11号 2012年7月発行
机 デイサービス 恵福の家
昔から親しんでいた我が家のような場所。それが、富士見町机集落にあるデイサービス施設「恵福の家」です。地元野菜を使った手作りの食事、ヤギ乳のケーキなどでおもてなし。庭には涼しげなせせらぎ、バラやハーブ、自然農で栽培する自家菜園が広がっていています。
農地付の一般住宅を介護サービス用に改造。車いす対応トイレや介護機能付き浴槽を新設しました。一軒家の小規模体制ならではのきめ細かさが魅力です。
地域のお年寄りが元気に笑える場を作りたいという夢をかなえるためケアマネージャー、介護福祉士の資格をとった小笠原耐子さん(右下)とオーナーの紘二さん(左)、スタッフの橋本さん(右上)。
対談・職人気質 -その道のプロにきく仕事へのこだわりとご先祖祀りについて思うこと-
第5回 「語りあう」で共通、ストーブとお墓 〜椎名武志さん〜
薪ストーブ専門店を経営。輸入商品を中心に販売し、設置設計と施工を行う。30年前に横浜から移住。薪ストーブは山暮らしのあこがれ的存在としての時代を経て、現在はバイオマス燃料活用の暖房器具として必要とされる時代へ突入した。普及に伴い法的規制も厳しくなり、専門家としての役割がますます重要になっている。
―八ヶ岳の住宅で、薪ストーブを設置する家は増えているんですか?
増えてますね。昔は別荘が多かったから、暖炉とかスタイルのおしゃれなものが流行っていたけど、今は調理のできるもの、熱効率のいいものが圧倒的に多い。生活に必要な火力源なんです。雰囲気重視から実用重視になって、いいものを使う人が増えたのは私にとってもうれしいことです。
―薪の確保が大変、というイメージがありますが。
手はそれなりにかかりますよ。でもカーボンニュートラルの考え方からすると、もう化石燃料に頼る時代じゃない。果樹や雑木林の間伐材、しいたけ原木の不要部分などが、八ヶ岳では比較的手に入りやすいところです。長野県側は特に整備が進んでいますね。
―八ヶ岳の設置専門業者としては、椎名さんは経験が長いですよね。
旧大泉村の油川で23年前に始めて、高原道路ができる15年前に今の店を構えました。最近は設置業者も増えましたけど、気をつけてほしいのは安全面。壁からの距離や遮熱素材の使い方は、製品一つ一つで違うんです。緻密な計算と性格な施工が必要。知らないで設置して火災が出た例も多いんですよ。建築基準法でも年々厳しくなっています。やっぱり専門家に頼んでほしいです。
―設計といえば、椎名家のお墓はご自身で原案を設計なさいましたよね。
今すでに幼い時に亡くなった子供が入っていますが、このお墓がみんなの「語らいの場」になればと。車いすでも来られるように、入口のカーブやスロープを計算して、CADで設計図案を書いてみました。敷地内のスペースはゆとりをたっぷりもたせてあるので、いずれベンチを置いたりしていきたいです。夫婦二人、この場所でゆっくりできることを願って建てたのですが、まだまだ忙しくてね。静かな余生には程遠いですよ。でも集まって語り合う場、という意味ではストーブもお墓も同じですね。