おかみブログ
2008年6月17日

夏を詠む

夏の俳句の会がありました。
今回のお題は「五月闇」。
梅雨空が続き、昼間でも薄暗い様子、または月も見えず真っ暗な夜、などをあらわす季語です。
夏の闇は生き物の気配がするもので、そんな気配を詠んだ句が多くなりました。
同時になんとなく艶っぽい雰囲気も感じられるのか、少々お色気むーどな句もありました。
さらりとそんな情景を詠んだ句を選ばせていただきました。
私は、雨=水、じっと待つ=籠もる、落ち着いて守られてる、という雰囲気から、どうしても「胎児」という言葉を句にいれたかったので、そのまま「五月闇 胎児のごとく籠もりたり」と詠みました。
一人選んでくれた人がいました。
席題というのも出ます。
会の当日、いきなり出されるお題で、1時間くらいの間に即興で考えなければなりません。
今回の席題は「薪能」と「傘寿」。
八ケ岳に住む人なら身曾岐神社の薪能を、見たことはなくても知らない人はいないくらい、身近な言葉です。
「傘寿」は、つい先月80歳を迎えられた句会メンバーのお一人に宛てる句。
誰かに個人的に宛てる句という趣向は、平安時代の短歌のやりとりのようで、風流。
一度やってみたかったことです。
白髪のご年配でも水もしたたるいい男、という感じを伝えたくて、水に関連する夏の季語をさがしたところ「喜雨(きう)」というのがありました。
きれいな言葉です。さっそく使わせていただきました。
お能は事前に予習をしていけば、エンターテイメントとしてとても楽しめるもので、
私の少ない知識の中でも好きなものがあります。
『葵上』。
今年の身曾岐神社の演目でもあります。
ご存じ、源氏物語絵巻のワンシーンで、光源氏の正室・葵上の名前をとったタイトルですが、
実は主役は光源氏の不倫相手・六条御息所。
気高い未亡人が嫉妬に狂っていく様子を描いた大作です。
能、といえば般若。
般若面は女性が怒ったり嫉妬に狂ったりしたときに変身する顔を表現したもので、
般若面を使う代表作ともいってよいのが、この『葵上』です。
以上、解説本と珈琲館翡翠のマスター(またの姿、能面打師)からの知識でしたー。
薪能とは、かがり火を焚いて夜行う能で、夏の季語だそうです。
かがり火と六条御息所の嫉妬心をなんとかこじつけたくて作った句。
篝火や水面を燃やす六条の恋
なんと天に選んでくれた人がいました。
自分も「恋」という言葉を入れたかったから、との評。
「六条→むじょう(無常)の恋と掛けてるの?」というステキなシャレをくれる人もいました。
なるほど〜。
今回の句会で覚えたこと。
「昼寝」が夏の季語だそうです。
○○○○○掛けそば食って昼寝する
という句を詠んだ人がいて、選句のときはうっかり見逃してしまったほど、あっけなく感じる句でしたが、
「昼寝」が季語だとちゃんと知っていれば、もっと感慨深く感じられただろうに。
無知のおかげで、その人の情緒を受け止めることができませんでした。
残念。