おかみブログ
2006年10月6日

重ね煮にハマる

台所リフォーム設計士のあつこさんとのコラボで、田舎暮らしの住まい・台所と食のありかたをさぐる講習会を行いました。
田舎暮らししてて何が楽しいって、やっぱりおいしいものを食べられること。
もともと食べることが大好きな私にとって、八ヶ岳のこの環境は天国です。
都会にいるときには気づかなかった、素材のうまみ。
それを最大限に引き出してくれる調理法が「重ね煮」です。
「重ね煮」は、野菜を順番に鍋に重ね、水を加えずわずかな塩のみで、蒸し煮にしたものです。
田舎暮らしをしていると、新鮮な旬の野菜がたくさん手に入ります。時にはたくさんありすぎて困ってしまうほど。それを無駄なく利用します。
野菜数種を乱切りにし、地表でとれるものから土の中でとれるものへ順番に鍋の中に重ねていきます。ほうれん草などの葉ものやゴーヤなどのアクがあまりにも強いものは不向きですが、たとえばごぼう程度のアクはかえって旨みを出し、おいしくなります。野菜を並べたら、塩をひとつまみ。水は加えません。そして、ここが大事なんですが、鍋の上に手をかざし、「おいしくなーれ、おいしくなーれ」と呪文を唱えます。こうすることで、野菜の気を受け、野菜に自分の愛情が伝わるというわけです。
重ね煮

ことことと弱火で約40分。フタがぷかぷかと浮いてきていいにおいがしてきたらできあがりです。そのままポン酢でいただいてもよし、あまったら冷蔵庫で数日間保存可能。味噌汁の具にしたり、おひたしにしたり、スパゲッティソースにしたり。忙しいときに重宝な保存食です。
野菜切りもほとんど時間がかからない切り方だし、煮込んでいる間は何もしなくてもいい。(むしろ、してはいけない)
準備ができたら、あとは出来上がるまで娘と本を読んでいればいいのです。
出来上がった野菜煮は全ての味が混在した、でもちゃんとそれぞれの味も主張した、不思議なできばえでした。そして、驚くほどおいしい。
自宅でもさっそくやってみました。
1回目の具は、トマト→ピーマン→ナス→キャベツ→ニンジン→タマネギ。鶏のもも肉ソテーの上にたっぷりかけて食べました。
2回目の具は、トマト味がけっこうきつかったのを反省し、根菜中心の野菜。ナス→ピーマン→キャベツ→ジャガイモ→ニンジン→タマネギ。ボンゴレビアンコスパゲッティの上にたっぷりかけました。
「重ね煮」は岡山の民宿を営む船越康弘さん家族が勧める、自然食の味わい方です。私は直接船越さんにお会いしたことはありませんが、こうして人づてに知り、ホームページを拝見していくうちに、不思議と会ったことがあるんじゃないかとさえ思えてきました。多分そのうちご縁があります。きっと。
考え方はシンプルです。「旬のものをとことん食べる」「野菜本来の持つ上や下へ伸びる力を利用する」「まるごと食べる」
マクロビオティックの「身土不二」「陰陽」「一物全体」と基本的には同じですが、「これはやめたほうがいい」とかいう規制はありません。肉も魚もアリです。
まぁ私が言うより船越さんのホームページを見たほうが正しいですね。
http://www.wara.jp/index2.html
最近思います。
自分の周りで、世界がどんどんつながってくる。
「世の中狭い」とよく言いますが、狭いんじゃなくて広がっていくんじゃないでしょうか。
人を通じて自分が少し成長できたことで、また次の成長とご縁が待っている。
私の場合はそのリングの接合部に「食(酒・菓子含む)」があるようです。