おかみブログ
2006年4月26日

木を育てる文化

長坂町小荒間に「古杣川」という一級河川があります。
「ふるそまがわ」と読みます。
ある人からその意味を教えていただきました。
「そま」というのは国字で、国字というのはいわゆる日本人独自の発想で、漢字をアレンジしてつくった文字のこと。
国字には他にも「峠」とか「辻」などがあります。
ここまでは国字についての辞書の受け売り。
ここからは「杣」を教えてくれた人の「杣」についての受け売りです。
「杣」とは材木にするために木を植えた山のこと。
その材木をさす場合もあれば、そういう行為をさすこともある。
そもそも木を育てて材木にするという発想は日本にしかない。
材木にした後はまた植林して次の伐採を待つ。
漢字が生まれた中国には「杣」という概念はない。
伐ったら伐りっぱなし。
昔はそれでも使うほうが少なくてなんとかもっていたんだろうが、
近年伐採しすぎて砂漠化が進んでしまった。
だからこの前みたいに黄砂が・・・
少ない国土で資源を有効利用しようとする概念が昔から日本にはあったんですね。
木を伐りだした後流して運ぶ川を「杣川」といったんだそうで、小荒間の「古杣川」はそういう川だったんでしょう。しかも老舗の。
そういう業に携わる人のことを「杣人(そまびと)」といい、木こりもその中に入ります。
そまびと。いい響きです。
戦後八ヶ岳には成長の早いアカマツが大量に植えられました。早く資源化して、産業を盛り返さなければ、という行政の意図があったからです。
ですが、いまやそのアカマツはほとんど手入れされることもなく、延び放題。広域農道を敷設するからと林の真ん中だけどーんと伐採されてます。
そこを毎日すごい時速オーバーで通勤している私っていったい。
ちなみに「杣」を教えてくれたその人は、よわい70を越えます。
つい最近八ヶ岳にセカンドハウスを得、田舎暮らしを始められました。
風力発電を試みながら、最近は国字を初めいろんなことの研究を進めている、パワフルな人です。
次の世代へ残す財産。
環境、知恵、そして活力。