13号 2013年1月発行
対談・職人気質 -その道のプロにきく仕事へのこだわりとご先祖祀りについて思うこと-
第6回 畳屋四代目の新たな挑戦 〜有賀俊幸さん〜
富士見町有賀畳商会4代目。高校卒業後、京都の老舗畳店に住み込み、畳技術や簿記を学ぶ専門学校に通いながら3年間修業。その後父の店に戻り、京都仕込みの伝統技術に加え最新設備も取り入れ家業を守っている。畳製作技能士1級(国家資格)と職業訓練指導員畳科の免許を持つ。
― 家業の畳店を継ごうと思ったいきさつは?
祖父からも父からも畳屋になるんだ、と言われて育ちました。特に反発もなく、他のことを少しばかりしてから戻るくらいなら、最初からなろう、と自然に決心するようになりました。
― 修業場所に京都を選んだのはどうしてですか?
まず家を出て住み込みで働きながら学べるところ、ということ。それに京都は寺や茶室、日本家屋がたくさんあり、日本の畳文化が生きているところです。実は京都の畳は日本の世間一般のものとは違って、家に戻ってから戸惑うことも多かったのですが、そういう違いを学べたのも貴重な経験でした。
― 畳文化や畳店の現状は?
畳離れしてはいますが、うちには個人の方から張り替えの仕事もよくあります。代々の店という知名度と技術のおかげですね。お客様に直接説明ができる機会も多くて、材料や加工の違いをわかってもらえやすいので、やりがいも大きいですね。
― 家業を継いだということで、ご先祖に対してはどんな思いがありますか?
先祖を一番意識するのは、祖父の残した仕事(畳)を見たときですね。作業してる姿は見たことがないんですが、畳を見ると祖父の仕事ぶりや職人としてのクセなんかも見えてきて、感慨深いです。子供に継がせたいか、といえば複雑ですね(笑)。でもこの仕事場に来るのは好きみたいです。掃除をしたらこづかいをやったりして、いい仕事とお金が直接つながる大事なものだということを伝えたいと思います。お墓参りも盆彼岸には必ず行きます。将来どんな職業につこうと、畳屋の子供であることは変わらないですからね。