うさちゃん弁当のゆくえ
Kuhの保育園の準備をしていたら、先に準備ができて外で待っていたTazが半狂乱になって戻ってきた。
「おべんとう、水の中におとしちゃったー!!」
水たまりのことだろうか。
「じゃあ拾っておいで、あたらしいごはん入れてあげるから」
「だめなの、Tazじゃとどかないんだもん、どうしよう、おかあさんたすけて」
?マークが渋滞する。
ナプキンで包んでリュックに入れたはずのおべんとうが、どこに落ちたって?
小淵沢の保育園ではアルミの弁当箱に白ご飯だけ入れて持って行くことになっている。
保育園の決まりで、弁当の中身は白ご飯だけ。ふりかけや梅干などを添えてはいけない。(玄米、雑穀米はOK)
Tazはそれを承知の上で、敢えて校則(園則)違反を犯す。
海苔でうさぎちゃんを切って、ごはんの上に乗せたらしい。
(最近切り絵にはまり、これが5才にしてはけっこう緻密に器用にできるものだから)
そしてそれをもう一度見たくて、わざわざ包んである弁当箱を外であけ、運悪く手がすべって田んぼの水路に落ちてしまったのだ。
通園路を1分ほど歩き進んだところにある貯水槽。確かに手を伸ばしても届かない。
弁当は無情にも、うさぎちゃんの海苔切り絵を上にしたまま、転がっている。
「なんでこんなところでお弁当を開けたりしたの」
「ごめんなさいごめんなさい」
あまりのバカバカしさに怒る気も失せて笑いだしてしまった。そーかー、嬉しかったんだろーなー、ひそかにうさぎの海苔が入ってるのが。
「おかあさんでも届かないよ。どうしようかな…」
大人の感覚からすれば、面倒だからこのまま放っておきたいところなのだが、やはり不燃物を水路に置き去りにするのはまずかろう。ほんとに流れていかないうちに、一応弁当箱はすくい上げておかなければ。
で、おもちゃのマジックハンドがあることを思い出した。
「あ、ガッチンガッチン!そっっか!」とTazの顔が一転。
ガッチンガッチンことマジックハンドによって、アルミ弁当箱は無事取り上げられた。
「おかあさんありがとう!!!」
でもまだ水路にむかって
「うさちゃんごはん…」と未練がましい。
台風一過。
今日もコピっとがんばれし、Taz!