おかみブログ
2006年5月9日

詫び状手本

先月、もらい事故がありました。
国道を走行中の私の車に店舗駐車場から出てきた相手の車が接触したもの。相手は80過ぎの女性です。
ほとんど速度がでていなかったので、怪我は双方まったくありませんでしたが、一応警察に行って事故証明してもらい、あとは保険会社同士の交渉に任せることにしました。
私にとってはいきなり意外なタイミングでつっこんでこられ、完全もらい事故なのですが、まぁ会社の名刺も出しちゃったことだし、ダダをこねてもしょうがない、と紳士的に(淑女的に?)その場は行動しておきました。後から人に聞くと、車同士の接触事故は10対0になることはまずありえないとのこと。理不尽な思いです。
その後、保険会社から打診。相手保険会社が9割は負担すると言っているとのこと。通常道路外からの接触は基本が8対2だそうで、こちらが1割負担で済むのは上々という見解です。全体の損害の1割というと、2万円弱になり、もらい事故だという認識の私にとっては、それでも甚だ迷惑なハナシで、納得いかないところでした。1割負担を受けるかどうかもう少し検討すると言って保険会社からの電話を切りました。
ところが、今日帰ってみると相手さん本人から手紙が。
3枚に渡っての詫び状でした。
これが、とてもよく出来たお手紙だったので、かいつまんでご紹介します。
1.頭語、時候のあいさつ
2.お詫びの言葉「思わぬ事故にとんだご迷惑を・・・・お宅まで伺ってお詫びいたすところ・・・・ご無礼の段重ね重ねお許しください・・・・」
3.反省の言葉「年の故でしょうか、あれ以来車で出るのが恐ろしく・・・免許をとって二十年になりますが・・・やはり衰えがあるもので・・・よくよく自重しようと心を新たに・・・」
4.気遣いの言葉「翌日は保育園の入園だったとか・・・・帰りが遅くてお子様もご心配なさったでしょう・・・」
5.褒めの言葉「当日のてきぱきとした対処の仕方や嫌味なお言葉ひとつ発せられず感服・・・・」
6.進物の説明(図書券)「ほんの気持ちでお恥ずかしい限りですが、お子様にお好きな本でも選んであげて・・・」
7.再気遣いの言葉「お勤めさぞお忙しいのでしょうが・・・お元気でご活躍を・・・」
8.再々気遣いの言葉「ご家族の皆様にもどうぞよろしく・・・・」
9.差出人名前(下ぞろえ)
10.宛名(上ぞろえ)
ご自分の言葉で書かれ、言い訳がましくなく、素直さと年配者の気遣いが感じられるすばらしい文章でした。加えて日本語の手紙のフォーマットがきちんと守られています。
図書券は五千円分で、気を使いすぎず受け取れる額。
字も美しい行書で言葉遣いも教養のある女性らしいもの。
心打つ手紙で保険会社にすぐにも今の割合でいいと返事しようと思いました。
さっそく私も自筆で返事。
メールや電話に頼るばかりでは得られない、脳の活性化です。
こういっては何ですが、そうそう今後長くないその方の人生、せめて後味の悪い思いをさせないのが若輩ものとしての勤めなのかもしれません。
それにしても、自筆文章というのはこんなにも人格を表すのか・・・・
事故の負担金以上のことを学べたということでしょうね。
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