おかみブログ
2007年11月16日

八ケ岳はジビエの季節

「昔おばあさんがネギと味噌でコトコトと煮てくれた鹿肉はおいしかったなぁ」
夫がしばしば恍惚の表情で語るのを聞くたび、思いは募っていたのですが、このたびその野生の鹿肉が手に入りました。
今年から猟友会に入った、移住者のYさんから。
モモ肉をなんと3kgも。
わらしべ6
まずは牛とおなじように市販のデミグラスソースを使い2時間ほど煮込んだシチューにしました。
鹿シチュー 
入手の仲立ちをしてくれたカフェ・ピアニッシモにおすそ分けがてら撮影。
これが我ながらなかなかの出来。
肉はまったく臭みがなく、スプーンでもほぐれるほどのやわらかさになりました。
臭みがないのは鹿肉の特徴だそうですが、以前別の人からいただいたときに料理したものは血なまぐささが残ってしまいました。
圧力釜で一気にやわらかくしようとしたのが、逆に血の風味を閉じ込めてしまったよう。
あるいは罠で死んだ鹿だったのかも、という意見もあります。
打ってすぐにしっかり血抜きをすれば必要以上に血の香りはしないとか。
とにかく今回はおいしく出来たので、いろんな料理でみんなで楽しみたいと思い、カフェを営む友人に連絡。
飲み友達でもある彼女はカツオ出汁の味噌仕立ての鍋汁を用意して待っててくれました。
もう一人の友人が薄くスライスし、水菜・白菜・キノコなどの旬の野菜と一緒に鍋に入れます。
鹿鍋
こんどは野性味が程よく残り、これまた絶品となりました。
それを、今日解禁したばかりのボジョレーヌーボーと一緒にいただきました。
至福のひとときです。
ジビエの女王・鹿肉。
この時期の鹿は繁殖期を迎え太っているのでおいしいのです。
ですが昔に比べ猟をする人も減り、数が増えすぎて今では有害鳥獣扱い。
それに動物愛護の風潮が追い風となり、なかなか一般の家庭では見られなくなりました。
一方で人工的に管理された飼育肉が簡単に買える時代です。
普段は麻痺してしまっている、食物と生態系の関係。
野山の草や実、ひょっとしたら人家に下りてきて農作物を食べてるかもしれませんが、とにかく八ケ岳の大地や山で育った野性の野獣類を食べるとき、私たち人間も生態系の一部であらなければいけないと改めて考えます。
今私の血肉に生まれ変わろうとしているこの運命的な出会いに感謝し、「ごちそうさまでした」と手を合わせました。