おかみブログ
2007年11月6日

蔵王石と川崎町を訪ねて〜石工名石と会う

11月2日は結婚記念日でした。
いよいよ10年目に入ります。
10周年というのは、10年目に入るときのことなのか、丸10年経ったときのことなのか・・・ちゃんと定義があるのでしょうけど、一応「10年周った年」という解釈で、来年を記念年とすることにしました。
気がついたらもう日も迫っていたので。
とはいえ、今年は娘の七五三もするし、我が家にとっては記念の年であることに代わりはありません。
だから、というわけでもないのですが、珍しく泊りがけの家族旅行に出かけました。
性分が貧乏なのか、石屋だけに一石二鳥を狙うのか、私的旅行といえども何か「石」に関わる旅行をするのが私たちの常です。
今回は宮城。蔵王連峰のふもとの川崎町です。
小淵沢より中央本線特急あずさ→新宿〜大宮在来線→東北新幹線にて白石蔵王。
ここからレンタカーでまず商談先へ向かいます。
全優石という全国石屋組合の仲間、佐藤石材店さんです。
地元の老舗石屋として墓石を中心に幅広く活躍しておられます。
ウチと同じ小売石屋さんですが、地域も違うためコンペティターというより、共に石文化と技術を守って行きたい、尊敬すべき同業者です。
大手安売り墓石店のシェアが拡大する中、「いいものを正しい価格で」を貫く誇りある姿勢。かくありたいものです。
さて、石も今や流通がよくなり、国内海外含めいろんな石材が小売店に半製品又は完全製品としても入ってくるようになりました。
ですが佐藤さんのような産地近くの石屋さんでは今でもちゃんと原石から加工する技術と設備を持っています。
この地方で採れる石とは活火山・蔵王山の安山岩で、その名も「蔵王石」。
岩の形で採れ、割った面を本磨きして自然風の墓石や記念碑に使います。私たちの目的もこれ。
岩肌は個々によって濃淡いろいろのグレーですが、中には赤茶けた鉄分が混じっていることもあります。
磨くと濃いグレーになり、真っ黒に見えることもあります。
それゆえ字を彫っただけで色などいれずとも、非常にその文字が引き立ち、墓石や記念碑に向くというわけです。
蔵王石1 佐藤石材店さんで加工した製品群に圧倒。
そしてさらに驚くなかれ。原石の山・山・山。
蔵王石3

形を見ながら本碑にしたり台石にしたりするのです。
これだけあれば一生食うに困らないのでは、とも思いますが、そこは天然ものの哀しさ、本当に使える形や質のものは一部だそうです。
割ってみたら中がもろかったり、変な方向に割れてしまったり、思った目のつまり具合じゃなかったり。
八ケ岳も火山で、標高の高いところに行くほどゴロ岩が出てきます。
ですが、「八ケ岳石」なんて名前がつくほど石材としての価値は高くなく、その理由のひとつは磨いてもあまり黒艶が出ないことなのです。
ウチでは主に台座として使ってきました。
自然形を活かせる記念碑用の石の仕入先を探していましたが、福島の展示会でこの石に出会い、今回の見学を実行したというわけです。
同じく東北の安山岩で、このブログでも前にご紹介した伊達冠石というのがありますが、八ケ岳の需要としては蔵王石のほうが無難に受け入れられそうです。
たそがれ時。
広大な蔵王石の石置き場でどこまでも走る娘。
蔵王石4

川崎町の旅は続く。
↓いい田舎は八ケ岳だけじゃない。
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