種、「エクイン」はラテン語で「馬」を意味する。乗馬だけでなく馬事全般を知り馬と上手に付き合うための知識や技術を学ぶことを目的とする。

  
―どのような経緯で馬と出会い、関わってこられたのですか?
祖父が日本の競馬会の設立に尽力、父はJRAの職員、母も大正生まれながら乗馬の心得があったという、乗馬一家でした。小4から乗馬を始め馬術競技に出ていましたが、とにかく馬が好きで一緒にいたかった。深く馬の習性を知りたいと思って獣医になりました。30年ほど前に八ヶ岳に移り住み、2006年に前身の牧場を引き継いで当校を開設しました。
   
―馬とは人にとってどんな動物なのですか?
馬は群れの生き物で、人との相性もいいので、飼われることは馬にとって不自然なことではないんです。馬術は競技を通して正しい馬の乗り方を知ることが目的。それはつまり馬にとって安全で疲れにくいということです。馬はただの道具ではなく、命と個性ある生き物ですから、それぞれの特性をよく見てあげたい。私が馬乗りとして秀でているとすれば、どんな馬でもいいところを見つけてその良さを引き出したいという気持ちがあるところだと思います。扱いにくいとされる個性的な馬ほど魅力を感じますよ。
 
―どんな人が馬のオーナーになるのですか?富裕層というイメージがありますが。
馬のオーナーといっても特別な人は少なく、普通の人がたまたま何かの縁でその馬と出会ったケースが多いです。乗馬するために所有するのがふつうですが、乗馬すらできなくなるくらい年老いた馬を預かることもあります。最近感じているのは、自分の馬を最後まで面倒みようというオーナーさんが増えてきたことです。当校ではターミナルケア(終末医療)を大切にしていますから、それに信頼をよせてくださり、ご自身もできる限りいい最期を過ごさせてあげたいと協力してくれるのはとてもありがたいです。
 
―ターミナルケアで大切にしていることは何ですか?
人間と同じことだと思うのですが、その馬らしい晩年を過ごさせてあげたいと思っています。また、野生では苦しみが長く続くことはありえないから、なるべく痛み苦しみから遠ざけて、穏やかな最期を送らせてあげたい。でもいつも迷っていますよ。神様の領域だから。安楽死させることに慣れたりおごったりしてはいけないと思う。
 
―死んだ馬のための石碑をつくっていますが、どんな思いで?
馬は死んだら産業廃棄物扱いなんですよ。出会いや活躍にはスポットが当たるが、死は表に出ない。だから生きた証として石碑がほしいと思いました。私自身のことですが、25年つきあっていた馬と死に別れた経験があります。死んだ直後は泣けなくてむしろ看病が終わったことにほっとした気持ちもありました。でも石碑を受け取って帰る途中、もうすぐ四十九日だと思った瞬間、どっと涙が出てきたんです。ふしぎですよね。ただの石のはずなのに「確かにそこにいる」と思ったんです。肉体は処分されても、魂は残る。そんなことを実感できるのがお墓だと思います。

2014年9月17日

18号 2014年9月発行

今号の主なトピックスは
1.あいさつ〜観音平の記念碑を訪ねて
2.「ありがとう」に込めたお墓への想い
3.スローシネマ「じんじん」で町を元気に
4.Q&A「うちのお墓が無縁になったらどうしよう」
 
2と3がメインコンテンツですが、今回も取材楽しかった―。
「ありがとう」のお墓のお客様には涙腺ゆるみっぱなし、
「じんじん」の実行委員・小池さんには笑いと感動をいただきました。
 
今までご縁があって住所がわかる方に郵送、または八ヶ岳のあちこちのお店に置かせていただいています。
郵送ご希望の方はメッセージなどでお知らせください。
 

すてきな仲間紹介 -映画「じんじん」を北杜市で上映する会-

スローシネマで元気な町づくり
 
絵本の里として知られる北海道剣淵町を舞台にした映画「じんじん」。全国各地でこの映画が「スローシネマ」というスタイルで上映されています。北杜市内でもこの映画の上映会を開こうという取り組みがあり、今年7月に実行委員会が立ち上がりました。実行委員の代表の一人小池英幸さんに、その思いを聞きました。


 
―「じんじん」とはどんな映画ですか?
北海道のある小さな町を舞台に絵本で町おこしした人たちのドラマ。家族の絆、人々のふれあい、大自然、農業体験、そして絵本のあたたかさなど、いろんなキーワードがからみあったすばらしい作品です。大きなレジャーランドではなく、そこにある自然そのものが観光資源になる、という点で八ヶ岳と通じる部分があるんですよ。


 
―この映画は全国で「スローシネマ」というスタイルで上映されているということですが、「スローシネマ」って何ですか?
大きな映画館で一斉ロードショーといった形ではなく、地域の人の力で公民館やコミュニティホールなどで自主上映をするスタイルです。北杜市でも本上映は武川町の総合会館を予定しています。ただ上映するだけでなく、上映にあわせて何かのイベントを同時開催したりして人のネットワークや地域資源を掘り起こすのも大きな目的の一つなんです。この映画だったらたとえば図書館やホールの活用を広げたり、読み聞かせコーナーを設けて、たり、ということも考えられますよね。
 
―実行委員会にはどんな人が集まっているんですか?
この映画は総務省後援であることから、他の町での上映では行政からのトップダウンであることも多く、北杜市でも実行委員会の前身の準備委員会の段階では市の議員さんや図書館の職員さんが中心でした。PTAや地域の民生委員さんにも加わってもらえば、という話もありましたが、進んでいくにつれて農業や観光、商工業など民間のもっといろんな立場の人々をまきこむのがいいという方向になりました。私も本業は商売ですしね。


 
―小池さんは会の共同代表のお一人※ですが、なぜこの会に参加しようと思ったのですか?
映画の良さを伝えたいのはもちろんですけど、準備委員会で集まった時、ほとんどが知らない人たちだったんです。私は生粋の長坂町民ですし、他にもいろいろ役をやったりしていて自分では顔が広いつもりでいたんですが、それでもまだこんなに地元で新しい出会いがあったんだと思いました。新しい人たちと業種や立場をこえて一緒に何かを作るのがおもしろそう、と。町が元気になるっていうのはこういう出会いの集まりなんじゃないかと思います。
 
※北杜市図書館協議会会長・明野ファンクラブ代表の柴山裕子さんがもう一人の代表。

2014年5月30日

17号 2014年5月発行

今年の2月は記録的な大雪で大変でしたが、それでも春はやってきてくれてありがたいことです。
八ヶ岳の美しい春景色の中、家族のつながりを考え直す記事が集まりました。
 

対談・職人気質 -その道のプロにきく仕事へのこだわりと家族のつながりについて思うこと-

第9回 命をうけとめる 〜助産師 雨宮幸枝さん 山本由紀さん〜
  
親子3代にわたる韮崎助産院の助産師。母・雨宮さんの厳しくも愛情のこもった指導に加え、娘・由紀さんのカイロプラクティックや整体の技術を取り入れた骨盤ケアを通して、自然で無理のない妊娠生活と分娩をサポートしている。産後の指導も充実。家庭的な雰囲気で、出産後も交流が続く人が多く、親子2代の分娩でお世話になったという例も少なくない。

 
―その節はお世話になりました。相変わらずとってもお元気そうですね。
雨:(息子・空を見て)大きくなったねぇ。ひとなつこくていい子に育ってるよ。
  
―先生は妊婦検診のときもそうやって語りかけてくださいましたよね。
雨:おなかの赤ちゃんはちゃんと聞こえてるだよ。「手をあげて」って言ったらちゃんとあげるもの(笑)。家族のみんなから愛されてる実感を赤ちゃんに与えてあげることが何より重要なの。だから自宅でもみんなで語りかけをしてあげてほしいね。
 

  
―家庭生活の指導も真剣ですよね。
雨:毎月の検診はたっぷり時間をとりますよ。今の世の中、一人の妊婦を予定日まで管理して正常な分娩にもっていくのは、実は並大抵のことじゃない。その人の食生活、睡眠時間、働き方、それからほかの家族の生活のしかた、そういったことを検診のときに聞き出したり感じ取ったりしてるんだけど、夜中までパソコンしてたり、食事も不規則だったり少なかったりする人が多い。そういう実情はよく注意して面談しなければわからないでしょう。

今の日本は乳児死亡率が低いから、みんな出産をなめてる節があるけど、本当は自己管理がものすごく大切な一大事業だってことを妊婦さんも家族も認識しなきゃだめ。助産院では特に、自然に産む力をつけてもらいたいから。

  
―そのための厳しい指導なんですね。運動や身体能力も昔と違ってきて大変なこともあるんですか?
由:骨格と栄養分が農村中心だった世の中とはぜんぜん違ってきていますよね。足腰が弱くて骨盤がゆるくなってるんです。だから子宮がただでさえ骨盤の中に入り込むような位置にまで下がってきて、だから赤ちゃんがとても窮屈な思いをすることになるんです。この助産院では骨盤や背骨を矯正する体操教室やゆがみ矯正治療を取り入れました。赤ちゃんが電車だとすると産道はトンネル。赤ちゃんは産道を回旋しながら出てくるんだけど、きちんとレールがしいてあれば無理なく出てこれるんです。そのきちんとしたレールがゆがみのない体というわけです。
雨:命をあずかるんだから、こっちも真剣勝負だよ。私ね、笑われるかもしれないけど、予定外にお産が近くなったり危険なお産になりそうなときは鼻でわかるの。「なんか生臭い」みたいな。そういうときはお寺でお経を読んでもらうんだよ。こんなに科学や医療が発達してる時代だけど、やっぱり赤ちゃんは宇宙から来るもの、というかんじがするんだよね。さずかりものだから、神仏の助けも借りて、私も全力で赤ちゃんとお母さんを助ける。
  
―そんなふうに守られて生まれてきた赤ちゃんは幸せですよね。
雨:どの子もみんなかわいいよ。私がとりあげたお産は絶対忘れない。大変な仕事だけど、命がつながった瞬間の喜びには替えられない。今70才だけどね、まだまだやるよ。(次女田鶴をみて)あんたもここで産めし。

2014年1月20日

16号 2014年1月発行

「自然」について考えることの多い紙面になりました。
四季のうつくしい日本。日本のお墓には自然への感謝も込められているように感じます。
  

対談・職人気質 -その道のプロにきく仕事へのこだわりとご先祖祀りについて思うこと-

第8回 「山は先生、山は神」、日本人のDNAに組み込まれた心 〜竹内敬一さん〜
 
小淵沢在住の国際山岳ガイド。八ヶ岳編笠山の山小屋「青年小屋」を運営。山梨県警とともに長く山岳救助活動にも携わり、現在は同署山岳救助隊長。日本山岳ガイド協会理事、八ヶ岳山岳ガイド協会会長、環境省自然公園指導員、北杜市観光協会理事などいくつもの重要な立場から、指導や講演も多い。信仰、環境、観光など様々な分野から登山の理解を深めともに行動してくれる、山のプロフェッショナル。

 
― 竹内さん流山岳ガイドとは?
山岳ガイドは土日が中心です。お客様は初心者や女性、そして冬山に挑む上級者まで様々です。それぞれの人の目的やレベルに応じて安全な山登りをサポートすると同時に、山への畏敬の念や自然の多様性を感じてもらいたいという思いで案内しています。
 
 
   
― 山への畏敬は登山の原点なんですね。
日本では昔から山岳信仰があって、登山は修行の一環でしたからね。西洋の登山は約200年とまだ歴史が浅く、「制覇」することが目的ですが、日本では記録に残っている限りでも1400〜1500年の歴史があり、おそらく縄文の頃から生活の中で登山が行われていたと考えられています。私も「山は生き物であり、先生であり、神様」という思いで日々対面しています。「自然をどのように制御するか」をモットーとしてきた西洋人とちがって、自然に生かされていると感じてきた日本人には、DNAの中に自然への親しみと尊敬が組み込まれていると感じますね。だから私も山に失礼がないように、山に合わせた体力づくりや知識の習得を心がけています。
 
  
― 救助活動でも活躍されていますね。
基本的に警察が単独ではできない遭難の場合に私が出動しますので、危険で難しい現場が多いです。残念ながら遺体にも遭遇します。何ヶ月も時間が経ってしまっているものもありますが、傷つけないよう細心の注意をはらいます。「骨一本も残すな」と他の隊員にも徹底し、お経を読んでケルン※を立て、遺体は丁寧にくるんでヘリの中に入れます。遺体は家族にとってかけがえのない「形」で、気持ちを整理するにも遺体があるのとないのとでは全然違いますから。
※ケルン・・・山頂や登山路に、道標や記念として石を積み上げたもの。
 
―どのような思いでケルンを立てるのですか?
仮のお墓のつもりですが、やはり手を合わせるのに何か形を置くのが自然なように感じるんです。お墓は生きている人が亡くなった人を偲び敬意を表するための対象物です。仏像にしても位牌にしても、形があるから気持ちが向く。岩や木には神が宿る、と昔の日本人は考えましたが、お墓はそういう思いで建てられてきたものなんでしょうね。

2013年8月3日

15号 2013年7月発行

すてきな仲間紹介 -手しごとや-

これが小淵沢で生まれた納豆だ
 
豆の味がしっかり味わえる大粒の納豆「こぶちさわ納豆」。
地産地消、安心、人の手から人の手へ・・・そんな商品選びと店作りをしている「ショップまちこぶ(小淵沢駅前)」のオリジナル商品です。

 
4つセットで450円。おみやげや贈り物にも最適。
地元で生まれたごひいき商品です。
 
「手しごとや納豆」一番のこだわりは豆にあり。
地元北杜市産の無農薬有機栽培の大豆を使っています。
まちこぶでも米を販売している、高根町の農家浅川さんちの豆です。

 
第二のこだわりは炭火による発酵。炭を使うことで納豆の香りがよくなり、納豆菌の働きが活発になり、よりおいしい納豆になるというわけ。さらにコンピュータ制御された専用室で温度管理も徹底しています。

 
スタッフは代表・製造合わせて4人。いずれも地元の主婦のみなさんです。
「いいものを自分の手でつくっている、という誇りがありますね」
「体調が悪いときに食べると、調子が戻って元気になれますよ」
「大粒だから豆の味が濃く感じて、食べ応えがあるわね」
 

2013年5月10日

14号 2013年4月発行

対談・職人気質 -その道のプロにきく仕事へのこだわりとご先祖祀りについて思うこと-

第7回 生き物の尊い命に感謝、有志で建てた慰霊碑〜
 
㈱シミックバイオリサーチセンターの皆さん
(話し手:ビジネスサポート部・正木文夫さん)


― 動物を使ってどんな試験をしているんですか?
 マウスやウサギ、イヌ、サルなどを使って、医薬品、
健康食品、食品添加物、農薬などの安全性や有効性
を研究しています。
 
― 資生堂が先日「動物実験は行わない」と発表していましたが、行わなくても済むものなんですか? 
 大手の化粧品会社では動物愛護の精神から動物実験をやめるのが主流になってきています。既に安全性が確保されていて美を求めるためということなら確かに動物実験はなくても可能でしょう。ただ、生死に関する分野では動物実験は必須です。そんな犠牲の上に私たちの文明が成り立っていることを忘れてはいけません。
 
― 御社が認証を受けているGLPとAAALACというのはどういうものですか?
 GLPは化学物質などの安全性を、動物実験や細胞実験を用いて正しく検査できる機関として国が認めているもの。AAALACは人道的な動物の管理のもとで実験を行っている機関としての国際基準です。具体的には、あらかじめ試験操作手順書と試験計画書を作成すること。それに従い正しく試験を行い、その記録を残すこと。内部監査機関を置き、データの信頼性を確認して保証すること。試験にあたっては動物数は必要最小限にすること。実験動物の飼育環境に配慮すること。苦痛は最小限にすることなど細かい取り決めがあります。データの正当性と信頼性を確保しつつ、尊い命に最大限配慮しています。
 
― そうした愛護の精神から、このたび動物慰霊碑を建立することになったんですね。
慰霊碑建立の前にも毎年慰霊祭は行っていましたが、やはり形あるものが必要だろうと。動物実験を行う企業としては当然の事業だと思います。


― 会社の経費ではなく、有志の寄付金を集めたと聞いていますが。
社員はもちろんのこと、グループ本社の代表やグループ関連会社からの有志の寄付で建立しました。入魂慰霊祭ではグループ本社の代表も出席し、盛大に執り行うことができました。個人から募ることでより自分自身の仕事との意識を高められたと思います。


GLP=Good Laboratory Practice 優良試験所基準
AAALAC=Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care International 国際実験動物管理公認協会
 

2013年2月7日

13号 2013年1月発行

対談・職人気質 -その道のプロにきく仕事へのこだわりとご先祖祀りについて思うこと-

第6回 畳屋四代目の新たな挑戦 〜有賀俊幸さん〜
 
富士見町有賀畳商会4代目。高校卒業後、京都の老舗畳店に住み込み、畳技術や簿記を学ぶ専門学校に通いながら3年間修業。その後父の店に戻り、京都仕込みの伝統技術に加え最新設備も取り入れ家業を守っている。畳製作技能士1級(国家資格)と職業訓練指導員畳科の免許を持つ。

 
― 家業の畳店を継ごうと思ったいきさつは?
祖父からも父からも畳屋になるんだ、と言われて育ちました。特に反発もなく、他のことを少しばかりしてから戻るくらいなら、最初からなろう、と自然に決心するようになりました。
 
― 修業場所に京都を選んだのはどうしてですか?
まず家を出て住み込みで働きながら学べるところ、ということ。それに京都は寺や茶室、日本家屋がたくさんあり、日本の畳文化が生きているところです。実は京都の畳は日本の世間一般のものとは違って、家に戻ってから戸惑うことも多かったのですが、そういう違いを学べたのも貴重な経験でした。
 
― 畳文化や畳店の現状は?
畳離れしてはいますが、うちには個人の方から張り替えの仕事もよくあります。代々の店という知名度と技術のおかげですね。お客様に直接説明ができる機会も多くて、材料や加工の違いをわかってもらえやすいので、やりがいも大きいですね。

 
― 家業を継いだということで、ご先祖に対してはどんな思いがありますか?
先祖を一番意識するのは、祖父の残した仕事(畳)を見たときですね。作業してる姿は見たことがないんですが、畳を見ると祖父の仕事ぶりや職人としてのクセなんかも見えてきて、感慨深いです。子供に継がせたいか、といえば複雑ですね(笑)。でもこの仕事場に来るのは好きみたいです。掃除をしたらこづかいをやったりして、いい仕事とお金が直接つながる大事なものだということを伝えたいと思います。お墓参りも盆彼岸には必ず行きます。将来どんな職業につこうと、畳屋の子供であることは変わらないですからね。
 

2012年11月26日

12号 2012年11月発行

究極のおはかまいりえほん ゆらちゃんのおはかまいり

 
ゆらちゃんのおはかまいり家族でお墓参りに行くことの楽しさを伝える幼児向け絵本。
将来はお花屋さんになりたいと言う夢を持つ少女・ゆらちゃんが、家族と一緒にお墓参りに出かけるエピソードを、楽しい物語とかわいらしい絵で仕上げています。


ゆらちゃんのおはかまいりお墓参りをこれほど正面から描いた本はなかなかありません。
お子さんやお孫さんをひざに乗せながら読み聞かせてあげたい、心温まる一冊です。

○ プレゼント
この本を毎月1名の方にプレゼントします。
住所、お名前、お電話番号、「石や・ころころ通信」の感想、
ご希望のお受け取り方法(着払い郵送またはご来店)をお書きの上、
ハガキまたはホームページよりご応募ください。
①ハガキの場合 〒408-0044山梨県北杜市小淵沢町797 有限会社伊藤石材工業 宛に郵送
②ホームページの場合 いとう石材のHP http://itosekizai.co.jp/ お問い合わせフォームより送信

 
○ 推薦の言葉
〜淵嶽山高福寺住職 水原康道さん〜
「ノノサマ」って言うのは、古くからお月さまという赤ちゃん言葉。小さな子供のう
ちから、ご先祖さまに手を合わせることを伝えてきました。仏壇やお墓のお参りは大
切に!ご先祖さまへの感謝や家族の心の絆が自然と生まれてくると思います。
 

2012年8月1日

11号 2012年7月発行

机 デイサービス 恵福の家

恵福の家昔から親しんでいた我が家のような場所。それが、富士見町机集落にあるデイサービス施設「恵福の家」です。地元野菜を使った手作りの食事、ヤギ乳のケーキなどでおもてなし。庭には涼しげなせせらぎ、バラやハーブ、自然農で栽培する自家菜園が広がっていています。

恵福の家農地付の一般住宅を介護サービス用に改造。車いす対応トイレや介護機能付き浴槽を新設しました。一軒家の小規模体制ならではのきめ細かさが魅力です。

恵福の家地域のお年寄りが元気に笑える場を作りたいという夢をかなえるためケアマネージャー、介護福祉士の資格をとった小笠原耐子さん(右下)とオーナーの紘二さん(左)、スタッフの橋本さん(右上)。


 

対談・職人気質 -その道のプロにきく仕事へのこだわりとご先祖祀りについて思うこと-

第5回 「語りあう」で共通、ストーブとお墓 〜椎名武志さん〜
薪ストーブ専門店を経営。輸入商品を中心に販売し、設置設計と施工を行う。30年前に横浜から移住。薪ストーブは山暮らしのあこがれ的存在としての時代を経て、現在はバイオマス燃料活用の暖房器具として必要とされる時代へ突入した。普及に伴い法的規制も厳しくなり、専門家としての役割がますます重要になっている。
 
八ヶ岳の住宅で、薪ストーブを設置する家は増えているんですか?
増えてますね。昔は別荘が多かったから、暖炉とかスタイルのおしゃれなものが流行っていたけど、今は調理のできるもの、熱効率のいいものが圧倒的に多い。生活に必要な火力源なんです。雰囲気重視から実用重視になって、いいものを使う人が増えたのは私にとってもうれしいことです。
 
薪の確保が大変、というイメージがありますが。
手はそれなりにかかりますよ。でもカーボンニュートラルの考え方からすると、もう化石燃料に頼る時代じゃない。果樹や雑木林の間伐材、しいたけ原木の不要部分などが、八ヶ岳では比較的手に入りやすいところです。長野県側は特に整備が進んでいますね。
 
八ヶ岳の設置専門業者としては、椎名さんは経験が長いですよね。
旧大泉村の油川で23年前に始めて、高原道路ができる15年前に今の店を構えました。最近は設置業者も増えましたけど、気をつけてほしいのは安全面。壁からの距離や遮熱素材の使い方は、製品一つ一つで違うんです。緻密な計算と性格な施工が必要。知らないで設置して火災が出た例も多いんですよ。建築基準法でも年々厳しくなっています。やっぱり専門家に頼んでほしいです。
 
設計といえば、椎名家のお墓はご自身で原案を設計なさいましたよね。
今すでに幼い時に亡くなった子供が入っていますが、このお墓がみんなの「語らいの場」になればと。車いすでも来られるように、入口のカーブやスロープを計算して、CADで設計図案を書いてみました。敷地内のスペースはゆとりをたっぷりもたせてあるので、いずれベンチを置いたりしていきたいです。夫婦二人、この場所でゆっくりできることを願って建てたのですが、まだまだ忙しくてね。静かな余生には程遠いですよ。でも集まって語り合う場、という意味ではストーブもお墓も同じですね。

2012年5月5日

10号 2012年4月発行

対談・職人気質 -その道のプロにきく仕事へのこだわりとご先祖祀りについて思うこと-

第4回 「人が集まる空間としての墓地、その美とひろがり」 〜両角修次さん〜
一級建築士。伝統道具や家具の店「もろずみ鉄木堂」を営み、書もたしなむ。富士見の名所を歩いて回る「おらが山里ネットワーク」の運営や、諏訪の新しい名産を販売するイベント「スワいち」富士見エリアの会場設計など、町おこしに貢献。富士見町の建築物や歴史、墨客についての研究もライフワークとして行っている。

 
― 建築の立場から、どんな町づくりを考えますか?
「この高原の町はいろんな魅力がありますね。まず豊かな自然資源。そしてその中で生活する人々が生んだ里山風景や古い建築物。建築だけ見ても宿場町らしく旅館、農業や養蚕を行う民家、空気がよいことから療養所・・・といろんなタイプがあります。建築も含めた町並み空間全体をプランニングしてみたら面白いんじゃないかと思うんです。」
 
― 参考にする建築はありますか?
「僕はイタリアの建築が好きで、町づくりにもとても参考になると思っています。特にヴェネツィアは町全体がひとつの建築物といわれますが、人が集まる空間づくり、誘導するストーリーづくりがとても上手なんですよ。著名な建築家の一人カルロ・スカルパはおもしろい。彼の作品でブリオン・ヴェガという墓地の設計があります。富豪ブリオン家の墓なのですが、既存の共同墓地に隣接した広大な土地に、夫婦の埋葬地と墓碑、礼拝堂まで備えた墓を展開した見事な作品です。墓を空間アートとして表現し大勢の人の鑑賞の対象にもなったんです。人が集まるということが、町でも公園でもお墓でも大切な目的ですね。」
 


― 建築でも石を使うことも多いと思いますが、石という素材はどんな魅力がありますか?
「スカルパと同じくらい私が敬愛する建築家・白井晟一は石の建築家でもあり実存主義の哲学者でもありました。実存主義を敢えて一言で言うと「実存は空想を超える」ということだと思うのですが、石はもっとも風化しにくく、白井も実存の比ゆとしてよく用いた素材です。自然そのものだから表現も無限なのが一番の魅力ですね」
 
― 建築家・両角さんの考える「お墓」とは?
「お墓はご先祖の空間を共有する場所だと思います。お墓に行くとご先祖のことを考える。一人一人にそれぞれの世界・空間があったわけで、その集大成が自分なんです。人間のつながり、歴史のつながりを痛感しますね」
 
ブリオン・ヴェガ。エントランスから見た二つの円の重なりはスカルパ生涯のモチーフ。参考文献:「建築と都市」1985年10月臨時増刊号「カルロ・スカルパ作品集」