おかみブログ
2010年7月25日

はじめてのお泊り会

森のようちえんピッコロでお泊り会がありました。
今年度に入ってから親の都合で(予算と送り迎え手間)月2回ペースでしか行ってないMoo。
「自ら考え行動する子ども」の育成をめざしできる限り手を貸さず見守る、という方針のピッコロ保育には、2回だけの参加では本当は少ないのですが、まあ自然の中で遊ぶという意味ではムダではないかな、というくらいで接してます。
ピッコロのお友だちも、そういうことでいつも行く保育園のお友だちほど親密ではないので、
今回のお泊り会も、参加させようかどうしようか、私もギリギリまで迷ってました。
とにかく、お泊り会の存在をMooが知って、自分から行きたいといえばもちろん参加させよう、と思ってました。
7月に入ると年長組の子どもに先生たちがさりげなくお泊り会のことを促し始めます。
毎日行ってる子は日程も内容も徐々に理解していくのですが、
Mooの場合は7月の初旬に1度その話を聞いて、「ふうん、そういうのがあるんだ」とその場で知ってあとは忘れてました。
ただ、最初聞いたときにお友達に行こうよと誘われたことがうれしかったらしく、最初から行きたいモードにはなっていたみたいです。
そして次の出席日がお泊り会の前々日。
「え?あさってなの?」と急にそのモードになり、はっきりと「お泊り会、行きたい」と言い出したのです。
よし、それなら、と参加を申し込みました。
お泊り会。
家族と離れ、お友達と先生たちだけで園舎に一泊。
他の参加者の多くの子同様、Mooにとっては初めての経験。
どの子も楽しみな反面、不安でさびしい、という気持ちからスタートするみたいです。
「おれ、泣くかも」と宣言している子も。
そんな周りの子の反応もあって、Mooも、参加するとは言ったもののやっぱり前日は不安な気持ちが強くなってきたみたいです。
「明日ぜんぜん楽しみじゃない」などとつぶやく場面も。
で、当日。
いつもと違って昼過ぎ3時の登園です。
その日は朝から保育園のほうを休み、私の買い物と仕事につきあわせたりしながら登園の時間を待ちました。
朝、持ってくものの準備。
Mooはしきりにふとんを気にします。ふとんは保育園に置いてあるので、出る前にとりに行くことにしていましたが、「ふとん、保育園にとりにいかなきゃ」と何度も口にしていました。たぶん保育園に一度は顔をだしたいのでしょう。
ふとんに気をとられていたせいか、下着などの着替え一式をリュックに入れるのをすっかり忘れ。
買い物に出てから二人で気がつきました。
「あーあ」。
「どうする?とりにはもどれないけど」
「このままでいい」
途中で買っていくという選択肢は出てこなかったようで、結局着替えなしで参加することにしました。
なぜかパジャマだけは用意していたのが救い。
登園。参加園児は5人。
他の子たちももう来ていて、ふとんを敷いたり、カレー用の一品持ちより野菜を集めたり、着々と準備が進んでいます。
「泣くかも」と宣言していた男の子はお約束どおりべそべそ泣いています。
それにつられてMooもウルウル。
先生が、親子の別れがしづらくなると察したのか、
「おかあさん、もう帰ったほうがいいかも」と、促してくれました。
それでMooがリュックを置きに行っているすきにこっそり園舎を出ました。
でも。
なんだか私自身納得いきません。
最近のMooはちょっとくらいイヤだと思っても、するべきこと、自分が決めたことは最終的には守る、ということができてきていて、「やっぱり行かない」のドタキャンはないのです。
というより、もともとそういう決心をする子ではない。
それなら、「がんばってね、いってらっしゃい」などの言葉をきちんとを交わしてから別れたほうが、本人も気がすむんじゃないか。
なにより私が、すごーく後味わるい。
車で帰路について3kmほど来ていましたが、「やっぱり戻ろう」と思い返しました。
でもただ戻るのもなんだかバツが悪いなー。もうお泊り会のプログラムは始まっているだろうし、他の子を刺激してもかわいそうだし。
結局、もうひとつ小さな忘れ物(歯ブラシ)をしていたことを思い出し、それを持っていくついでに、様子を見ながら会おうと計画を立てました。
園舎に戻って車道から様子をうかがってみると、もう始まりの会が始まっていて、Mooもとりあえずおとなしく座っている様子。
「こりゃー、出て行かないほうがいいかな、間が悪いな」と思っていると、
ちょうど例のベソかき少年のお母さんがまだいました。
他のお母さんがまだいるならちょっとくらいいいか、と始まり会が終わったあたりでひかえめに顔を出すと
Moo、「なんでもどってきたの?」と不思議そうな顔。
怒るでもなく、うれしがるでもなく、微妙な表情。
「いや、ほら、歯ブラシ。」
「・・・・」
「あと、ぎゅーくらいしよか。」
まあこういう間の悪いことをしたのがよかったかどうかはわかりませんが、
少なくともこの2回目の別れは特に乱れることもなく、淡々と終わったのでした。
そしてあとは次の日の迎えの時間を待つばかり。
予定では歩いて2km離れた店までパンを買いに行き、戻って子どもたちだけでカレーをつくり、花火をしたりして夜をすごし、自分たちから寝ると言い出すまで就寝は促さない。
朝は目玉焼きを作って残りのカレーとパンを食べ、スイカ割りをしたり、ウサギの世話をしたりして、9時過ぎ降園。
ただ、予定は未定で、子どもたちの様子や意思によって変わることもあるそうです。
私の心配ごとはやっぱり着替えを持っていかなかったこと。
水浸し汗まみれになったりしないかな、おねしょしないかな。
とにかくピッコロ園舎は電気はつかないし、トイレは外だし、ほとんど野外キャンプのような環境なのです。
夜おしっこに行きたくなっても、一人じゃ行けないだろうし、Mooの性格上誰かについていってほしいと言い出せるかどうか。
迎えの時間。
ごほうびに帰りに大好きな温泉に連れて行ってあげよう、と下着とワンピースの準備をして迎えにいきました。
着くといつもとかわらないすがすがしそうな顔。
とりあえずおねしょもなく無事一夜を過ごせた様子。
先生からの報告会が1時間ほどある間も、他の子と木登りしたり草をとったり、いつもと変わらないテンションで普通に遊んでいるのが、Mooらしいな、と思いました。
全体としての行事もほぼ予定通りに進んだとの報告でした。
ピッコロらしいMooにまつわる話。
夜の散歩に行こう、と子どもたちが言い出し、行き先も子どもたちが決める。
街灯もない、月明かりも半分しかない、しかも少し曇り空。
まったくの闇の中、懐中電灯だけが頼り。
勇気ある男の子を先頭に5人の子どもたちと先生たちあわせて8人が夜の散歩に出かけました。
Mooはたまたま先生と手をつないでもらっていたのですが、ふいにすっと手を離し、少し前を進んでいた男の子のところへ行って、「ねえ、Gちゃん、こっちでいいの?」と道を確認したということです。
いいとわかるとまた先生のところへもどり、手をつないでもらったとのこと。
「私に聞かないんだよね、子ども同士で確認しあうの」と先生はおもしろそうに話してくれました。
あとで感想をきくと「ちょっとこわかった」と話したそう。
意地をはって「こわくないやい」という子もいたそうですが、そのあたりMooは正直です。
みんなが眠りについたのは12時をまわっていたそうで、これも先生はびっくり。
とにかく無事におわったお泊り会。
小学校へ入る前の年のこの時期、よくお泊り保育というものが取り入れられますが、
「やっぱりこの時期なんだね」と先生は言います。
超えられそうだけど、ちょっと高いハードル。
超えた瞬間喜びを感じることもあるし、あっけなかったと感じることもあるし。
Mooの場合は一見ソツなく超えたように見えますが、誰も気づかない何かをつかんでいるかもしれません。
この一夜で劇的に変わったわけではないけど、
最近ぐっと落ち着いて、すっかり小学生と間違えられるようになりました。
何度か脱皮を繰り返す虫のように、5才半のこの時期、明らかに何かが変わったきたMooです。
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