14号 2013年4月発行
対談・職人気質 -その道のプロにきく仕事へのこだわりとご先祖祀りについて思うこと-
第7回 生き物の尊い命に感謝、有志で建てた慰霊碑~
㈱シミックバイオリサーチセンターの皆さん
(話し手:ビジネスサポート部・正木文夫さん)
― 動物を使ってどんな試験をしているんですか?
マウスやウサギ、イヌ、サルなどを使って、医薬品、
健康食品、食品添加物、農薬などの安全性や有効性
を研究しています。
― 資生堂が先日「動物実験は行わない」と発表していましたが、行わなくても済むものなんですか?
大手の化粧品会社では動物愛護の精神から動物実験をやめるのが主流になってきています。既に安全性が確保されていて美を求めるためということなら確かに動物実験はなくても可能でしょう。ただ、生死に関する分野では動物実験は必須です。そんな犠牲の上に私たちの文明が成り立っていることを忘れてはいけません。
― 御社が認証を受けているGLPとAAALACというのはどういうものですか?
GLPは化学物質などの安全性を、動物実験や細胞実験を用いて正しく検査できる機関として国が認めているもの。AAALACは人道的な動物の管理のもとで実験を行っている機関としての国際基準です。具体的には、あらかじめ試験操作手順書と試験計画書を作成すること。それに従い正しく試験を行い、その記録を残すこと。内部監査機関を置き、データの信頼性を確認して保証すること。試験にあたっては動物数は必要最小限にすること。実験動物の飼育環境に配慮すること。苦痛は最小限にすることなど細かい取り決めがあります。データの正当性と信頼性を確保しつつ、尊い命に最大限配慮しています。
― そうした愛護の精神から、このたび動物慰霊碑を建立することになったんですね。
慰霊碑建立の前にも毎年慰霊祭は行っていましたが、やはり形あるものが必要だろうと。動物実験を行う企業としては当然の事業だと思います。
― 会社の経費ではなく、有志の寄付金を集めたと聞いていますが。
社員はもちろんのこと、グループ本社の代表やグループ関連会社からの有志の寄付で建立しました。入魂慰霊祭ではグループ本社の代表も出席し、盛大に執り行うことができました。個人から募ることでより自分自身の仕事との意識を高められたと思います。
GLP=Good Laboratory Practice 優良試験所基準
AAALAC=Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care International 国際実験動物管理公認協会






富士見町有賀畳商会4代目。高校卒業後、京都の老舗畳店に住み込み、畳技術や簿記を学ぶ専門学校に通いながら3年間修業。その後父の店に戻り、京都仕込みの伝統技術に加え最新設備も取り入れ家業を守っている。畳製作技能士1級(国家資格)と職業訓練指導員畳科の免許を持つ。
畳離れしてはいますが、うちには個人の方から張り替えの仕事もよくあります。代々の店という知名度と技術のおかげですね。お客様に直接説明ができる機会も多くて、材料や加工の違いをわかってもらえやすいので、やりがいも大きいですね。
先祖を一番意識するのは、祖父の残した仕事(畳)を見たときですね。作業してる姿は見たことがないんですが、畳を見ると祖父の仕事ぶりや職人としてのクセなんかも見えてきて、感慨深いです。子供に継がせたいか、といえば複雑ですね(笑)。でもこの仕事場に来るのは好きみたいです。掃除をしたらこづかいをやったりして、いい仕事とお金が直接つながる大事なものだということを伝えたいと思います。お墓参りも盆彼岸には必ず行きます。将来どんな職業につこうと、畳屋の子供であることは変わらないですからね。



家族でお墓参りに行くことの楽しさを伝える幼児向け絵本。
お墓参りをこれほど正面から描いた本はなかなかありません。



昔から親しんでいた我が家のような場所。それが、富士見町机集落にあるデイサービス施設「恵福の家」です。地元野菜を使った手作りの食事、ヤギ乳のケーキなどでおもてなし。庭には涼しげなせせらぎ、バラやハーブ、自然農で栽培する自家菜園が広がっていています。
農地付の一般住宅を介護サービス用に改造。車いす対応トイレや介護機能付き浴槽を新設しました。一軒家の小規模体制ならではのきめ細かさが魅力です。
地域のお年寄りが元気に笑える場を作りたいという夢をかなえるためケアマネージャー、介護福祉士の資格をとった小笠原耐子さん(右下)とオーナーの紘二さん(左)、スタッフの橋本さん(右上)。
薪ストーブ専門店を経営。輸入商品を中心に販売し、設置設計と施工を行う。30年前に横浜から移住。薪ストーブは山暮らしのあこがれ的存在としての時代を経て、現在はバイオマス燃料活用の暖房器具として必要とされる時代へ突入した。普及に伴い法的規制も厳しくなり、専門家としての役割がますます重要になっている。
旧大泉村の油川で23年前に始めて、高原道路ができる15年前に今の店を構えました。最近は設置業者も増えましたけど、気をつけてほしいのは安全面。壁からの距離や遮熱素材の使い方は、製品一つ一つで違うんです。緻密な計算と性格な施工が必要。知らないで設置して火災が出た例も多いんですよ。建築基準法でも年々厳しくなっています。やっぱり専門家に頼んでほしいです。



一級建築士。伝統道具や家具の店「もろずみ鉄木堂」を営み、書もたしなむ。富士見の名所を歩いて回る「おらが山里ネットワーク」の運営や、諏訪の新しい名産を販売するイベント「スワいち」富士見エリアの会場設計など、町おこしに貢献。富士見町の建築物や歴史、墨客についての研究もライフワークとして行っている。



ブリオン・ヴェガ。エントランスから見た二つの円の重なりはスカルパ生涯のモチーフ。参考文献:「建築と都市」1985年10月臨時増刊号「カルロ・スカルパ作品集」



世界的にもユニークな公害問題に取り組んできた学識者が中心となって発足した、環境を考える会「日本環境会議」の会員でもあり、「やまなし環境会議」の会長。本職は日蓮宗法光寺(甲府市)の住職。他、里親会「きずな会」会長や甲府市国母地区子どもクラブ指導者協議会会長、保護司など多方面で活躍。
仏教は理論的な教えで、それをかみくだいて理解し実践することが大切です。今の時代風に解説すると、「素直に聞く=情報を収集する」「まじめに考える=情報を整理分析する」「真剣に行う=情報を取捨選択し行動にうつす」この3原則が学ぶ上でもっとも基本となることで、生きる知恵でもあるんです。
いしぶみ
富士山







北杜市武川町。
簡単にいえば、昔の寺社や民家の造り。無垢の木を手刻みして、釘やボルトを使わずに柱と梁を組む方法。木は木材になってもまだ生きているから、建ててからも組んだ木同士が少しずつからんで、なじんでいく。地震にも強いんだ。
国産の無垢材、極力地域材を使うようにしている。他にも壁は土、土台は石というように、自然素材を集めてる。
ゴミにならないからかな(笑)。家は住む人と一緒に育っていくものだから、ただ「使う」のではなく「活かす」ことを考えたい。職人の手仕事が見え、その材が育った地域が見える。それが住む人にとっても周りの環境にとっても居心地のいいものになるはずなんだ。そして何百年後か、使命を全うすれば大地に帰る。人間と同じだよ。
そう。日本が誇る木材と建築技術をちゃんと次へつなげる仕事をしたいと思った。



小淵沢駅前商店街の一角にある「ショップまちこぶ」。地元農家のおいしい野菜やお米、自然食品などを扱う直売所です。なるべく無農薬やオーガニックに限定した体にも環境にもやさしい食品がそろっていて、気さくなお店の人との会話も楽しく、つい立ち寄りたくなるお店です。その「まちこぶ」主催の味噌作り教室に参加しました。
講師はまちこぶ店長の太田さん。食品化学・栄養学のご専門で、食品関係の研究所に長年勤められたあと、無添加大豆で作った食品を製造販売するお店「だいずや(北杜市高根町清里)」を立ち上げた人です。今回の教室で使うのは清里産の大豆。大粒できれいな黄金色の極上品です。業務用の大鍋で煮てつぶして麹と赤穂の天塩を混ぜて貯蔵前の味噌だま完成。ここまではみんなで一緒に作るのですが、味噌のおもしろさはこれから。各家に持ち帰って貯蔵している間にそれぞれまったく違う味になっていくのだそうです。保管場所や密閉のしかたによるからなのですが、一番は愛情のかけかたが千差万別だからだとか。まさに「手前味噌」、こどもと同じなんですね。
「日本の大豆自給率は4%。すべてを国産でまかなうのはもはや無理。添加物や遺伝子組み換えの知識も知った上で受け入れていく覚悟も必要。だからこそ手作りは貴重です。これを機に食への関心を高めてほしい」食品安全モニターでもある太田さんの講義が身にしみる一日でした。まちこぶでは今後も保存食などの手作り教室を開く予定。お楽しみに!






