おかみブログ

2007年12月14日

不幸中の幸い

「不幸中の幸い」という、おそらく日本語特有の慣用句があります。
「不幸なできごとのなかでせめてもの救いとなること」という意味だそうですが(by大辞泉)、
実は奥が深くて、実際おこった不幸なできごとより、さらにひどい不幸を敢えて想像し、
そうならなくてよかった、と思うことにするという、日本人の美徳の表れだという気がします。
西欧的な考えでは、「この不幸の原因は何か」というところにいくでしょう。
「目には目を、歯には歯を」。
この古代バビロニアの法律も、しかえしをしろ、という意味ではなく、
正等な処罰を、ひいては法の下の平等を説いたものなのでしょうが、
これを否定したのがユダヤ教、キリスト教です。
「右の頬を打たれたら左の頬も・・・」。
でも現代ではむしろそのキリスト教国が報復概念にとらわれている・・・。
・・・話が遠回りになりました。
つまり、今回の我が家におきた出来事も、冒頭のように考えればあきらめもつくというものです。
先週夫が事故にあい、右足を複数箇所骨折、現在も救命センターで手術待ちです。
でも、「命に関わる怪我じゃない」「事故の加害者じゃない」「これからヒマになるシーズン」などと考えることで、
「うまい具合に長期休暇がとれた」「亭主元気で留守がいい(これもいい慣用句ですネ)」と発想転換することができるのです。
なんとかこの程度まで書けるくらい、気持ちに余裕がでてきました。
ご心配いただいた皆様、ありがとうございます。

2007年12月7日

冬山観賞とは

五感で味わうこと。
変化を楽しむこと。
暮らしのドラマを感じること。
・・・冬山に限らないが。
冬山富士山
枯れ桜、腕を伸ばして 紅富士を得る
冬山八ケ岳
愛犬と見上げてみれば網笠山
冬山南ア
原山の咲耶(さくや)も見たか鳳凰山
高根下黒沢 原山神社にて。木花咲耶姫を祀る。
よく「山を一望する家がほしい」などと言う人がいますが、家からの景色は必ず飽きます。
八ケ岳南麓のすばらしい眺望は、畑の真ん中で、その地の先人と共に観賞してください。
冬山富士2

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2007年12月6日

ペットボトルの意外なリサイクル

小淵沢駅に出現した氷のクリスマスツリー
ペットツリー1
・・・ではなく、ペットボトルを重ねて作ったツリーです。
4種類のサイズのボトルを集め、ピラミッド状にしたもの。
遠めに見ると氷みたいで、電飾や飾りが透けてきれいです。
八ケ岳の冬はよりのイメージだから、ちょうどいいですね。
なかなかのセンスです。
駅員さんがみんなで手作りしたとのこと。
待ち合わせスポットになるか??

2007年12月4日

虎落笛、北風、木枯らし、八おろし

俳句会に入門し、今月の句会で3回目。
「歳時記」という季語辞典も入手し、気合は入っているものの、出されたお題にアタマを悩ませています。
こんどのお題は「虎落笛」。
竹垣などを通り抜けるときに「ぴゅー」っと鳴る風の音をそう呼ぶんだそうです。
ビル街の音も現代では虎落笛に入るそうで、いかにもさむそーな冬の自然現象です。
冬の風といえば「隙間風」「木枯らし」「北風」などがありますが、我が地方での共通語といえば、やはり「八ケ岳おろし」でしょう。
八ケ岳の西肩から吹き降ろす、乾燥しきった風。
その冷たさといったら。
「カキーン」と瞬間冷凍するんじゃないかという勢いです。
郷里の六甲おろしなんぞかわいいもんです。
圃場整備された田んぼの真中にいると、立っていられないくらいの強さ。
しばしば「どどーっ」とごう音をたててふきおろしてきます。
「風の又三郎」はこの八ケ岳おろしがモデルだというのを、ここに来てやっと知りました。
なにしろ「どっどどどどうど」ってほんとに鳴るんですから。
賢治を読んだことのある人なら、そんな解説を受けなくてもこの音をきけばピンとくるはず。
移住して10年目、首をすくめながらも「おー!来た来た」と笑いのネタにできるようになりました。
これで、谷桜の「八つのからっかぜ」で一杯やれれば言うことなし。
「どどーんと来いっ」
こういうノリのときに意外と句って出てくるもんです。
あっ一句思いついた。
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2007年11月28日

新スーパー、開店

県内では大手のスーパー、「やまと」が小淵沢IC出口に今日オープンしました。
小淵沢では今まで「エビスヤ」が唯一小さなスーパーマーケットでした。
そのほか、駅前商店街に肉・魚・金物雑貨・本・生鮮野菜・酒・おもちゃ・服飾などが個々に。
今年4月、農産物直売所の「まちこぶ」ができて、商店街に人の流れが帰ってきた、と思ったのもつかのま。
またしばらくは大手スーパーにおされる日が続くかもしれません。
とはいえ、やはり気になる新スーパー。
偶然休みの日にオープンを迎えたのもなにかの縁かもしれない。
朝イチから行く勇気はないものの、夕方、ちょっと偵察に行って見ました。
やまと1 やまと2
まあふつうかな。
そんなに大きくない。
品揃え、贅沢言わなければとりあえず何でもそろう。
価格、もともとあんまり気にしない。
内装、もっと新建材の匂いがするかと思ったけど、そうでもなかった。
接客、ポイントカードを勧めてるおじさんたちが親しみやすくて印象よかった。
こういう品定めをしてしまう自分が、ちょっと悲しい。
便利になったんだから素直に喜べればいいが。
小淵沢という小さい町に大手スーパーが進出したことが、「ギルバート・グレイプ」とダブる。
ジョニー・デップと子役だったディカプリオの演技の実力が、一番ストレートに出ている作品じゃないかと思う。
淡々と語られるストーリーだが、エンディング間近に劇的なシーンがあるから、後の印象が強く残る。
いい映画です。
その中で、町の小さな食料品店に勤めるデップ演じるギルバートが、弟の誕生日のケーキを買うために、新装オープンした大手スーパーに足を踏み入れるシーンは切ないほどにリアル。
買い物をして出てきたところに、ばったり勤務先の店主と出くわしてしまうのです。
もうひとつ、映画とのダブりを思いながら、価格を考えてみました。
貧乏なギルバートの家では手作り誕生日ケーキを作る予定がくるってしまい、高いデコレーションケーキを買うはめになっていました。
「このケーキにいくら払ったと思ってんだ」
ギルバートの頃とちがい、今の時代は個人小売店より大手スーパーのほうが安いのが常識。
手作りだって、光熱費や原料、ロスを考えるともしかしたら買ったほうが安いかも。
こんな感傷も、かのスーパーが住民の生活に溶け込むにつれ、なくなっていくのでしょう。
さっそく作ったポイントカード、私もきっとけっこう早くたまるんだろうな。
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2007年11月25日

アースクリーンアップ・湧水めぐり

紅葉も終盤を迎え、きりりと晴れ上がる初冬の青空の下。
23日、八ケ岳の湧水を探索しながらゴミひろいをしようというウォーキングイベントに参加してきました。
小淵沢を代表する大手企業・アルソアの主催。
アルソアは自然派化粧品のメーカーで、東京から小淵沢に本社を移して10年になります。
営業スタイルは訪問販売です。
汚れを落とし肌本来の美しさと力をとりもどそうとする製品づくり。
「美しい水」に着目した製品ラインアップが特徴です。
その「水」つながりで、地元の美しい湧水環境を守ろうと、今回の企画を実現しました。
移転前よりビーチクリーンアップ運動として、企業ボランティアの一環で海辺のゴミ拾いを社員がやっていたそうです。
地域をリードする大企業として、地域環境保全の取り組みは賞賛に値します。
ということで、地元の新聞社も何社か取材に来ていました。
実は私もその一人。
アルソア製品の販売員でもある身ですが、今回は取材も兼ねての参加です。
参加者は社員、販売組織の人が大半。
そして指導員として地元の人の姿も。
八ケ岳南麓景観を考える会の人や、八ケ岳歩こう会の人など。
なんと180名もの参加です。
ケタが違う。
受付でウォーキンググッズが配られます。
アースクリーン1
やはり企業はやることが太っ腹。
これでみんなの気持ちを高め、次回につなげようというはからいでしょう。
このパーカーと帽子、何度も使わないともったいないですね。
さて本社建物から出発。
ちなみにこの建物、鳥が羽を広げた姿をイメージして、建築としても非常にユニークなものです。
アースクリーン2
今回は4つの湧水へ分かれました。
私が参加したのはアルソア本社から歩いていける、井詰湧水コース。
小淵沢独特の松林の風景の間を歩いていきます。
アースクリーン3
さて、この方見覚えありますよね。
アースクリーン4
登山家の田部井淳子さんです。
今回の特別ゲストです。
さっそくでっかいゴミを見つけていらっしゃいました。
「小淵沢にはよくいらっしゃるんですか?アルソアさんとの対談かなにかのお仕事で?」と聞くと
「ええ、それもありますけど、山がありますのでね」
とのご返答。
そりゃーそうだ!八ケ岳といえば山だった。
小淵沢は網笠岳の登山口があるところでもありました。
田部井さんは八ケ岳縦断も何度もされているそうです。
愚問、大変失礼いたしました。
道々、少しお話を伺うことができました。
最近は登山者の意識も変わってきて、一時富士山などはゴミの山などと言われたマイナスイメージもありましたが、最近はゴミ捨てもぐんと減って、とてもきれいな山道になっているとか。
八ケ岳は特にきれいだそうです。
よかった。
確かにこういうゴミ拾い運動をしていても、よくよく探さないとゴミも見つけられませんでした。
だからクリーンイベントというより、ほとんど湧水ウォーキング。
井詰湧水の出口です。
アースクリーン5 アースクリーン6
井詰湧水は平安の頃から人々の使用が確認されている古い湧水で、その周辺には段々畑のような農耕の跡もあると、歩こう会のタガさんからの説明がありました。
すずらん池です。
アースクリーン7
湧水の水をそのまま田んぼに流すと冷たすぎるので、八ケ岳にはこうしたため池が数多くあります。
昔は冬、この池が凍って子供たちの格好のスケート場でした。
だから国体やオリンピックのスケート選手には北巨摩郡出身が多かったそうです。
これもタガさんの説明。
きれいな道だったといっても、こんなにゴミが集まりました。
アースクリーン10
多いのはカセットガスボンベ、飲み物の空き缶、お菓子の袋、すいがら・・・。
つまりバーベキューなどの後です。
けしからん。後始末が面倒なら焼肉屋に行けばいいのに。
小淵沢では但馬家幸之助というお店がお勧めですよ。
ウォーキングから帰るとマクロビオティックの軽食とスイーツが用意されていました。
アースクリーン9 アースクリーン8
さすが、またまたやることが太っ腹。
企業の負担は大きいでしょうが、ここまでのおもてなしでなくてもいいから、ぜひこれからも地域をリードして、こういうイベントを継続していってほしいものです。

2007年11月24日

八で七五三

娘は数えで今年3才なので、他の同学年の子と同じく、今年七五三のお祝いをしました。
地元、八ケ岳でお祝いです。
昔は死産や乳幼児死亡率が高く、七歳まで育ってくれて、とにかく神様ありがとう、という子供のお祝い。
へちゃむくれだった赤ちゃんの頃から比べると、ウチのMOOでさえ、最近はずいぶん女の子らしくなって(・・・と親の欲目)、バーバの用意してくれた晴れ着を着ると思わず吹き出すと同時にちょっぴり目頭が熱くなったりしました。
子供の成長を喜ぶ気持ちは昔も今も変わらないもんです。
私たちの結婚のときからお世話になっている小淵沢・身曾岐神社へ。
毎年8月3日の薪能で全国的に有名な、古神道の神社です。
七五三1 みごとな能舞台
七五三2 神妙にお清め
この頃まではいい子でいたのですが・・・
七五三3 火祥殿の中
だんだん飽きてきたぞ。指をしゃぶって足ぶらぶら。おしゃべりも出てきました。
ちなみにこの日は3才、5才、7才の子が約8組くらい。
ウチの子が一番月齢が小さいとはいえ、他の子はとてもおとなしくてうらやましいなぁ。
なんとかなだめすかして祈祷が終わり、神主さんのお話。
「お子様の健やかな成長は神様からの恵みともいえます。
自然そのものが神というのが古神道の考え方。
無為自然という言葉がありますが、神様である自然からいただいたそのままの命を大切に・・・」

というような内容だったと思います。
この神主さん、MOOの生後1ヶ月のお宮参りの時もおなじみの方ですが、やはりこの「無為自然」という言葉を使って、大いなる自然への畏敬の念を説いてくださいました。
ウチの子の名前はまさにこの言葉からとったので、まるで我が家のための説教のようで、とてもとてもありがたかったです。
お食事は長坂・清春の冬青庵へ。
岩波書店の元会長のご自宅である古民家を移築再生したもので、落ち着きの中に荘厳さすら感じるすばらしいたたずまいです。
今は情緒ある山里料理のお店として親しまれています。
七五三4 両ばーばと妹(叔母)
ここは私が俳句の会でもお世話になっているところで、着物でぜひ行きたいところだったので、店主さんにお願いしました。
七五三にはちょっとシブすぎるし、子供がガチャガチャして他の人に迷惑をかけたら・・・という危惧もありましたが、店主のタキさんは快く受け入れてくれました。
個室が3〜4部屋あるので、家族だけで心置きなく食事を楽しめます。
この日はとにかく天然きのこづくし。
特にマツタケがた〜っぷり入ったきのこ鍋は絶品でした。
七五三5 七五三6 着物だけど食べるぞ〜。
おなかもふくれて親子漫才です。
七五三7 欧米か!
ちなみに、このおめでたい日に母親の着物の格調が低い!と妹に叱咤され、訪問着に着替えました。
なぜか親がお色直しのハメに。
店主タキさんからお祝いに、ときれいなケーキをいただいちゃいました。
きゅうくつな着物を脱がしてもらって、自宅でゆっくりいただきます。
七五三8
そこへ宅配そばの善さん登場!
実は夜はすっきりと旨いそばで締めようと、またまたお願いしてあったのです。
宅配していただいたお礼に、ケーキをおすそ分け。
そしたら夜、りっぱなりっぱな大根をたくさん届けてくださいました。
地元の農家に大量にわけてもらったとか。
わらしべ4 とりあえず1本
娘のおかげで八ケ岳のおいしいものを満喫できた一日でした。

2007年11月21日

ゆきだるまで一汁一菜

重ね煮で教わったことの中に、ごはん食を中心に、というものがありました。
「炭水化物・たんぱく質・ビタミンをバランスよく」
「一日30品目」
「ごはんのとりすぎはカロリー高、ごはんを残してもおかずを」

なんていう食事の注意は聞き覚えがありますよね。
先日も健康診断に行ったら、待合室のポスターでこんなのがありました。
「ごはんを一口残せばカロリーダウンの効果が」
外食したときの注意事項で、ムリして全部たべるとよくない、腹八分目にしとけ、という意味です。
食べきれないなら最初から少なく盛ってもらえばいいけど、まぁどれだけ出てくるか店によってわからないし、それもムリかな。
でも残すのがいいことだとは・・・全然納得できないですけどねぇ。
重ね煮の先生は理想の食事を歯の構造で教えてくれました。
草切り用の前歯8本、引き裂き用の犬歯4本、すりつぶし用の臼歯
16〜20本(現代人は親知らずを抜いたりして20本もない場合が多い)
つまりこのバランスの食事が人間には一番合っているということです。
ごはんは全体の半分以上、おかわりするくらいがちょうどいい。
玄米菜食、といって極端な人は肉魚を完全に断つ人がいますが、これもバランス悪い。
ただし、どれも丸ごと食べられるものがいい。

米は玄米、野菜は皮付き、魚は頭から。
そして野菜は自分に近いもの。肉魚は自分より遠いもの。
その土地でとれる旬の野菜、哺乳類は避けて鶏、魚、貝など(昆虫や蛙もOKってことですね)
こういうのを学問的に系統だてたのがマクロビオティックですが、もっと簡単に考えればいい、というのが重ね煮です。
一汁一菜にしてればだいたい大きくは外れないですよ、とまとめてくれました。
で、今日娘とごはんを食べてたらいきなり娘、
「ゆきだるま!」
ゆきだるまごはん2
なるほど〜。
今日の献立は具沢山のお味噌汁とおにぎり(おにぎりにするとよく食べるので)。
2つのお椀を並べたらそう見えるんですね。
ゆきだるまごはん
このあとでオマケとして小鉢にいかなごのくぎ煮をつけてやり、「ゆきだるまの帽子」としました。
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2007年11月19日

重ね煮パーティ

鹿肉に続き、大地の恵みを味わう会、パート2です。
あつこデザインスタジオさんの企画で、「重ね煮お料理教室」に行ってきました。
場所は「穴山の穴場カフェ・お茶のじかん」(韮崎市穴山町)。
ここは、なんにもない里山にちょこんと佇むかわいらしいカフェ。
その小さな窓から見る裏山が、異次元のようにどこまでも広がっていくように見えるから不思議です。
お茶の重ね煮1 お茶の重ね煮2
重ね煮は以前ちょっと教えてもらって、ハマりました。概略はこちら
簡単に言えば、ある野菜を切って順番に鍋に重ね、弱火で蒸してできあがりのシンプルクッキングです。
今回は元祖船越さんの直接指導を受けた講師の先生をお呼びしての、本格版です。
このヤマオカせんせ、とにかくパフォーマンスがすてき。
「ほら!!聞こえるでしょ、野菜の声が」
そんな調子です。
お茶の重ね煮6
参加者はめいめい自分の家にある野菜を一品持ってくることになっています。
誰がどんな野菜を持ってくるかわからない。
つまり、料理教室と言いながら、まさにぶっつけ本番的な、むしろやみなべと言っても過言ではないノリの会なのです。
私は知り合いから大量に分けてもらった大根一本を持ってきました。
一応土に埋めておいたのですが、葉のほうはかなりしおれていました。
この日集まった野菜は、りんご、さつまいも×2名分、小松菜、にんじん×2名分、かぶ、白菜、そして私の大根とその葉っぱです。
まず先生が言いました。
「料理教室で習ったことが家でできなきゃ意味がないんです。
めずらしいハーブだの、高いお肉だの、家にいつもあるわけじゃないでしょ。
今日の食材は、まさにみなさんの家の冷蔵庫と同じなんです。」

重ね煮1

「そして、ほら。
トマトやきゅうり、ないでしょ。
今ここにあるのは、今とれるものなんです。」

集まった野菜を千切りにし、鍋に順番に入れていきます。
地上のものを下に、地中のものを上に。
葉っぱは本来上にのびようとする力を持っていて、逆に根菜は下にのびようとする力を持っている。だから逆に入れることで、上にいかなきゃ、下にいかなきゃ、とぐいぐい力を発揮するというわけ。
今日の野菜の順番はりんご、小松菜、大根の葉、白菜、さつまいも、大根、にんじん。
いったいどんな味になるんでしょう。
重ね終わったら塩をほんのひとつまみ。
これは味付けではなく、野菜の旨みを引き出すための魔法。
そして鍋に手をかざして野菜の声を感じ取ります。
お茶の重ね煮3
みんな初めまして。
おいしい重ね煮になろうね。といってるようです。
弱火というとこれくらい。
お茶の重ね煮4
そして合図がするまで決してあけてはなりません。まるで鶴の恩返しです。
合図とは、おいしい「気」が鍋の中に充満して飽和状態になり、こらえきれずぷかぷか蓋を押し上げ、部屋中にいい匂いが漂ってきた状態のこと。
今日は約30分かかりました。
そしてできあがったのをまぜたものがこれ。
お茶の重ね煮5
不思議なことに匂いも味も、すべての野菜が一緒になった感じがするのです。
今回はりんごのあまずっぱさと、さつまいものあまさがやや強いけど、でもたとえばニンジンを食べればちゃんとニンジンの味がする。
つまり、みんなでひとつになったけど、ちゃんと個性が残ってる。
こういうのを集団心理学的には「凝集性が高い」というんだったかな。
そして個々の満足度と生産性が最大限に発揮できているってこと?
この重ね煮はもちろんそのままで食べてもよいし、
ポン酢や味噌和え、マヨネーズ和えなんかもいい。
また、二次利用として、味噌汁やカレー、シチュー、ピザ(今回やった)、コロッケや餃子の具、チャーハン、オムレツ・・・
とにかくありとあらゆる料理に応用できる。
3日に一度、これを作っておけば毎食のおかずに困らないというわけです。
重ね煮のおかげで子供のアトピーが治った、お母さんの肌がきれいになった、ギリギリまで子供と遊ぶ時間や自分の趣味の時間が持てた、食費・光熱費が減ったなどなど、いろんな効用があるとのことです。
ウチも忙しくてご飯のしたくのときに子供の相手ができなくてビデオなんか見せてましたが、今日は手伝わせました。
お茶の重ね煮5
そうか!一緒に遊びながら、野菜とお話しながらやればいいんだ。
今、ここに集まってくれた野菜たち。
誰かの家庭菜園でとれたものかもしれない、スーパーで売ってたものかもしれない。
でもどんな出身だろうと、大切な命をいただく。
鹿の時と同様、今日この野菜たちに出会えた運命に感謝し、「ごちそうさまでした」と手を合わせました。
↓久々長文。読んでくれてありがとう。ついでにこちらも一押しよろしく。
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2007年11月16日

八ケ岳はジビエの季節

「昔おばあさんがネギと味噌でコトコトと煮てくれた鹿肉はおいしかったなぁ」
夫がしばしば恍惚の表情で語るのを聞くたび、思いは募っていたのですが、このたびその野生の鹿肉が手に入りました。
今年から猟友会に入った、移住者のYさんから。
モモ肉をなんと3kgも。
わらしべ6
まずは牛とおなじように市販のデミグラスソースを使い2時間ほど煮込んだシチューにしました。
鹿シチュー 
入手の仲立ちをしてくれたカフェ・ピアニッシモにおすそ分けがてら撮影。
これが我ながらなかなかの出来。
肉はまったく臭みがなく、スプーンでもほぐれるほどのやわらかさになりました。
臭みがないのは鹿肉の特徴だそうですが、以前別の人からいただいたときに料理したものは血なまぐささが残ってしまいました。
圧力釜で一気にやわらかくしようとしたのが、逆に血の風味を閉じ込めてしまったよう。
あるいは罠で死んだ鹿だったのかも、という意見もあります。
打ってすぐにしっかり血抜きをすれば必要以上に血の香りはしないとか。
とにかく今回はおいしく出来たので、いろんな料理でみんなで楽しみたいと思い、カフェを営む友人に連絡。
飲み友達でもある彼女はカツオ出汁の味噌仕立ての鍋汁を用意して待っててくれました。
もう一人の友人が薄くスライスし、水菜・白菜・キノコなどの旬の野菜と一緒に鍋に入れます。
鹿鍋
こんどは野性味が程よく残り、これまた絶品となりました。
それを、今日解禁したばかりのボジョレーヌーボーと一緒にいただきました。
至福のひとときです。
ジビエの女王・鹿肉。
この時期の鹿は繁殖期を迎え太っているのでおいしいのです。
ですが昔に比べ猟をする人も減り、数が増えすぎて今では有害鳥獣扱い。
それに動物愛護の風潮が追い風となり、なかなか一般の家庭では見られなくなりました。
一方で人工的に管理された飼育肉が簡単に買える時代です。
普段は麻痺してしまっている、食物と生態系の関係。
野山の草や実、ひょっとしたら人家に下りてきて農作物を食べてるかもしれませんが、とにかく八ケ岳の大地や山で育った野性の野獣類を食べるとき、私たち人間も生態系の一部であらなければいけないと改めて考えます。
今私の血肉に生まれ変わろうとしているこの運命的な出会いに感謝し、「ごちそうさまでした」と手を合わせました。