2011年6月6日
良寛さんのおはなし
隣県に住む伯父が亡くなり、お葬式に行ってきました。
葬儀の最後、住職さんの語ったお話が心に残りました。
お寺付属の保育園の園長先生でもある方です。
以下、そのご住職の語り口で。
江戸後期のお坊さんで歌人としても有名な良寛さん。
時世の句とも言われる「散る桜 残る桜も 散る桜」の意味を、ある子供の言葉をきっかけに改めて考え直してみました。
保育園の園児が春、桜を見ながらこういいました。
「先生、桜はどうしてきれいなの?」
答えに詰まっていると、その子はさらに無邪気に続けました。
「桜って、つぼみから花になるときがきれいだね」
私ははっとしました。
今ある桜がきれいなのはもちろんですが、その子は花が変化していく様子をみごとに言い当てたのです。
子供の感性のすばらしさに感心しました。
と同時にふと、良寛さんの句を思い出しました。
一般的に「散る桜・・・・」の句は世の無常を説いたものと言われていますが、
その子の言葉を聞いて、別の解釈もあるのではと思い始めました。
つまり、去り行く者が残る者へ託す思い。
「私は散っていくけど、おまえたちは残る。
しっかり自分の人生を最後までまっとうするんだぞ。
やりたいことがあればしっかりやっておくんだぞ」
今日の葬儀の席にぴったりのステキなおはなしでした。