「南無釈迦牟尼佛」に込めた想い
次の「ころころ通信」の取材のため、甲府のお客様のところへ行ってきました。
甲府在住の方で、墓地も甲府。
八ヶ岳周辺が圧倒的な施工エリアの最近のウチの仕事としてはめずらしいことです。
しかも、この方はわざわざいろいろ調べて、甲府の業者さんではなく、当店を指定して来てくれた人。
そのわけは建て方のこだわりにありました。
奥さんが亡くなって1周忌を迎えるにあたり、墓石の開眼をめざしたKさん。
建てるにあたっては、宗派の教義に沿ったお墓を研究なさいました。
調べているときに娘さんとネットでみつけたのが「仏教墓塔研究会」。
仏教の各宗派の教義を正しく習得し、それに沿った形での墓塔の建立を考える研究会で、
福原堂礎さんが主催をしています。
あやしい宗教団体でも占い系の墓相屋でもなく、宗教学を通して本来のお墓の意味を考えるという、至極まじめな会です。
毎年1月頃、石材店や寺院向けの研修会が開かれていて、ウチの夫も数回(毎回はちょっと金銭的余裕がないので・・・)参加しました。
やたら飲むだけの名目上の研修会ではなく、朝から晩までずーっと講義やお寺の見学があって、へとへとになるそうです。
そんな研究会のことを知り共感されたKさんは、本来の意味をきちんと表したお墓を建てたいと希望されました。
さぞ、以前から研究熱心で、読書家で、(もしかしたらちょっと気難しいのかしら・・・)と想像していたのとはまるっきり違う、ほんわかと癒し系のタクシー運転手さん。
なくなった奥さんとは、高原の教会で友人だけを招いて結婚式をあげ、小さな喫茶店を経営していたという、ロマンチックで素敵な人です。
お話をしていると、60代になってまもなく乳がんで亡くなった奥様への想いが切実に伝わってきます。
「あいつが・・・」と奥様のことをいうのもすごく愛情が感じられます。
生前いろいろしてあげられなかった代わりにせめて供養をちゃんとしたい。
奥様は、お花好きで明るい性格の反面、信心深いところもあり、そんな奥様の願いをかなえたいというのが、お墓へのこだわりでした。
タクシーを利用する人は、お墓参りの人もとても多いそうです。
お客さんをお墓に連れて行って、墓参の間待機し、また駅まで送り届ける。
来たときと帰るときでは、お客さんの表情がぜんぜん違う。「ほっとした」という声をよく聞くそうです。
墓石建立を考え始めた頃から、お客さんを待っている間、墓石を注意して見るようになりました。
「曹洞宗のお墓は、甲府の場合は黒やグレイが多いですね。日蓮宗は白が多いですよ。
お地蔵様を建てるのは日蓮宗が多いね。」そんな調査報告(?)も話してくれたりしました。
(確かに甲府市は禅宗と日蓮宗のお墓が多いです)
Kさん、八ヶ岳でコーヒー屋さんやってくれないかなぁ。