お彼岸考
今日春分の日、春のお彼岸です。
例年お彼岸前後、八ヶ岳にはドカ雪が降ります。
(といってもこのへんはせいぜい10cmですが)
そろそろ暖かくなって気を抜き出したころ、「まだまだ。一筋縄じゃいかないよ」とおてんとさまが片目をつぶっているかのようです。
今年はまだ降りません。気温は2,3日前とても低くなっていわゆる「寒の戻り」ってやつで、仕事のツメも重なって少々体調を崩してしまいました。
こういう季節の変わり目を「お彼岸」という日は象徴しています。
春分、秋分は科学的にいうと昼の時間と夜の時間が同じ日。これは世界中同様です。白夜の頃のフィンランドに行ったことがありますが、12時を過ぎてもうっすらと明るくて不思議な体験をしました。そのフィンランドでも今日は昼と夜の時間が同じということです。
仏教の世界では太陽が浄土のある真西に沈むことになぞらえて春分秋分の日前後に仏事を行います。「彼岸」は「三途の川の向こう岸」つまりあの世のことです。この日に、ご先祖があの世から里帰りをしにお墓へ帰ってくるとされています。だからお彼岸にはお墓参りをして先祖との再会を果たすのが勤めです。
私の中のイメージではお彼岸はあの世とこの世が通じ合う、SF的にいえば四次元のポイントが重なり合い、一瞬違う世界にワープする、そんな風に理解しています。
「暑さ寒さも彼岸まで」などと言いますが、暖かくなったり寒くなったりを繰り返しながら少しずつ春めいてくる、その折り返し地点なのでしょう。
ところで「おはぎ」「ぼたもち」は同じもので、秋の萩・春の牡丹になぞらえています。
これもよくよく見れば「ごはんだが餅だか、はっきりしろー」と言いたくなるような食べ物です。
夫の祖母が生きていた頃は毎年2回のお彼岸にどっさり「ぼたもち・おはぎ」を作って親戚中に配ってくれていました。石屋のおかみとして何十年も店を支えてきたおばあさんの、気合すら感じられました。
最近はみんな忙しくて、いちいちお彼岸にお墓参りに行く人も減ってしまいました。
何しろ「お墓いらない」などという意見が「個人主義」の一言でまかり通ってしまう世の中ですから。
私の勤める会社(不動産)も客商売なので祝日営業しています。
田舎暮らしを求めて物件を探しに来る人はせめて心の中だけでも先祖の墓参をしていただきたいものです。
ウチも子どもと一緒に今日はお義父さんのお墓に行きます。