夏の薪能
8月3日、恒例の身曾岐神社での薪能に、今年も行ってきました。
お能に興味を持つようになったのは、八ケ岳に来てから。
発端は珈琲館翡翠(長坂町)のマスターが、能面打師だったことで、能面から入ったお能でした。
身曾岐神社のすばらしい能楽殿のほかにも、
大泉町に笛の一曽流の道場(?)があって、以前能楽ワークショップなども開催していたりして
八ケ岳ではお能に親しむ場にも恵まれています。
もともと和の雰囲気が好きなので、まだまだ知識不足ながらすぐハマりました。
着物なんぞ着て、ヒグラシの響くアカマツ林の中のお能見物。
なんとも粋な夏のイベントです。
なんだかんだ毎年行っていたのですが、今年は忙しかったり体調不安定だったりして一時あきらめかけていたところ、とあるルートからチケットをまわしていただけることになりました。
今日の番組は能2つとも「源氏物語」が原作。
ひとつは「葵上」という、大好きな作品です。
六条御息所の怨恨が葵上を呪うという内容で、
前半は静かに抑えた調子で、後半は怒り狂った般若の形相で
女の二面性や複雑さ、せつなさを描いたお話。
能の演技は形式的かつ比ゆ的で、観客の側に豊かな想像力が要されるのですが、
この演目はわりと動きや謡もハデで分かりやすく、情念が伝わってきます。
今年の観賞は自分が着物を着るのはあきらめましたが、
VIP席に近いせいか、お着物のご婦人もちらほらいらっしゃり、
涼しげな絽の着物にうなじもすっきりと、きゅっとアップにした後姿を拝ませていただいたりして♪
すてきですねぇ。
欧米の上流社会で、オペラに行くときの雰囲気ってこんな感じなのでは。
社交界ってやつですね。
もちろんそんな風習は今の日本にはほとんどみられないので、今日のお能だってカジュアルスタイルで来ている人がほとんどなのですが、
ちょっとこういう風に身支度して、お連れの方にも少々の礼節と緊張感を持ちながら
上質な芸術に触れるという場も貴重だと思いました。
上演前の神事
娘が中学生になったら、こんな「社交界デビュー」をさせてみたいものです。
お着物きせてやって、事前にその日の番組を予習させて、立ち居振る舞いも優雅に清楚に。
いかにも娘を持つ母らしい夢じゃあありません?
おっと、その前に自分のほうを磨いとかなきゃ。