おかみブログ
2006年6月22日

石の粉リサイクル

「石の粉、分けてもらえませんか」
ウコギ博士から電話がありました。
ウコギ博士というのは、国字の「杣」や「有為無為の教え」でご指導いただいた、長坂にセカンドハウスを持つ方のことです。
ウコギが大好きで、ウコギ科の植物に対して自他共に認める物知りさんなので、私が勝手にそう呼ぶことにしました。
この人にかかると見過ごしていたことが実はスゴイものだったんだと見直すことがあります。
石を加工すると細かい削り粉が発生します。
石粉

加工用の水と混じって、いったんはどろどろになりますが、乾くとさらさらとして、ちょうど小麦粉のような状態になります。
石を加工していると、こういうものが大量に出ますが、何に使うわけでもなく、たまったところで処理業者に回収してもらって埋め立てられるという結末です。
いわゆる産業廃棄物です。
「もちろんいくらでもさしあげますけど、何に使うんですか?」
「以前木の粉を糊でねって型に入れて固めてアルファベット型のボタンみたいなものを作りました。石でも練って固めれば何か出来るかと思ってね。」
考え方としては自家製MDF合板みたいなものでしょうか。
石粉を利用したブロックも工業製品として存在するくらいだし、石粉を水で練って何かと混ぜるという発想を応用すれば、いろいろできそうです。
以前陶芸家の人が釉薬に混ぜるのだと言って、持っていかれました。
その後はいらっしゃらないので、あまり有効でもなかったのかもしれません。
でも少しざらざらする感触が何かの役にはたちそうです。
クレンザーとか、化粧パックとか、洗顔石鹸とか・・・。
「泥パックもあるくらいだし、『石粉パック』とか開発してくれないかなぁ。」
ウコギ博士が帰ったあとで夫に話してみました。
「どうかな、パックは泥のミネラル分が肌にいいんだよ。ウチで出る御影の粉は無機質だからね。毒にもならないかわりに薬にもならない。ただ肺に入ると分解されないから長い間には咳や痰の原因になるよ。胃に入る分にはそのままウンチで出るだけだからいいけど。」
「じゃあ壁の塗り剤にするとかは?珪藻土みたいに」
「粘り気がないからボロボロしてくるだろうなぁ」
先は長そうだなぁ。
がんばってください、ウコギ博士。
それにしても今回、化学製品の生まれる一番初めの段階を見た気がしました。
ウコギ博士は使う糊もいろいろ探して無害なものを使っているそうですし、自分の作ったものをすぐそばの人に渡すとなると、すごく責任持って考えるものです。
顔の見える商売。好奇心と便利さと安全性がちゃんと両立できる販路。