2009年2月27日
葬祭関係・・「おくりびと」
「おくりびと」の話題でもちきりです。
昨日の「クローズアップ現代」で、映画を通して生死を考える、という解説がされていました。
納棺師によって美しく装束をつけられることによって、遺族は目の前に立ちはだかる悲しい死を客観的に見ることができる。
それは故人との生を静かに見つめなおす瞬間でもあり、自分の生を実感するときでもある。
納棺の儀式に限らず、葬祭全般、それを目的に営まれるものではないでしょうか。
ひとは「カタチ=形式」を必要とする生き物。
お墓は、生と死を見つめなおす「カタチ」の集大成であるともいえます。
人が亡くなり、残された人がその人を惜しむ。
感謝したり、懐かしがったり、時に怒りを思い出し、最後には笑い。
そうしていくことで、生きている人は故人との思い出に少しずつ区切りをつけながら自分の未来を歩んでいく。
お墓とはそういう場です。
お墓、といってもいろんな意味があります。
遺骨を埋葬するところ。
墓標を建てるところ。
信心をあらわすところ。
遺族が集まるところ。
これらの目的を最も分かりやすくひとつの形にしたものが、墓石です。
墓石を建てる仕事をしている私たちは、「おくりびと」のようにいろんな人生を垣間見させていただけます。
墓石店に来る人はたいてい一連の儀式を経て心の整理がついている場合が多いですから
映画のような生々しさはないけれど
やはり、時を経たなりの生と死、そして家族のつながりを教えられます。
墓石はモノではない。心のカタチなのです。