九十余年の人生を込めた歌碑
92才になるおじいちゃんのために、息子さんとお孫さんが記念碑を建てられることになりました。
おじいちゃんは短歌がご趣味。
今までの人生を振り返って、渾身の一句。
新道に 添いたる旅籠 亀甲屋
宿を閉ざして 九十余年
新しい道ができる際に宿を興した当時の当主。
その後時代は流れて旅籠の役割もなくなり、おじいちゃんが生まれたころには宿を閉ざしていたとのこと。
そこからさらに九十余年の歳月。
どんな思いでその年月をふりかえったのでしょう。
石は御岳山の黒光真石、表面は研磨してあります。
書をたしなむ友人に書いてもらいました。
パソコン上にとりこんだ書を、マスクゴムにペン書きし、
カッターで切り取ります。

庭に台石を据えて、碑石をのせて
こんな感じに仕上がりました。



小淵沢在住の国際山岳ガイド。八ヶ岳編笠山の山小屋「青年小屋」を運営。山梨県警とともに長く山岳救助活動にも携わり、現在は同署山岳救助隊長。日本山岳ガイド協会理事、八ヶ岳山岳ガイド協会会長、環境省自然公園指導員、北杜市観光協会理事などいくつもの重要な立場から、指導や講演も多い。信仰、環境、観光など様々な分野から登山の理解を深めともに行動してくれる、山のプロフェッショナル。
山岳ガイドは土日が中心です。お客様は初心者や女性、そして冬山に挑む上級者まで様々です。それぞれの人の目的やレベルに応じて安全な山登りをサポートすると同時に、山への畏敬の念や自然の多様性を感じてもらいたいという思いで案内しています。
日本では昔から山岳信仰があって、登山は修行の一環でしたからね。西洋の登山は約200年とまだ歴史が浅く、「制覇」することが目的ですが、日本では記録に残っている限りでも1400〜1500年の歴史があり、おそらく縄文の頃から生活の中で登山が行われていたと考えられています。私も「山は生き物であり、先生であり、神様」という思いで日々対面しています。「自然をどのように制御するか」をモットーとしてきた西洋人とちがって、自然に生かされていると感じてきた日本人には、DNAの中に自然への親しみと尊敬が組み込まれていると感じますね。だから私も山に失礼がないように、山に合わせた体力づくりや知識の習得を心がけています。
基本的に警察が単独ではできない遭難の場合に私が出動しますので、危険で難しい現場が多いです。残念ながら遺体にも遭遇します。何ヶ月も時間が経ってしまっているものもありますが、傷つけないよう細心の注意をはらいます。「骨一本も残すな」と他の隊員にも徹底し、お経を読んでケルン※を立て、遺体は丁寧にくるんでヘリの中に入れます。遺体は家族にとってかけがえのない「形」で、気持ちを整理するにも遺体があるのとないのとでは全然違いますから。



