2018年11月9日
山日新聞「お墓どうする?」特集について
山日新聞の特集ページ「お墓、どうする?」について。
まずは単純に訂正。
今日の山梨日日新聞に、「お墓、どうする?」特集が載っています。
当店が販売代理で関わっている「ガーデニング型樹木葬フラワージュ」のことも先日取材され、
墓じまいや従来型の墓にとらわれないニーズの受け皿として、紹介していただきました。
一点、「13回忌が済んだ後は合祀して土に返す」というところは「最後の登録者が埋葬されてから13年後に合祀する」の間違いですので、ご了承ください。
また、当店はじめ専門家や業界では「遺骨を土にかえす」というときの「かえす」の漢字は「返」より「還」を意識的に使っています。
一般的な石のお墓では遺骨は壺に入ったままで土に還らない、と誤解している人もいますが、
土葬がほぼなくなった現在では、石の納骨堂の中は下の土とつながる設計になっていることがふつうですので、
一般のお墓もちゃんと土に還ります。
実は、この記事に「フラワージュ」を載せることには最初抵抗がありました。
「いとう石屋は墓じまい石屋になったのか?!」と誤解されるような気がしたからです。
今まで堅牢な工事、美しい文字、宗旨宗派に沿った正しい建て方ができる石屋、という看板を全面に出していた老舗店のプライドは?!
でも「フラワージュ」がどんなに小さくても一つの立派なお墓であること、入る人本人はもちろんお参りする人がいることが前程でつくられたプランであることは、今までの当店の方針と何もブレていないし、
何より、「墓じまい」はちゃんと親族で話し合うべきことだということを、少なくとも記者の方には十分お伝えしたつもりでいるので、一企業としての目先の利益より社会全体に問題提起することに協力させていただきました。
「墓じまい」。
言葉が昨今一人歩きしているように感じます。
今まで慣習的に行ってきた墓守りに疑問を感じる世代が増えてきた。
これは明らかに社会問題です。
少子化、非婚化、高齢化。
大都市集中と地方衰退。
無宗教、個人主義。
そんな社会から自然発生的に浮かび上がってきたのがお墓の問題です。
一方。
都会生活に別れを告げて田舎の商売屋の嫁になった身としては
田舎の可能性に賭けることで自分の存在を肯定してきました。
駅前活性化、なんて十何年も言い続けてる小淵沢駅前だって、関わる人も変わりながら、どこかへ向かおうとしています。
田舎の高齢者の老人力はすごいものがあるし
生産現場を求める若い世代の力も入ってきています。
八ヶ岳は特に、都心部からアクセスがいいこともあって、こうしたいろんな力がみなぎっていると感じます。
昔ながらのお墓を守ることが地域を元気にするカギになると信じて、新しい建墓の仕事は少なくなってはいるけど、私たちは「石屋のコンビニ」として頑張ろうと思っています。
一方で、八ヶ岳が好きでこの地の土に還りたいという新住民のニーズはいままで整っていませんでした。
お墓参りがあることで、八ヶ岳に人が来る、墓参りの文化も守れる。
「フラワージュ」も一般お墓作りも、まったく同じ気持ちでお仕事しています。
「墓じまい」は今お墓を守っている人が、自分たちがもっと頻繁にお墓参りができることを前提に行うのが原則であって、決して次の世代の墓参りの権利を奪うものであってはならないと思います。
次の世代・・・だいたい今の40代前後でしょうが、そんなに薄情な世代でもないです。
むしろ、今のうちにお墓参りの文化を、そのさらに下の世代(10代)にきちんと教育する責任のある世代であり、その場として、お墓は今現在はあるべきなのです。片づけなければいけないなら、その後です。
「墓じまい」は離婚以上に大きなエネルギーを費やすことも、覚悟しておかれたほうがいいです。
遺骨の身元を調べることやお寺からの離檀、地元の親戚との関係・・・墓じまいにはやっかいで労力がかかることがたくさんあります。
今はクリック一つで手続きから解体までやってくれる便利な墓じまい業者もいるようですが、
ウチは基本ご自身の手足でやっていただいています。
それくらい責任をもつべきだし、行った後後悔してほしくないからです。
正直(ぶっちゃけ)、今のお墓を少しずつメンテしながら守っていくのが、万民にラク・・・な場合も多いです。
・・・なんだか言いたいことが山ほどあって、とりとめがない文章になってしまいましたが
この記事をきっかけに、ご家族でお墓のことを考える機会になればいいなと思います。