絹の町・岡谷を歩く
諏訪西側湖畔の町・岡谷市は明治以降、蚕糸業で栄えたところ。
その歴史を伝える保存物を見る、町歩きツアーに参加してきました。
ツアーは、ころころ通信の「プロに聞く」コーナーで、建築と石やお墓の関係についてお話してくれたもろずみさんが主催。
諏訪エリアの歴史遺産や街並みを訪ねて歩く「おらが山里ネットワーク」という企画をたちあげ、
会員制で参加者を募っています。
今回の企画もそのひとつ。
テーマは「製糸業の岡谷、栄光の近代産業遺産を訪ねる」
まず最初に訪れたのは「岡谷蚕糸博物館」。
入口には大谷石が。
ここでは製糸で使われた機械の数々が展示してあり、その進化の歴史をみることができます。
残念ながら、この博物館は今月いっぱいで閉館するとのこと。
今後は別の場所に移転しますが、その準備のために1年半ほどお休みするそうです。
ということで、しばしの見納め。
若いけどしっかりした学芸員さんがわかりやすく、ひとつひとつの機械を説明していってくれました。
江戸の頃は手作業で糸を繰っていました。
明治の開国で、外国(イタリアやフランス)の繰糸機が入ってきて、製糸にも機械化が進んでいきます。
外国の繰糸機を日本の労働事情などに合うよう改良したのが、「諏訪式繰糸機」で、
これが全国にも広がりました。
その後「御法川(みのりかわ)式多条繰糸機」が開発されたりして、岡谷の製糸業を飛躍的に発展させたんだそうです。
モノづくりニッポンの原点。
岡谷の生糸はブランド化され、上物として外国に多く輸出されました。
推定では日本国中で稼ぐ外貨の実に1割を岡谷市の製糸業が占めていたとか。
今でいう自動車産業の豊田市のようなものです。
そんな説明を聞いたあと、いよいよ実際に製糸が営まれていた工場建物や実業家の住宅を訪ねるために、岡谷の町歩きが始まりました。
旧山一林組製糸工場事務所。
木造ですが、モルタルと細かい粒石をまぜた壁が風情があります。
<礎石にさび石が使われていたり、
スロープの縁の終わりにおもしろい石彫刻がほどこされていたり。
とても雰囲気のある建物です。
金上繭倉庫。
照光寺。
木造の立派な蚕霊供養塔を見に来ました。
総ヒノキ造りで棟梁は大隅流石田房茂。
供養塔もすばらしいですが、参道の入口の亀甲積みもなかなかのもの。
やはり石のほうにも目がいってしまいます。
最後の見応え、旧林家住宅。
製糸業で巨万の富を築き、鉄砲製造にも手を伸ばした、稀代の実業家、林国蔵の居宅です。
趣向をこらしまくった建物のみごとさに感嘆。
午前中たっぷりかけてまわった、岡谷の製糸業跡でした。
午後は産業遺産のいくつかやつつじの名所を訪問したりする計画でしたが、
私は午後は予定があったので、午前中だけで失礼しました。
他の人たちは「せっかくここまで来たからウナギで一杯やっていこう」と、老舗のうなぎ店に行かれたようです。
うらやましい!
そこで私も「せっかく」気分を味わおうと、岡谷駅前のデパート内にあるうなぎ屋さんでお弁当を調達しました。
わかさぎの佃煮もお土産に買ったら、おまけにウナギの骨のから揚げをもらいました。
そして、帰りの電車の中でごきげんなランチ。
シメはやっぱりこれですね。