おかみブログ

2008年3月29日

ばーばお魚が来た!

今年も待望のいかなごのくぎ煮が送られてきました。
明石の実家製の手作りの味で、娘も「ばーばおさかな」と言って喜んでいます。
いかなご

新鮮ないかなごを醤油とザラメとショウガで煮詰めたもので、ほかほかごはんのおかずにぴったり。
どんどん進みます。
そのほか、酒のつまみにも♪
今年は3月5日に船舶の衝突事故があり、油の流出で漁の存続が危ぶまれました。
大阪側の漁場でははやばやと今年の新子(いかなごの稚魚)漁を終了してしまったとのこと。
海流の流れで大阪湾のほうに影響が出たのでしょうか。
例の自衛隊と千葉の漁船がぶつかった事故の直後だったので、海上の安全はどうなっとるんじゃ!と不安になりますが、
毎年この時期の明石海峡はいかなご漁の船でひしめきあい、漁師さんたちはぎりぎりのところで作業されているとか。
そんな危険な思いをして獲ってくれたいかなごです。
しかし、今年はここぞ、という稼ぎ時に獲物がとれなくて、さぞ関係者は苦い思いをしたにちがいありません。
いかなご漁が解禁したばかりの新子はちりめんじゃこくらいの大きさでやわらかくてとてもおいしい。
この頃のは素人が焚くとすぐ煮くずれてしまうそうで、お店のウデのふるいどころです。
実家の母はもう少しおおきくなってからのものを使います。
体長5cmくらい。3月末頃のものです。
くぎ煮の名前の由来らしく古釘の姿に一番似ているもので、少し固くなり、食べごたえがあります。
いかなごは水揚げしてから1時間以内に煮始めるのが理想的。
つまり、市場の近くでなければできません。
今日は焚くぞ、という日は朝から市場に並ぶ。
「シケで漁がなかった」と嘆く日もあります。
今日届いたふるさとの春のごちそうは、重油の被害からたくましく逃れ、瀬戸内海の荒波にもまれながら少し大きくなった、まさに懐かしい「くぎ煮」でした。

2008年2月28日

病に学べ!〜水痘編〜

『本当は怖い家庭の医学』風で。
MOOちゃんばーばこと石屋の大おかみは、
先月から腰が痛い腰が痛いと、接骨院で電気をあてたりマッサージをしてもらったり、
ひととおりのコースを毎日受けに行っていました。
年とるといろいろ出てくるねぇ、などと本人もまわりも初めはさして気にしてなかったのですが、
楽にならないどころか、どんどん具合が悪くなって、しまいには寝込むしまつ。
これが病のほんの初期シグナルだったと気づくことなく・・・
どうしたことだと思って、町内の内科にかかりましたが、よくわからず。
そんなとき水面下していた症状がついに明るみに出ました。
痛いと思っていた腰から帯状に広がる発疹。
ピリピリと痛く、衣擦れすらしみる感じで、おちおち歩くこともできません。
ぞっとして、やっと大きな病院にかけこみます。
病名「帯状疱疹」。
ストレスや大きな病気などで免疫力が低下したときに起こりうる、神経節に広がる皮膚病です。
赤い発疹が帯状に、左右どちらかに出て痛みを伴います。
日数が経てば自然に治ることがほとんどですが、その間の苦痛はかなりつらいことが多いといいます。
治療は抗ウイルス剤でウイルスの増殖を抑えながら、消滅を待つのが一般的。
その抗ウイルス剤も早めに飲むことが長引かせない秘訣です。
大おかみの場合は発見がかなり遅かったので、結果苦痛が長く続く形になってしまって、本当にかわいそうでした。
痕が残らないといいけど。
さて。
この帯状疱疹の原因となるウイルスが、くせもの。
なんと子供の頃かかる、あの水疱瘡ウイルスと同じものなのだそうです。
水疱瘡が治って、強い抗体ができ、水疱瘡には通常2回はかからないのですが、
ウイルスが消滅するわけではなく、体に潜んでいるのです。
それが老齢化やストレスで免疫力が落ちているときに少し姿を変えて再び浮上してくるというわけ。
まさか・・と思ったときには遅かった。
まだ水疱瘡を経験していない3才の娘に、みごとうつってしまいました。
こういう情報はちょっとインターネットでヤフれば出てくるのに、調べるのを怠っていた自分が情けない。
それにしてもお医者さんも一言注意してくれればいいのにね。
水疱瘡の予防接種は任意だから、忘れてました。
まぁ本人のためには、忘れてて大人になって重症なのにかかるより、今やっといたほうがいいとは思っていましたが。
保育園に行ってもらえないので、面倒みるほうはたまらん。
仕事の休みとれず、病み上がり手前のばーばに結局負担をかけてしまいました。
ごめん、ばーば。
幸い娘のほうは発見が早く、抗ウイルス剤を早めに飲ませることができたので、
発疹の数もそれほど増えず、早くかさぶたになりました。熱もほとんどなく。 
それでもピーク時は全身に発疹が出て、微熱の中、夕方ぐったりと寝てしまって朝までぐっすり。
4日目で、「明日から登園可」の証明書発行。
やれやれ。
あなたは最近腰や背中に強い神経上の痛みを感じませんか?
お年を召していたり、ストレスをかかえていませんか?
近くに小さなお子様がいませんか?
そのままほおっておくと・・・大変なことになりますよ・・・

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2008年2月26日

病に学べ!〜風邪編〜

一昨年頃からよく風邪をひく体になってしまいました。
娘が保育園に行きだしたのと同時で、初めの頃は娘とかわりばんこに風邪を引き合っていました。
私の風邪は喉から。
どうも、もともと喉や気管支が弱いのか、まず痛み→咳(全治約1ヶ月)ときます。
風邪をひくのはひくほうが悪い、仕事を休んだり、家事や育児がおろそかになったりして周りに迷惑がかかる、食べ物が悪いんじゃないか、薄着なのがいけないんじゃないか、睡眠不足なんじゃないか・・・
風邪をひきやすい体質というのはとかく肩身のせまいものです。
そんな私の救世主となった、ある記事。
岐阜・加子母での山暮らし家族masanさんのブログへのコメントでした。
ワルツさんという人の書き込みで引用されたサイト、転用させていただきます。
http://www.mitomo.com/doc/c43.htm
http://homepage1.nifty.com/iberia/column_kaze.htm
ところでインフルエンザの場合は、他への感染力も強いし、タミフルという抗ウイルス剤も出ています。
もちろんタミフルも特効薬ではありません。あくまで増殖を抑えるだけ。
それも発症後48時間以内に飲まなければ効果はないそうです。
タミフルと異常行動の関係が疑われて大きく報道されたので、この程度の知識は私でも持ってました。
昨日、午後にわかに悪寒がしてきて、全身の痛み、激しい頭痛、眠気(倦怠感)が一気に襲ってきました。
こんなに急変するのはもしやインフルエンザ??
インフルエンザなら日常生活への影響をできるだけ少なくしたいから薬を使ってでも早く治したい。
昨日は日曜日でしたが、救急で見てもらえそうな病院を探しました。
須玉の市立塩川病院が受け入れてくれました。ちょうど内科の先生が当直とのこと。
問診とインフルエンザ検査。
結果は陰性でした。
「症状からしてインフルエンザを疑うのは正しい判断だったと思いますが、違いました。
となると、考えられるのはただの風邪、というところでしょう。
処方する薬としては、解熱剤、胃薬(解熱剤で胃をいためることがあるので)、鼻炎の薬、抗生物質(抗生物質は風邪には効きませんが、肺炎を併発したとき効果があります)、気管支拡張剤などです。どこまで必要かは本人の判断しだいです」
つまりいつももらうのと同じってことです。
こういう説明をしてもらったのは初めてです。
いつもは「これ出しときますから」ですまされて、いろいろ持たされたのですが。
「インフルエンザではないことがわかれば、何もいりません。おとなしく寝てます」
今回はきっぱりこう言いました。
すると塩川病院の内科の当直の先生は
「それが一番ですね。まああまり苦しければ市販の薬を飲むのもいいでしょう。」
ふらふらしながら家に帰って、前述のリンクにあったとおり、
おかゆを食べて(おなかがすいていたのでけっこうたっぷり食べちゃいましたが)
熱めの風呂に入って、生姜湯を飲んで、「篤姫」を見ながらしばしの体温調節をはかり
あとは一気に寝てしまいました。
夜中にいっぱい汗をかいて、朝になったら幾分頭痛は残っていたものの、午後にはかなりよくなっていました。
つまり会社を休まなくて済んだということです。
この方法は今までで一番効きました。
ありがとうmasanさん、ワルツさん。
それにしてもインターネットでどれだけ「風邪」を調べたか。
便利な世の中だ〜。
いままでで一番最悪の治りぐあいだったのは、注射です。
「注射するとすぐ元気になるわよ」というウワサを頼りに注射を打ってもらいましたが、
これが最悪。
病状がよくならないどころか、倦怠感は強くなるし咳鼻水は増えるし。
結局長くかかってしまいました。
結論。風邪はリセットボタン。
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2008年1月15日

冬のにおい

きっぱりと寒くなった連休後半2日間。
びゅうううと吹き降ろす乾いた風がすべてを瞬間冷凍するような。
よしよし、これくらい寒くないと八ケ岳じゃないわい。
八ケ岳の向こうからの氷のにおいがするようです。
などと言えるのも今だから。
実は先週は鼻風邪をこじらせ、頭痛・発熱に続いて、完全に嗅覚不能になりました。
かれこれ1週間「無味無臭」の世界にいるハメになったのです。
からだは症状を通して、悪いところを伝え、必要なものを求めます。
熱が出るのは早くウイルスを殺しその間に抗体を作るため。
鼻水・咳もウイルスを外部に出すためです。
それでは嗅覚不能は何を示唆するのでしょうか。
私がほぼ毎日口にするもの。
仕事前のコーヒーと朝のおめざ=甘いものです。
コーヒーと砂糖はからだを冷やし、緩めるもの。
つまり仕事モードの緊張感をほぐし、適度なリラックスを与えてくれるのです。
これがほしくなるのは、楽しく仕事をするために必要な、極めて正常な反応。
だけど風邪のときにこれらをとると、冷えたからだをますます冷やし、中庸からどんどん遠ざかります。
だからコーヒーを飲ませないよう、飲んでもおいしくないよと感じさせるよう、嗅覚を麻痺させるのでしょう。
実際、香りがわからないときに飲むコーヒーは最悪です。
なんだか変に酸味だけが舌先に残り、熱いのに飲んでもおなかがあったまらない。
不思議な違和感です。
クッキーもそうです。
噛むとほのかに甘い感触が舌に触れはするものの、なんだかボソボソとして喉がつまる。
無の嗅覚世界で感じた、独特の食べ物の感触。
ふだん何かとソースや醤油をつけてしまう私ですが、そんなものつけても味が変わらないので、そのまま食べてみました。
すると素材の持つ食感が際立って感じられました。
ふわふわたまごのやさしさ。
舌でおしつぶせるほど煮詰まったおでんの大根。
キャベツのせんぎりのアク
きんぴらの歯ごたえと匂いがなくてもわかる舌への甘み。

今日、昼近くにスーパーに入ったら、急にいろんな匂いがしてきました。
「おっ!フッカツか!」
とたんに翡翠のコーヒーが飲みたくなりました。
トラジャ。酸味の奥に深い香りを感じ、鼻腔の奥に入って行きました。
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2007年12月15日

キュウソクが急務

先週土曜日夕方、夫、救急車で運び込まれる。
「イタイイタイ」と大騒ぎするも、「記念写真撮っといて」「宝くじ買っといて」などと異常な冴え様。
家族半ばあっけにとられて、こんなに元気じゃ入院中もバンバン連絡事項入れて働かしちゃえ、などと笑いながら帰宅。
次の日、一変。
なんだか目がうつろ。
薬のせいか。
三日目。
白目を向きながら意味不明なことをつぶやく。
一応私のことは認識しているらしい。でも無反応。
上半身は異常がないので普通食を出されるが、箸が持てない。
ご飯粒を口に運ぶのに口に入ってない。
四日目。
さらにひどい昏睡状態へ。
箸も持てないほどボーっとしているのに鬼の看護婦さん、「食べないと抵抗力が弱くなって、治りが遅くなっちゃいますよ!」
病名、『脂肪塞栓症候群』。
大腿骨や骨盤などの大きな骨を折ったとき、たまにおこりうる、骨折の合併症だそうだ。
大骨折をした部分から脂肪が発散され、血管を詰まらせる。
(近年の研究では、直接脂肪が血管を詰まらせるのではなく、脂肪が血中に入り込むことによって白血球が異常行動をおこすせいではないかと考えられている)
そのため、脳梗塞のような状態になり、意識障害を引き起こす場合がある。
他の症状に、微量の出血や充血、呼吸障害など。
別部屋に私独り呼ばれてCTスキャンの映像を見ながら医師から説明を受ける。
「25年ここで救命を担当し、臨床経験がありますが、知っている限り1人だけ、この合併症直接の原因による死亡事例がありました」
ちょっとまて。それはさすがに聞き捨てならない。
しかし、ほどなく、これは医者のエクスキューズで、もし今回万が一のことがあっても医療ミスではないとでもいいたいのだろう、ということに気づいた。
そういえば、よく時代劇で、深手を負った武者が、三日三晩昏睡状態でうわごとを言ったりのたうちまわったりする。
はっと気がつくとかなりの日数が経っていて、きれいな娘さんに
「気がつきましたか?」と声をかけられ、
「ここは、どこだ」と起き上がろうとすると痛くて起きれない。
「いけません、傷が深いのです」などと介抱を受ける。
・・・などと妄想してみながらなんとか現状を受け止める。
つまり、大きな傷を負ったときにはそれだけの休息が必要なのだ。
意識がなくなるほど眠ることで、一番痛い時期をなんとか通り過ぎることができる。
それを科学的に分析すると、なんちゃら症候群というタイソウな名前がついたりするわけだ。
自分なりに解釈しているうちに五日目。
一応普通に話ができるようになる。
越えたらいきなり「2月に一時退院できるかなぁ」という。
何があるのかと思ったら、石工の資格試験があるそうだ。
・・・やっぱりバカになっちゃったんだろうか。

2007年11月21日

ゆきだるまで一汁一菜

重ね煮で教わったことの中に、ごはん食を中心に、というものがありました。
「炭水化物・たんぱく質・ビタミンをバランスよく」
「一日30品目」
「ごはんのとりすぎはカロリー高、ごはんを残してもおかずを」

なんていう食事の注意は聞き覚えがありますよね。
先日も健康診断に行ったら、待合室のポスターでこんなのがありました。
「ごはんを一口残せばカロリーダウンの効果が」
外食したときの注意事項で、ムリして全部たべるとよくない、腹八分目にしとけ、という意味です。
食べきれないなら最初から少なく盛ってもらえばいいけど、まぁどれだけ出てくるか店によってわからないし、それもムリかな。
でも残すのがいいことだとは・・・全然納得できないですけどねぇ。
重ね煮の先生は理想の食事を歯の構造で教えてくれました。
草切り用の前歯8本、引き裂き用の犬歯4本、すりつぶし用の臼歯
16〜20本(現代人は親知らずを抜いたりして20本もない場合が多い)
つまりこのバランスの食事が人間には一番合っているということです。
ごはんは全体の半分以上、おかわりするくらいがちょうどいい。
玄米菜食、といって極端な人は肉魚を完全に断つ人がいますが、これもバランス悪い。
ただし、どれも丸ごと食べられるものがいい。

米は玄米、野菜は皮付き、魚は頭から。
そして野菜は自分に近いもの。肉魚は自分より遠いもの。
その土地でとれる旬の野菜、哺乳類は避けて鶏、魚、貝など(昆虫や蛙もOKってことですね)
こういうのを学問的に系統だてたのがマクロビオティックですが、もっと簡単に考えればいい、というのが重ね煮です。
一汁一菜にしてればだいたい大きくは外れないですよ、とまとめてくれました。
で、今日娘とごはんを食べてたらいきなり娘、
「ゆきだるま!」
ゆきだるまごはん2
なるほど〜。
今日の献立は具沢山のお味噌汁とおにぎり(おにぎりにするとよく食べるので)。
2つのお椀を並べたらそう見えるんですね。
ゆきだるまごはん
このあとでオマケとして小鉢にいかなごのくぎ煮をつけてやり、「ゆきだるまの帽子」としました。
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2007年11月19日

重ね煮パーティ

鹿肉に続き、大地の恵みを味わう会、パート2です。
あつこデザインスタジオさんの企画で、「重ね煮お料理教室」に行ってきました。
場所は「穴山の穴場カフェ・お茶のじかん」(韮崎市穴山町)。
ここは、なんにもない里山にちょこんと佇むかわいらしいカフェ。
その小さな窓から見る裏山が、異次元のようにどこまでも広がっていくように見えるから不思議です。
お茶の重ね煮1 お茶の重ね煮2
重ね煮は以前ちょっと教えてもらって、ハマりました。概略はこちら
簡単に言えば、ある野菜を切って順番に鍋に重ね、弱火で蒸してできあがりのシンプルクッキングです。
今回は元祖船越さんの直接指導を受けた講師の先生をお呼びしての、本格版です。
このヤマオカせんせ、とにかくパフォーマンスがすてき。
「ほら!!聞こえるでしょ、野菜の声が」
そんな調子です。
お茶の重ね煮6
参加者はめいめい自分の家にある野菜を一品持ってくることになっています。
誰がどんな野菜を持ってくるかわからない。
つまり、料理教室と言いながら、まさにぶっつけ本番的な、むしろやみなべと言っても過言ではないノリの会なのです。
私は知り合いから大量に分けてもらった大根一本を持ってきました。
一応土に埋めておいたのですが、葉のほうはかなりしおれていました。
この日集まった野菜は、りんご、さつまいも×2名分、小松菜、にんじん×2名分、かぶ、白菜、そして私の大根とその葉っぱです。
まず先生が言いました。
「料理教室で習ったことが家でできなきゃ意味がないんです。
めずらしいハーブだの、高いお肉だの、家にいつもあるわけじゃないでしょ。
今日の食材は、まさにみなさんの家の冷蔵庫と同じなんです。」

重ね煮1

「そして、ほら。
トマトやきゅうり、ないでしょ。
今ここにあるのは、今とれるものなんです。」

集まった野菜を千切りにし、鍋に順番に入れていきます。
地上のものを下に、地中のものを上に。
葉っぱは本来上にのびようとする力を持っていて、逆に根菜は下にのびようとする力を持っている。だから逆に入れることで、上にいかなきゃ、下にいかなきゃ、とぐいぐい力を発揮するというわけ。
今日の野菜の順番はりんご、小松菜、大根の葉、白菜、さつまいも、大根、にんじん。
いったいどんな味になるんでしょう。
重ね終わったら塩をほんのひとつまみ。
これは味付けではなく、野菜の旨みを引き出すための魔法。
そして鍋に手をかざして野菜の声を感じ取ります。
お茶の重ね煮3
みんな初めまして。
おいしい重ね煮になろうね。といってるようです。
弱火というとこれくらい。
お茶の重ね煮4
そして合図がするまで決してあけてはなりません。まるで鶴の恩返しです。
合図とは、おいしい「気」が鍋の中に充満して飽和状態になり、こらえきれずぷかぷか蓋を押し上げ、部屋中にいい匂いが漂ってきた状態のこと。
今日は約30分かかりました。
そしてできあがったのをまぜたものがこれ。
お茶の重ね煮5
不思議なことに匂いも味も、すべての野菜が一緒になった感じがするのです。
今回はりんごのあまずっぱさと、さつまいものあまさがやや強いけど、でもたとえばニンジンを食べればちゃんとニンジンの味がする。
つまり、みんなでひとつになったけど、ちゃんと個性が残ってる。
こういうのを集団心理学的には「凝集性が高い」というんだったかな。
そして個々の満足度と生産性が最大限に発揮できているってこと?
この重ね煮はもちろんそのままで食べてもよいし、
ポン酢や味噌和え、マヨネーズ和えなんかもいい。
また、二次利用として、味噌汁やカレー、シチュー、ピザ(今回やった)、コロッケや餃子の具、チャーハン、オムレツ・・・
とにかくありとあらゆる料理に応用できる。
3日に一度、これを作っておけば毎食のおかずに困らないというわけです。
重ね煮のおかげで子供のアトピーが治った、お母さんの肌がきれいになった、ギリギリまで子供と遊ぶ時間や自分の趣味の時間が持てた、食費・光熱費が減ったなどなど、いろんな効用があるとのことです。
ウチも忙しくてご飯のしたくのときに子供の相手ができなくてビデオなんか見せてましたが、今日は手伝わせました。
お茶の重ね煮5
そうか!一緒に遊びながら、野菜とお話しながらやればいいんだ。
今、ここに集まってくれた野菜たち。
誰かの家庭菜園でとれたものかもしれない、スーパーで売ってたものかもしれない。
でもどんな出身だろうと、大切な命をいただく。
鹿の時と同様、今日この野菜たちに出会えた運命に感謝し、「ごちそうさまでした」と手を合わせました。
↓久々長文。読んでくれてありがとう。ついでにこちらも一押しよろしく。
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2007年11月16日

八ケ岳はジビエの季節

「昔おばあさんがネギと味噌でコトコトと煮てくれた鹿肉はおいしかったなぁ」
夫がしばしば恍惚の表情で語るのを聞くたび、思いは募っていたのですが、このたびその野生の鹿肉が手に入りました。
今年から猟友会に入った、移住者のYさんから。
モモ肉をなんと3kgも。
わらしべ6
まずは牛とおなじように市販のデミグラスソースを使い2時間ほど煮込んだシチューにしました。
鹿シチュー 
入手の仲立ちをしてくれたカフェ・ピアニッシモにおすそ分けがてら撮影。
これが我ながらなかなかの出来。
肉はまったく臭みがなく、スプーンでもほぐれるほどのやわらかさになりました。
臭みがないのは鹿肉の特徴だそうですが、以前別の人からいただいたときに料理したものは血なまぐささが残ってしまいました。
圧力釜で一気にやわらかくしようとしたのが、逆に血の風味を閉じ込めてしまったよう。
あるいは罠で死んだ鹿だったのかも、という意見もあります。
打ってすぐにしっかり血抜きをすれば必要以上に血の香りはしないとか。
とにかく今回はおいしく出来たので、いろんな料理でみんなで楽しみたいと思い、カフェを営む友人に連絡。
飲み友達でもある彼女はカツオ出汁の味噌仕立ての鍋汁を用意して待っててくれました。
もう一人の友人が薄くスライスし、水菜・白菜・キノコなどの旬の野菜と一緒に鍋に入れます。
鹿鍋
こんどは野性味が程よく残り、これまた絶品となりました。
それを、今日解禁したばかりのボジョレーヌーボーと一緒にいただきました。
至福のひとときです。
ジビエの女王・鹿肉。
この時期の鹿は繁殖期を迎え太っているのでおいしいのです。
ですが昔に比べ猟をする人も減り、数が増えすぎて今では有害鳥獣扱い。
それに動物愛護の風潮が追い風となり、なかなか一般の家庭では見られなくなりました。
一方で人工的に管理された飼育肉が簡単に買える時代です。
普段は麻痺してしまっている、食物と生態系の関係。
野山の草や実、ひょっとしたら人家に下りてきて農作物を食べてるかもしれませんが、とにかく八ケ岳の大地や山で育った野性の野獣類を食べるとき、私たち人間も生態系の一部であらなければいけないと改めて考えます。
今私の血肉に生まれ変わろうとしているこの運命的な出会いに感謝し、「ごちそうさまでした」と手を合わせました。

2007年9月11日

山梨の地域食セミナー

知り合いからこんなイベントのお知らせをいただきました。
「伝統食品に関する講演会〜山梨の地域食とワイン文化」
1.山梨の郷土食
2.日本と山梨のワインの歴史
3.「ほうとう」と「吉田のうどん」
4.軍師山本勘助の虚像と実像
日時:10月6日(土)
会場:山梨学院短期大学 サザンタワー

いいなぁ。すごく興味あります。
食べるの大好き、しかも郷土の食事とあらば。
土日は基本的に仕事なので、直前にならないと微妙ですが、ぜひ行って見たいですね。
ほうとうは、甲州の主婦歴浅い私の中では、唯一の得意料理です。
とにかくなんでもぶちこむ。冷蔵庫の整理兼ねて。
気がついたら家族3人(しかも一人は2才のこども)なのに、すごい大がま状態になっています。
これは離乳食にもおすすめ。(もちろん、味は薄めてね)
そして自分の器に少量の豆板醤を。(夫と子供は辛いのダメなので)
観光客向けのお店もありますが、結局家庭料理。家で作るのが一番です。
また店によっては気をつけないとエライ目にあいますね。
なにかって、食べても食べても減らない。女性や子供ならとりわけで十分です。
しかし、この講演会、なんで勘助の話が出てくるんだろう・・・
武田軍の軍用食にでも関係するのかな。
↓ほうとう、ワイン好きの方、一押しお願いします
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2007年8月11日

独り旅・青木村2〜田沢温泉

田沢温泉は平安時代の開湯といわれます。
青木の平野部と上田市街を見下ろす山の中腹、十観山の登山口の入口です。
老舗の旅館が数軒、急坂の通りの両側に並んでいます。
その中の一軒、リニューアルした「和泉家旅館」に泊まりました。
公衆浴場「有乳湯(うちゆ)」のすぐそばです。
今回出張する前、このエリアの営業担当より、この「有乳湯(うちゆ)」に入ってくるように指示されてておりました。ここに来ると青木村というところがよくわかるそうです。
「外湯だけどうちゆなんだ」
「気になる字ですね。おっぱいおっきくなるんですか?」
「なるなる。ぜひ行ってこい」
・・・よけいなお世話です。
正確にいうと、子どものない人は子宝に恵まれ、子どもを産んだばかりの人は乳がよく出るようになる、という言い伝えがあるそうです。
「そうかー。成分がホルモンに作用するのかしらね」と同僚の女史。
いやいや、あまり真面目に考えなくても・・・
有乳湯

単純硫化水素泉。
硫黄の匂いのぷーんとする無色透明なお湯です。
この匂いは「温泉に来た〜」という実感がわいて、関西人的な表現をすれば「もとをとった」というところでしょうか。
夏はちょっと暑苦しい匂いですが、青木は朝晩とても涼しい。
昼間の猛暑ぶりとは大違いです。
和泉家さんではノートパソコンを貸してもらえます。
温泉でゆったり、個室で上げ膳据え膳、快適なワーク環境。
この地に逗留したという島崎藤村よろしく、一気に原稿を書き上げてしまいました。
欲をいえば、女性独りということで気を使ってくれたのか余りに干渉されなさすぎたのが、逆に物足りなかったかな。
朝ドラのようなおしゃべりな仲居さんでもいれば、つかまえて青木の魅力など語ってもらいたかったところですが。おもてなし、とは難しいものです。
鯉料理が名物。
和泉家1 和泉家2

和泉家3 和泉家4 和泉家5