おかみブログ
2008年9月20日

お産難民

妊娠31週に入り、まもなく9ヶ月目、いよいよハラもでかくなってきました。
お勤めを9月いっぱいまで続けるので、今が最期のガンバリどころです。
なのに、いつもより余計にいろいろ他の用事を入れてしまい、ついついムリをしてしまいがち。
年も年だし、最初の子のときはあまり感じなかったお腹の張りが
最近気になり始めました。
こういうもんなのかなぁ、と思いながら先日健診にいって、
看護士さんに体調を何気なく相談したところ、
そのあと先生からすごい話をきかされてしまいました。
「とにかくお産できるところが、もう限界なんですよ」
いつもは画面を見せながら「これが足、これが手ですよ」とか説明してくれるのに、
今回ばかりは険しい表情で唐突に昨今の医療事情について話し始めました。
「今諏訪市茅野市にお産できるところは8軒です。
総合病院3軒、個人院5軒。
これは全国的に見ても恵まれたほうです。
ただ、諏訪エリア以外のところになさすぎる。
岡谷・塩尻は近いうちになくなるでしょう。
上伊那には全くありません。
それから上諏訪郡と北杜市にもない。
山梨県でもそこそこ充実しているのは甲府だけです。
俗に家から病院まで2時間かかれば『お産難民』と言われますが
それに近い状況なんですよ。」
確かに北杜市内に産科や助産院はありません。
でも平成21年にはお隣の富士見町の総合病院に産科ができるといううわさでした。
今は婦人科だけだけど、その先生が準備をすすめていて来年には産科も再開するとか。
(富士見高原病院の産科はMOOが生まれる少し前から閉鎖になっていたのです)
その話を先生にすると
「残念ながら、富士見の産科の話は流れます。」ときっぱり。
「えっ。でも広報誌に書いてありましたよ。
北杜市には今産科はないけど、富士見にできますからぜひそちらを利用してください、って。」
「まったく、北杜市の市長さんは何考えてるんでしょうね。
自分の市ではできないけど、他の市にまわせばいいってことでしょうかね。」
先生は少々ご立腹ぎみ。
北杜市は都会からの若い家族の移住先としても人気があり、
出産率もあまり減っていません。
現に私の周りでも3人目4人目を生む人は多く、
保育園ママ友達でも今年は出産ラッシュのように感じられます。
病院選びは、北杜市最西端の小淵沢は諏訪、長坂以東は韮崎・甲府が主流。
普段から家族の月一お買い物先としてなじみのある距離のせいか
産科が市内にないことにあまり危機感を感じてはいませんでした。
先生はさらに厳しい表情で続けます。
「諏訪エリアの産科が数年後5軒になることは十分考えられます。
医師の高齢化や助産師の減少で。
そうすると残された病院に異常な負荷がかかる。
諏訪市以外の在住や里帰り出産は受け入れられない事態になるかもしれないんです。」
ええーーっ。
「市長さんは・・・っていいましたけど、市長さん一人が公約してもだめなんです。
選挙のために『出産・育児環境を・・・』なんてみんな言いますけどね。
どこまで裏がとれてるんだろうってギモンですね。
産科を立ち上げるためには設備とスタッフが相当数そろってないとできないんです。
でも全国的にそれが不足してるんだから、どこからどうやって集めるつもりなのか、
全く現実味がないですよね。」
なんだか八方ふさがりだ。
「つまり何が言いたいかっていうと、
妊婦さんにこれまで以上に自覚をもってもらいたいんです。
とにかく通常分娩ができるように。
早産なんてことになったらお互い大変なんですよ。」
そんなこと言われても・・・意思に関係なく起こることは起こるんじゃ・・・。
「お腹が張るという症状は、無理が原因のことが多いんです。
今のお母さんたち、仕事持ってますから、どうしても産休前に無理しがち。
でもお腹が張ったらとにかく安静にしてほしい。
お薬で調節することもできますけど、一番は横になることです。」
寝てばっかり、というのも性に合わないんだけど、
でもさんざんおどされて、さすがの私もちょっと危機感を持つハメに。
薬を処方してもらい、休息を心がけるように気持ちをきりかえてみました。
ところが、張り緩和のお薬『リメトラーク5mg』というヤツの処方箋を
北杜市の調剤薬局にもっていったところ、その日は在庫がないとのこと。
妊婦にはわりと一般的なお薬のはずですが、
北杜市に産科がないため求められることが少ないとか。
安心できるお産。
医療機関に過度な期待ができない以上、自分でなんとかするしかないってことか。