大谷石のふるさと
栃木県宇都宮市郊外の大谷町(おおやまち)を訪ねました。
ここはその名もズバリ大谷石(おおやいし)の産地。
大谷石は、日本で最も一般に名の知れた石種といってもいいでしょう。
凝灰岩の一種で、大谷町でしかとれないのでその町の名をとっています。
ワインのボルドー、発砲ワインのシャンパンみたいなもんです。(?)
独特の青緑の地に渋茶色の斑で、石でありながらとても柔らかい風合いを感じさせます。
耐火性・調湿性・防腐性を誇り、加工もしやすいことから日本の建築市場では欠かせない存在でした。
大谷町ではいたるところに大谷石で作った建築が見られます。
いいですねー。やはり産地はこうでなくっちゃ。
石のお蔵なんて贅沢だと思いますけど、昔はブロックより安かったから、それこそ湯水のように使ってたみたいです。
大谷町の観光スポットのひとつ、大谷石の山ごと切り出してつくった「大谷観音」と「平和観音」です。
「大谷観音」は平安時代に弘法大師によって彫られた洞窟内の壁面彫刻。日本最古の石仏だそうで、国の重要文化財なので撮影は禁止。
「平和観音」はコチラ↓
27mもの巨大な石像です。第二次大戦後、平和を祈願して造られました。
肩の向こう側に公園があり、そこまで登っていけます。
娘はかなりインパクトがあったらしく、帰ってきてからも「おおきいかんのんさまみたの」としきりに話していました。
ところがこの観音像のすぐ近くで悲しいものを発見。
一見映画のロケ地にもなりそうな神秘的な石の崖の間を入っていくと
奥のほうに粗大ゴミが捨ててありました。
ひどい・・。
大谷町のもうひとつの見せ場、「大谷資料館」。
採掘場を開放した巨大な地下空間です。
資料館なので今はもうここでは採掘作業はしていません。
大谷石は年代順に斜めの層となって地中の奥まで分布しており、採掘技術が進んでくると石材として利用価値のあるものを求めて横へ奥へと掘っていったところ、このような地下空間ができたのです。
迷路みたいに縦横に採掘現場が広がっていてまるでカタコンペのようです。ところどころ、地上の位置を知るための天窓のようなものがあって、そこからわずかな光が入ってきます。もちろん今は照明がありますが。
光が当たらないうえ、石なので熱が伝わりにくく、気温はほぼ一定。夏はひんやりしていますが、冬は逆に外より暖かい日も。
ただしこの日は外がぽかぽかと春の陽気だったので、寒く感じました。
一定の温度を利用して戦中の兵器庫、戦後の食品庫としても使われました。
今では音の独特の広がり具合を利用してヒーリング・環境系の音楽のコンサートが開かれたり、神秘的な空間を活かして結婚式場にもなったりしています。
ちなみに娘はここが心地いいのか、はたまた生気を奪い取られるのか、地下室に入るなりぐったりと昼寝タイムに入ってしまいました。
太古からの歴史と人の暮らしが見て取れる大谷町。
海外の安い石材や人造建材におされ、寂れた感は否めませんでしたが、だからこそもう一度探訪に来たいと思える街でした。
次は娘が小学生になって、夏休みの自由課題ネタがほしくなったら、また家族で来ようかな。
さて、宇都宮市街に戻ります。
宇都宮は餃子の街。ということで餃子マップを片手に、大谷町から一番近い店に入りました。
←美智都の餃子。味がついているので酢とラー油だけで食べるべし。
それから宇都宮はジャズの街でもあるそうです。
中心部にたくさんジャズクラブがあるとのことで、こんど来たときはそんな大人のムードもちょっぴり味わってみたいものです。
新しくカテゴリーをつくりました。
「石の街めぐり」・・・国内外の石の産地に行ったときの旅行記です。
なかなかふつうのメジャーな観光地にいけないかわりに、「石」をテーマにした旅行をするのも楽しいものです。
今までの記事もこのカテゴリーに変更したものもありますので、どうぞあらためてごらんください。