おかみブログ
2007年12月15日

キュウソクが急務

先週土曜日夕方、夫、救急車で運び込まれる。
「イタイイタイ」と大騒ぎするも、「記念写真撮っといて」「宝くじ買っといて」などと異常な冴え様。
家族半ばあっけにとられて、こんなに元気じゃ入院中もバンバン連絡事項入れて働かしちゃえ、などと笑いながら帰宅。
次の日、一変。
なんだか目がうつろ。
薬のせいか。
三日目。
白目を向きながら意味不明なことをつぶやく。
一応私のことは認識しているらしい。でも無反応。
上半身は異常がないので普通食を出されるが、箸が持てない。
ご飯粒を口に運ぶのに口に入ってない。
四日目。
さらにひどい昏睡状態へ。
箸も持てないほどボーっとしているのに鬼の看護婦さん、「食べないと抵抗力が弱くなって、治りが遅くなっちゃいますよ!」
病名、『脂肪塞栓症候群』。
大腿骨や骨盤などの大きな骨を折ったとき、たまにおこりうる、骨折の合併症だそうだ。
大骨折をした部分から脂肪が発散され、血管を詰まらせる。
(近年の研究では、直接脂肪が血管を詰まらせるのではなく、脂肪が血中に入り込むことによって白血球が異常行動をおこすせいではないかと考えられている)
そのため、脳梗塞のような状態になり、意識障害を引き起こす場合がある。
他の症状に、微量の出血や充血、呼吸障害など。
別部屋に私独り呼ばれてCTスキャンの映像を見ながら医師から説明を受ける。
「25年ここで救命を担当し、臨床経験がありますが、知っている限り1人だけ、この合併症直接の原因による死亡事例がありました」
ちょっとまて。それはさすがに聞き捨てならない。
しかし、ほどなく、これは医者のエクスキューズで、もし今回万が一のことがあっても医療ミスではないとでもいいたいのだろう、ということに気づいた。
そういえば、よく時代劇で、深手を負った武者が、三日三晩昏睡状態でうわごとを言ったりのたうちまわったりする。
はっと気がつくとかなりの日数が経っていて、きれいな娘さんに
「気がつきましたか?」と声をかけられ、
「ここは、どこだ」と起き上がろうとすると痛くて起きれない。
「いけません、傷が深いのです」などと介抱を受ける。
・・・などと妄想してみながらなんとか現状を受け止める。
つまり、大きな傷を負ったときにはそれだけの休息が必要なのだ。
意識がなくなるほど眠ることで、一番痛い時期をなんとか通り過ぎることができる。
それを科学的に分析すると、なんちゃら症候群というタイソウな名前がついたりするわけだ。
自分なりに解釈しているうちに五日目。
一応普通に話ができるようになる。
越えたらいきなり「2月に一時退院できるかなぁ」という。
何があるのかと思ったら、石工の資格試験があるそうだ。
・・・やっぱりバカになっちゃったんだろうか。