もうひとつの北の杜
杜の都、仙台。
石屋団体・全優石の総会に夫が出席するのに便乗して、家族(Kuhは預けて娘2人連れ)で行ってきました。
毎年全国もちまわりで、石産地近くで総会が開かれますが、今年はあえて仙台となりました。
仙台は10年ほど前にも総会が行われたところですが、今回は人が集まることの経済効果を狙ったものとみえます。
私は仙台は3回目。
不思議なご縁だなぁ、と二つ返事で同行を決めました。
「杜の都」という呼称が北杜市も髣髴とさせるので、親近感を覚えています。
規模や町並みが神戸に似ていて、どこか懐かしい、それでいて都会的な心地よい緊張感も得られる、大好きな町です。
でも子連れで東北に行く、というと
「ガイガーカウンター、買った?!」と眉をひそめられる世の中です。
山梨から見ると未知の世界、実際はどうなっているのか・・・。
ひとごとでしか考えざるをえない震災の爪あとを少しでも肌で感じられれば、何か変わるかもしれない。
被曝の心配より、そんな覚悟と期待も含んでの、研修旅行となりました。
1日目、夫以外の3人は動物園へ。
寒さでどうぶつたちはみんなオリの中へ入っていましたが、みせていただけました。
子どもたちは動物が見られただけで満足。
サル山では寒い中、たくさんの親子ザルがキャッキャキャッキャと遊んでいました。
閉園まぎわだったからか、飼育員のおにいさんが売り物のエサを分けてくれて、Tazに投げさせてくれました。
動物たちも震災直後は大変だっただろうなぁ。
電気も使えないし。
元気に生きていてくれて、ありがとう。
2日目。
いよいよ浜辺のほうへ。
まず松島。
日本三景のひとつで、今はカキのおいしいシーズン。
なのに、観光客は激減、特に外国からのお客は皆無だそうです。
松島も浸水1m以上あったことが、待合室の写真ギャラリーでは紹介されていたけど、今では大きな爪あとは残っていないように見えました。
そして石巻へ。
言葉を失う光景。
倒壊したお墓。
地面は基礎までえぐられ、海の砂が入り込んでいる。
住宅街。
住宅街には人の気配がまったくない。
ガレキ撤去と解体作業が、建設機械でもくもくと行われている。
もしかしたら、写真だけでは「きれいになった」と感じるかもしれない。
とても整然と、なんとガレキまで木とプラスチックなどに分別されている。
ガレキ木材をバイオマス燃料にするためだろうか。
まじめに、真剣に、誠意を持って。
日本人の気質、そのままだ。
だからこそ、よけいに悲痛に感じる。
柱がむき出しになり、窓ガラスや壁のボードが破れたままになっている巨大な無人空間が。
何をしてるんだろう・・・と自分を振り返りました。
報道陣でもあるまいし、ただ被害の様子を見るだけで。
ごめんなさい。
撮影させていただき、ありがとうございました。
近年のしっかりした施工のお墓はほとんど倒れてないことがわかりました。
土砂には埋まってるけど、傾きはみえません。
お墓が倒れるということは、長期にわたって心理的不安が続きます。
石屋として、精一杯のことをやるだけだ、と気持ちを引き締めることくらいしかできませんでした。