おかみブログ
2008年3月21日

商人気質

リタイアしたある商社マンの話。
私が関西出身だというと、
「関西はいいね。私は関西で商売の真髄を教わったんだよ」
昭和ヒトケタ生まれ、山梨県中部出身。
幼児期少年期を戦争の激動に過ごした世代。
戦後は役人として働いていたが、汚職の充満にイヤケがさし大手商社へ入社。
大阪支社(本社?)に勤務。
彼いわく、大阪商人は真のあきんどだそうだ。
彼らは根っから商売が好き。
「ウチラも儲ける、オタクも儲ける。英語でいうwin-winだね。
情にも熱い。この人、と見込んだらとことんアプローチして買ってもらう。
東京は冷めてるからね。買いたきゃ買えば、というところがある。
ただし、厳しい面も持ってるよ。
それじゃオタクに売りましょう、と握手して分かれるでしょう、その直後ですら電話で
『やっぱり別の人に売ることにしました』。
つまり、そっちの人のほうが高く買ってくれることになったんだよ。
ひどい話と思うかもしれないけど、それこそ商売の基本だね。」
裏表なくストレートに条件を相手にぶつける。
パッションとシビアの共存する気質。
「ほんで?なんぼマケてくれるん?」の世界。
大阪商人はユダヤ商人に通じるところがあるんだそうだ。
頭がよく、緻密な計算のもと本物を見分ける。
絶大な説得力のもと最高の条件で商談をまとめる。
なかば高揚しながら商売について語る、元商社マンの翁。
自らの出身である甲州商人については?
「『天井のない萱を売る』という話は有名だね。
よそものだとわかると愛想よく近づいていってロクでもないものを売りつけるところがあるよ。」
自嘲気味。
山に囲まれ行商の道を歩んできた甲州商人。
交通の要所で、物資が自ずと集まってきた大阪商人。
それぞれの特徴を体でとらえて半世紀かけて商売を極めた好々爺の口調が、小気味良かった。
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