ハサミがない!
またハサミがない。
大事に使ってきてよく切れる、私専用のはさみだ。
パソコンの脇のペン立ての中が定位置。
小淵沢にしては少々蒸し暑い風呂上りの夕方。
子どもらを風呂に入れ、自分の身支度も整えてあがってきたばかり。
選挙の電話がかかり、近所の用事で人が来て、
部屋にはおもちゃや書類や食べ残しが散乱している。
あああっ!そしてTazがコンセントを食べている!!
階段1段登っちゃったところをとりあえずおろして自分は洗面所へ。
Tazの布おむつについたうんちを洗おうとしたらせっけんがもうない。
次のせっけんをとり、いまや封を切ろうとしたら、定位置にハサミがない。
またかー!!
使ったら元にもどしてと言ってあるでしょう。
探してっ!
するとMoo、
「おかあさんもじぶんでさがしてね」
ちがーうう。「じぶんで」とはなんだ「じぶんで」とは。
持ち出した本人が探すもんだろう。
それにそりゃいつも私が言う口ぐせだい。
ぶつぶつ、いらいら、がみがみ。
とにかくはさみがないのでカッターで代用した。
でも定位置にないと気持ち悪いし、Tazが先にみつけてなめたらこまる。(Tazは失せもの探しの名人。狭いところにどんどん入ってなんでも口にいれてくれる)
なかば意地になって探す。
するとまた一言。
「Mooちゃんのハサミ、かしてあげようか?」
そーいう問題じゃなーーい。
なんだかばかばかしくなってきた。
娘は自分のせいという意識がない。
天然ボケの声で無邪気に親を気づかっている。
ハサミがない→おかーさんが困っている→貸してあげよう。
すばらしい発想の転換だ。しかもおもいやりにあふれている。
あった。おりがみを切った跡。関係ないおもちゃも同居している。
やっぱりMooだった。(もしかしたら私が置き忘れたかも、という方向もありえた)
ハサミは危ないから使ったらすぐかたづけようね、とエラそうに言い聞かせる。
Mooの返事。
「おかーさん、みつかってよかったね。」にこっ。
・・・ふぅ。
おなかすいたね、ごはんにしよっか。