おかみブログ

2013年5月22日

お墓の撤去

今年に入ってから、お墓の撤去の依頼が続出しています。
昨年までも年に2〜3件はありましたが、今年はこの5ヶ月で、既に5件来ています。
まさに月1ペースです。
撤去の理由はほとんど同じ。
仕事などでふるさとから離れた別の場所が拠点になり、今後もふるさとへ帰る予定はなく、墓の管理ができないから。
人間の行動範囲がどんどんグローバルになって、ひとつの土地に縛られなくなったことから起こる現象の、最も象徴的なことかもしれません。
撤去するにはまずお寺さんなどにお墓の魂抜き(抜魂)の法要をしてもらい、からっぽの墓石にします。
お骨をとりあげる場合は市町村に「改葬許可書」をもらいます。
今年に入って撤去依頼のあったもののほとんどは、古いお墓で骨ももう残っていない、石だけの撤去ですが、
1件だけ納骨堂に1つお骨壺があるお宅がありました。
このお宅については、小淵沢町や居住区(墓地が共同墓地なため区が管理者となる)との書類のやりとりも代行します。
好んで移住してくる人の多い八ヶ岳ですが、もともとの地元の人が離れていく例が多いのも現状。
お墓が無縁にならないように、とそのお宅なりの熟慮の結果のお墓改葬です。
新しいところでまたいい供養を続けられるのは喜ばしいことだと思います。
それでも、やっぱり「さびしい」仕事、と感じざるをえないのは、石屋の人情なんですよね。

2013年4月19日

蔦木の春、梅とウド

信州蔦木宿。
江戸から43番目の札所、甲州街道添いに広がる宿場町です。
以前、関わっている不動産情報誌で紹介するため「蔦木宿を元気にする会」を取材したことがありました。
その会長名取さんとはその後もときどき連絡をとらせていただいてます。
今回はウド取り体験に呼んでいただきました。
それに先立ち、4月初めの梅並木で家族写真。
この梅並木も「蔦木宿〜会」の人たちが移植したものです。
梅の一本一本に会の人たちが詠んだ俳句や短歌の札がさがっています。
これがとてもこころにしみるものばかり。
訪れたときはちょうど7分咲きの見ごろで、ころころ通信表紙用の楽しい写真が撮れました。蔦木宿梅並木4月-1
蔦木宿梅並木4月-2
さて、今日はウド取り体験です。
信濃毎日新聞にも「体験歓迎」の記事がトップ面カラーで載ったので、他にも2人女性がいらしてました。
本来は山に自生するウドですが、農家・名取さんの栽培の手にかかるとこうなります。
大きなポットにもみ殻と土を入れ栽培する様子。
そろそろ育ってきたなと思ったらポットごとガバっとはずし、一気に収穫します。
茎が赤いのは山ウド。自生する種に近いものですが、残念ながら人の手がかかって栽培すると、山でとるほど香りは強くならないそうです。
その分アクが強くなくて食べやすいそう。
ウド取り1
ウド取り2
ウド取り3
さっそくミソマヨでいただきました〜。

2013年1月25日

親子で検定<お墓ディレクター編>

今年の冬はいろいろチャレンジの年でした。
Mooはスケートに加え、漢字検定。
私は昨年に引き続き「お墓ディレクター」、今年は1級にチャレンジです。
まず私の試験のほうが先にありました。
全国7箇所の会場のうち東京が一番近く。
五反田のTOC、地下1階会議室、2級とちがって狭い部屋です。
11月頃から試験勉強を始めました。
最初はぶあついテキストをひととおり読み返すことから。
テキストの冒頭は、日本人の「死」に対する感覚と「死者」を大切に葬る文化思想が説かれています。
・・・・・・・・
日本人は死を穢れと考えていましたが、同時に、腐敗風化は新たな生命の源でもあり、むしろ尊いものとして浄化しようとしてきました。
お墓はそのしるしであり、人類の繁栄と幸せの象徴なのです。
、と読みやすく、感動的ですらあります。
以降、仏教の根本思想、各宗派、神道、墓埋法などの法律、営業法、石材や加工などについて、幅広い内容。
聞いたこともないような固有名詞や単語も出てくるし、なかなか読み進められません。
気を取り直して、過去問を解く勉強法にきりかえ。
過去問は主催者サイトからダウンロードできます。
結局毎年同じような問題が出てくるので、過去9回の問題をひたすら復習します。
テキストも問題の答えとなる部分を中心に読めば、パズルが合うように、だんだん内容がつながっていくのです。
これでマークシート対策はOK。
1級は合格率も3割前後といわれますが、難関の理由はなんといっても小論文でしょう。
テキストを持ち込んでいいとはいえ、800字程度の文章を2つ書くのは、大変です。
今年の問題は確かこんなかんじでした。
1-a (よくおぼえてない・・・)
1-b 日本人の「死」に対する考え方とお墓について、日本古来の神道や仏教がどのように影響してきたか、大陸からの影響も交えながら説明せよ
2-a 手作業による石材加工の手順を、道具などの説明も交えて記せ
2-b 石材の接着方法について、モルタルと接着剤の両方を、それぞれの注意点も含めて説明せよ。
2問とも、a、bどちらかを選んで書きます。
パソコンなれしているせいで、手書きの原稿用紙うめは頭の中で推敲することが多すぎて、あせります。
時間は全然足りません。
おまけに2のほうはテキスト読み込み不足でかなり稚拙な文章になってしまいました。
試験が終わり、夕方の五反田から昔働いていた大崎を訪れました。
すっかりさまがわりした大崎。(もう何年もたつのでしょうが)
昔の職場の同僚に連絡を取っていなかったので、ただふらふらと歩き、誰ともしゃべらずに試験の日を終えました。
なんだかすごい無力感。
やっぱり合格はむずかしいかなぁ。

2012年12月17日

空(くう)の思想

息子の誕生日にちなんで、考えてみる。
空(くう)とは、あらゆるものが、不変にして恒常的な本性を持たないということである。
もし、ものが変わらないで永続するならば、それは生ずることも、滅することもないはずである。
なぜなら、生起・存在・消滅は、いずれも変化にほかならないからである。
いいかえれば、あらゆるものは、固有の実体とか本性をもっていない、だから空である、ということになる。
ものは原因や条件しだいで生じ、原因や条件がなくなれば滅するだけのものである。
空の思想は必然的に不二(ふに)の思想に導いていく。
もしAなるものに実体がなく、Bなるものにも実体がなければ、
AとBとは、ともに実体の空なるものとして、区別されず、分かつことにできないものとなる。
すなわち、不二であることになる。
一見対立している二つのもの、たとえば煩悩とさとりは、ともに空であるから、本質的には不二である。
――――『日本人とお墓』監修・編著/小畠宏允 より

みんな違うけど、みんなおんなじ。
自分が救われれば、みんなも救われる。
今日、息子はバーバの家でたらふく食ったくせに、私の夕食のスパゲッティを見て「わぁ♪まーめん♪(ラーメン の意)」と顔を輝かせていた。
ラーメンじゃないよ、スパゲッティだよ。
でも麺類で口に入るおいしそうなもの、という意味では同じだし
そもそも自分の食事はさっきので終わったという固定観念もない。
目の前にあるものに本質的な違いはない。
空の思想を考えると、思うようにいかないことにイライラするのがバカバカしくなる。
ずっとこの思想を実践できればいいのに、と思う。

2012年11月26日

子授地蔵、ご奉納

9月に来店してくれた塩山にお住まいのお客様から、お便りがきました。
「おたくのお店で買ったかわいいお地蔵様を、子授地蔵のお仲間に入れてもらいました。」
子授地蔵(こさずけじぞう)とは、牧丘町(合併し現山梨市牧丘町)にあるお地蔵さま群のこと。
子どもの授からない夫婦がそこにあるお地蔵様を1体連れて帰り、めでたく授かった折には2体にしてお返しするという風習があります。
そのお客様もめでたく初孫をさずかり、借りてきたお地蔵様のご利益、と喜ばれ、当店でお地蔵様を買ってくれたのでした。
「初孫をさずかり、喜びを与えていただき、幸せな今日の自分があることを、亡き両親やご先祖様に心の中でありがとうございましたといいました。」
奉納したときの様子や子授地蔵のある小楢山の様子を写真に撮って送ってくれました。
塩山…車で行けば1時間ちょっとだから、そのうち見に行きたいなぁ。
ウチはもう十分授かったけど、感謝の心を持ち続けられるように。
子授地蔵の観光案内はコチラ
山梨市観光協会 http://www.yamanashishi-kankou.com/asobu/culture2.html

2012年9月29日

授かり地蔵

「お地蔵さま、ありますか?」
かわいい赤ちゃん連れの4世代家族がご来店。
牧丘町(合併し現山梨市牧丘町)に「子授け地蔵」というお地蔵さま群が祀ってある場所があるそうです。
子どもの授からない夫婦がそこにあるお地蔵様を1体連れて帰り、めでたく授かった折には2体にしてお返しするという風習があるもの。
ご来店くださったご家族もかわいい初孫ちゃんを授かったので、新しいお地蔵様を持ってお礼にいくところだとのこと。
それにしても塩山にお住まいの方が牧丘に奉納するのに、小淵沢の石屋に寄ってくれたのも何かの縁ですね。
小さな円仏地蔵様1体が、 めでたくもらわれていきました。
これからの人生、お地蔵様の功徳に守られますように。
山梨市観光協会 http://www.yamanashishi-kankou.com/asobu/culture2.html

2012年9月3日

新しい小淵沢駅に向けて

小淵沢駅が新しくなる、という計画があります。
市がやっと小淵沢駅にも予算を割いてくれ、駅舎と駅前ロータリーの整備に乗り出す計画。
地域住民も含めた計画策定委員会が平成22年頃から立ち上がっていますが、
今年2月に、基本設計を東京芸大と連携して行うことが決定しました。
自然豊かな環境という特徴に加え、文化や芸術関係者も多く在住し、地域に広く芸術的特徴がある、と見られている北杜市。
その玄関口となる小淵沢駅にも、芸術的な観点をとりいれた、特徴ある駅にしよう。
そういうねらいから決まった、東芸大との連携です。
昨日、その最初のミーティング(ワークショップ)が開かれました。
東芸大の描いた未来の小淵沢駅案に対して、広く意見交換をする、という目的です。
小淵沢全町に開催する旨の回覧板がまわり、誰でも参加できることになっていました。
駅前でのことですから、当然興味はありましたし、駅前に象徴的な石のモニュメントでもあればいいのに、と希望も持っています。
さらに夫は別の町づくり委員会や、観光協会、その他あれこれ協会委員をやったりして、アンテナが高くなっています。
最終的にはクラフトネットワーク「おらんうーたん」の一員として、今回のワークショップ参加に声をかけられました。
ワークショップは16:30から約2時間の予定が、白熱議論となり20時をすぎても終わりませんでした。
夫は別のお客様のところへいく約束があったので、20時すぎに失礼しました。
参加していた間の印象は・・・?
東芸大からは「自然や文化の特徴高い北杜市の玄関口となる小淵沢は、こんな風につくるといい、ここと連携するといい」などの理想的なプランが発表されましたが、
それに対して意見があったとしても反映する場や時期は検討されていない、とのこと。
また、前々から策定委員会や市が予算も含めて検討しているのに、
東芸大の先生と学生さんは、それはそれとして、もっと広い範囲や違う方向での計画をプレゼンしてくれたよう。
住民も、プランはプランとして、出してくれたものに意見を言うわけではなく、予算はどうなってるんだ、北側の通路はどうするんだ、駅前商店街はどういう位置づけになるんだ、と、プランにはあまり関係ないツッコミをしてばかり。
つまり、主催者である市も、発案の東芸大も、意見出しの住民も、3方にとって有意義なワークショップとはいいがたいものだったそうで、ちょっと残念でした。
明日から1週間、東芸大の書いた絵(プラン)がパネル展示されます。
場所は昨日の会議のあった、生涯学習センター。
それがそのまま実施されるわけでもないし、かといってそれに対して意見を言っても反映されるわけではないのですが、
一応参考までに見ておこうと思います。

2012年6月21日

「南無釈迦牟尼佛」に込めた想い

次の「ころころ通信」の取材のため、甲府のお客様のところへ行ってきました。
甲府在住の方で、墓地も甲府。
八ヶ岳周辺が圧倒的な施工エリアの最近のウチの仕事としてはめずらしいことです。
しかも、この方はわざわざいろいろ調べて、甲府の業者さんではなく、当店を指定して来てくれた人。
そのわけは建て方のこだわりにありました。
奥さんが亡くなって1周忌を迎えるにあたり、墓石の開眼をめざしたKさん。
建てるにあたっては、宗派の教義に沿ったお墓を研究なさいました。
調べているときに娘さんとネットでみつけたのが「仏教墓塔研究会」。
仏教の各宗派の教義を正しく習得し、それに沿った形での墓塔の建立を考える研究会で、
福原堂礎さんが主催をしています。
あやしい宗教団体でも占い系の墓相屋でもなく、宗教学を通して本来のお墓の意味を考えるという、至極まじめな会です。
毎年1月頃、石材店や寺院向けの研修会が開かれていて、ウチの夫も数回(毎回はちょっと金銭的余裕がないので・・・)参加しました。
やたら飲むだけの名目上の研修会ではなく、朝から晩までずーっと講義やお寺の見学があって、へとへとになるそうです。
そんな研究会のことを知り共感されたKさんは、本来の意味をきちんと表したお墓を建てたいと希望されました。
さぞ、以前から研究熱心で、読書家で、(もしかしたらちょっと気難しいのかしら・・・)と想像していたのとはまるっきり違う、ほんわかと癒し系のタクシー運転手さん。
なくなった奥さんとは、高原の教会で友人だけを招いて結婚式をあげ、小さな喫茶店を経営していたという、ロマンチックで素敵な人です。
お話をしていると、60代になってまもなく乳がんで亡くなった奥様への想いが切実に伝わってきます。
「あいつが・・・」と奥様のことをいうのもすごく愛情が感じられます。
生前いろいろしてあげられなかった代わりにせめて供養をちゃんとしたい。
奥様は、お花好きで明るい性格の反面、信心深いところもあり、そんな奥様の願いをかなえたいというのが、お墓へのこだわりでした。
タクシーを利用する人は、お墓参りの人もとても多いそうです。
お客さんをお墓に連れて行って、墓参の間待機し、また駅まで送り届ける。
来たときと帰るときでは、お客さんの表情がぜんぜん違う。「ほっとした」という声をよく聞くそうです。
墓石建立を考え始めた頃から、お客さんを待っている間、墓石を注意して見るようになりました。
「曹洞宗のお墓は、甲府の場合は黒やグレイが多いですね。日蓮宗は白が多いですよ。
お地蔵様を建てるのは日蓮宗が多いね。」そんな調査報告(?)も話してくれたりしました。
(確かに甲府市は禅宗と日蓮宗のお墓が多いです)
Kさん、八ヶ岳でコーヒー屋さんやってくれないかなぁ。

2012年5月22日

金環日食〜穴の向こうの景色

いよいよ金環日食の日がやってきました。
我が家では早々に日食グラスを購入し、準備万端です。
おまけに前日にピンホール投影機を作りました。
金環日食1
小学校で、早く来た人に日食グラスを貸してくれます。
ウチはグラスはあるけれど、観測気分を味わいたくて、Mooにくっついていきました。
金環日食4
欠け始め。
ピンホールは小さいほど近くに投影できるので、
目打ちで開けた穴φ1mmはみごと80cmほど離れた反対側のダンボール側面にくっきりと映し出されました。
穴の向こうの太陽。
金環日食2
木漏れ日。
金環日食3
ちょうど月と太陽が重なった時間。
小淵沢で7時30分から32分頃。
金環日食7
あたりは曇りとはちょっと違う不思議な暗さでした。
森の中では鳥の声がしなくなったり、
飼っていた犬が外に一瞬出ておびえたようにすぐ中にはいってきたり、という現象が感じられたと
森の中に住む人に後で聞きました。
自然界ではやはり異常事態だったのでしょう。
小学校からの帰り道。
まだ金環状態から抜けてまもない時間。
田んぼに山と民家がみごとに投影されていました。
金環日食5
金環日食6
鏡の中の景色。

2012年5月11日

空を写す田んぼ

GW明けには、小淵沢のほぼすべての田んぼに水が張られます。
水田は人が作った、すばらしい装置。
お米づくりをしたことがないので、どれほどの知恵と苦労があるのか、実際にはわかりません。
でも、まちがいなく、すごい知恵だと思うのです。
今日は家のすぐ前の田んぼの持ち主さんが、昨日刈っておいた土手の草を水田の中に投げていました。
上手な処理方法なんでしょう。
そして、この時期、どんどん日が延びて、夕方6時でこの明るさ。
田んぼ1
以前、夏至のころのフィンランドに行ったことがありますが、まさに湖と森とまばらな人家の様子が、こんな感じだったと思います。
高原の気候も北欧っぽいし。
あーあ、中で仕事してるのもったいなーい。
梅雨に入る前に夕方あそびしたいものです。
オトナの夕方あそびとは・・・
1.庭の雑草とり
2.畑の雑草とりと畝作り
3.子どもと散歩がてら配り物
4.棚田の夕日を見ながら焼きソーセージとビールで一杯
庶民のささやかな幸せです。