2011年12月30日
7号 2011年8月発行
対談・職人気質 -その道のプロにきく仕事へのこだわりとご先祖祀りについて思うこと-
第1回 「普段の暮らしの中に先祖とのつながりを」 〜大工・鈴木直彦さん〜
北杜市武川町。
祖父・父の代からの工務店を基盤に、
国産材、県産材で建てる伝統構法の家づくり
「木の香」を立ち上げる。
― 伝統構法の家とはどんなものですか?
簡単にいえば、昔の寺社や民家の造り。無垢の木を手刻みして、釘やボルトを使わずに柱と梁を組む方法。木は木材になってもまだ生きているから、建ててからも組んだ木同士が少しずつからんで、なじんでいく。地震にも強いんだ。
―素材はどんなものを使うのですか?
国産の無垢材、極力地域材を使うようにしている。他にも壁は土、土台は石というように、自然素材を集めてる。
-伝統構法、県産材、自然素材にこだわるのはなぜですか?
ゴミにならないからかな(笑)。家は住む人と一緒に育っていくものだから、ただ「使う」のではなく「活かす」ことを考えたい。職人の手仕事が見え、その材が育った地域が見える。それが住む人にとっても周りの環境にとっても居心地のいいものになるはずなんだ。そして何百年後か、使命を全うすれば大地に帰る。人間と同じだよ。
-先代からの工務店をベースに家づくり集団「木の香」をたちあげたのもそんな思いから?
そう。日本が誇る木材と建築技術をちゃんと次へつなげる仕事をしたいと思った。
―当店の考える<ご先祖祀り>と通じるところがありますね。
自分も父がなくなってからお墓は大事と感じるようになったけど、先祖の供養も普段の生活に自然に受け入れていけばいいと思う。今自分があるのはその前の代のおかげだし、そうなるとやっぱり無縁仏みたいにしておくのは世間に顔向けができないね。当たり前のことをきちんとすることで、人間も家もつながっていくんだと思うよ。